石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:石油篇9 消費量(2)

2013-07-09 | その他

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0271BpOil2013.pdf

 

 

3.世界の石油消費量(続き)
(石油消費量が1千万B/Dを超えた中国!)
(1) 国別消費量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-3-T01.pdf 参照)
 国別に見ると世界最大の石油消費国は米国で、2012年の消費量は1,856万B/D、世界全体の21%を占めている。第二位の中国(1,022万B/D、シェア11%)を大きく引き離す石油消費大国である。三位の日本は471万B/Dで中国の2分の1以下、4位以下はインド(365万B/D)、ロシア(317万B/D)、サウジアラビア(294万B/D)、ブラジル(281万B/D)と続いている。石油は米、日の先進2カ国及びBRICsと呼ばれる中国、インド、ロシア、ブラジルの新興4カ国に大産油国でもあるサウジアラビアを加えた7カ国で世界の半分を消費している。この他ベストテンに入っているのは第8位韓国(246万B/D)、第9位カナダ(241万B/D)、第10位ドイツ(236万B/D)である。

 2011年と比較すると、国別順位はカナダとドイツが入れ替わっただけで1位から8位までは前年通りである。但し対前年消費量の増減を各国ごとに見ると、トップの米国は前年に比べ2.3%減少しているのに対して2位の中国は前年の976万B/Dから5%増加してついに1千万B/Dを超えた。3位の日本は対前年比6.3%増加している。上記のとおり米国は減少しており、またカナダ及びドイツ、さらにフランス、英国、イタリア、スペインなど欧米先進国の消費量はいずれも前年を下回っている。このような中で同じ先進国の日本だけが増加しているのは東日本大震災後に原発がほぼ全面的に停止し、火力発電用の石油需要が急増したからである。

 国別消費量を前章の国別生産量(第2章(2))と比較すると興味ある事実が浮かび上がる。米国と中国は消費量世界一位と二位であるが、生産量についても米国は世界3位、中国は世界4位である。両国は石油の消費大国であると同時に生産大国でもある。そしてサウジアラビア及びロシアは言うまでもなく世界一、二の石油生産量を誇っている。その他消費量7位のカナダは生産量世界5位であり、消費量7位のブラジルも生産量世界13位である。このように石油消費量上位10カ国のうち6カ国は石油生産国でもある。消費量ベストテンに入っていて生産量が皆無もしくは非常に少ない国は、日本、インド、韓国及びドイツの4カ国である。このように石油を大量に消費する国といえどもその状況は各国によって大きく異なる。従って「消費国」と言うだけで結束して産油国(例えばOPECなど)に対峙することは容易ではないのである。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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