石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:天然ガス篇5 埋蔵量(5)

2013-07-21 | その他

 

(注)本シリーズ「BPレポート天然ガス篇」は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0275BpGas2013.pdf

 

 

1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(トルクメニスタンの埋蔵量は3年間で3倍に増加!)
(5)主な天然ガス資源国の過去12年間の埋蔵量の変化
(http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G04.pdf参照)
 2012年末の天然ガス埋蔵量上位5カ国(イラン、ロシア、カタール、トルクメニスタン、米国)にオーストラリア(世界11位)及び中国(同13位)を加えた7か国について2000年~2012年までの埋蔵量の推移を見ると、イランの場合2007年までは埋蔵量27tcm(兆立方メートル)前後を上下していたが、2008年に30tcmを突破、2010年にはロシアを追い越し2012年末の埋蔵量は世界一の34tcmである。ロシアは2000年から2009年まで世界一の埋蔵量(30tcm)を誇っていたが、2010年にイランに追い越され世界2位となっている。しかし両国の差はわずかである。世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を14tcmから26tcmに大幅に上方修正し現在に至っている。

 これまでイラン、ロシア、カタール3カ国の埋蔵量が他を圧倒していたが、近年トルクメニスタンの飛躍が著しい。同国の埋蔵量は2007年まで2tcmにとどまっていたが、2008年の7tcmから2010年には10tcmを突破、2012年末の埋蔵量は18tcmに達し過去3年間で3倍に増加している。

 イランとトルクメニスタンは2006年以降共に埋蔵量が急増している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との合弁事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が政策的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国石油企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。

 米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2010年には2006年比1.5倍の9tcmに達した。これはシェール・ガスの開発が商業ベースに乗り、可採埋蔵量に加算されるようになったことが大きな理由である。但し2012年末の埋蔵量は8tcmに低下しており、シェールガスの生産が急増した結果、埋蔵量を食いつぶす状況となっていることを示している。近年国内の探鉱開発作業が活発なオーストラリア及び中国も埋蔵量が着実に増加しており2007年から2011年までの5年間で埋蔵量はそれぞれ1.5倍と1.7倍である。

(天然ガス篇埋蔵量完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする