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http://mylibrary.maeda1.jp/0516ImfWeoOct2020.pdf
(4月よりもさらに下方修正された産油国!)
2.前回(2020年4月)と今回(2020年10月)の比較
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(1) 世界および主要経済圏の比較
上述のとおり今回(WEO2020Oct)の全世界の成長率見通しは今年(2020年)が▲4.4%、来年(2021年)は5.2%である。これに対して前回(WEO2020Apr)の見通しでは両年の成長率はそれぞれ▲3.0%、5.8%であり、本年は1.3%また来年は0.6%いずれも下方修正されている。IMFでは新型コロナウィルスの影響が予想以上に大きく、また長期化すると見ているようである。
2020年の見通しについて主要経済圏を前回と比較すると、G7は前回の▲6.2%から今回は▲5.9%と若干改善している。一方EUは▲7.1%から▲7.6%に一段と悪化する見通しである。ASEAN-5は▲0.6%→▲3.4%と悪化の度合いはEU以上である。経済大国よりも発展途上国がコロナウィルスの影響を顕著に受けていると言えよう。
主要経済圏の来年(2021年)のGDP成長率の見通しについて前回と今回を比較すると、G7は4.5%→3.8%であり、ASEAN-5は7.8%→6.2%と景気回復が遅れると予測している。これに対してEUは4.8%→5.0%に上方修正されている。
(2)主要国の比較
今年の成長率については中国が前回の1.2%から今回は1.9%に上方修正された。しかしインドは逆に1.9%から▲10.3%と大幅に下方修正されている。インドは米国に次ぐ世界2位のコロナ感染者が発生している。中国がCOVID19を抑え込んだ一方、インドは拡大がおさまらず、経済成長も明暗がはっきり分かれた格好である。
中印以外の世界主要国の今年の成長率は以下のごとく見直されている。
米国(▲5.9%→▲4.3%)、日本(▲5.2%→▲5.3%)、ドイツ(▲7.0%→▲6.0%)、英国(▲6.5%→▲9.8%)、韓国(▲1.2%→▲1.9%)、ロシア(▲5.5%→▲4.1%)
いずれの国もマイナス成長に変わりはないが、米国、ドイツ、ロシア3か国は多少の改善が予測されている一方、日本、英国、韓国はマイナス成長がさらに拡大すると見込まれている。
また中東の主要国の今年の成長率の見直しは以下のとおりである。
サウジアラビア(▲2.3%→▲5.4%)、トルコ(▲5.0%→▲5.0%)、UAE(▲3.5%→▲6.6%)、イラン(▲6.0%→▲5.0%)、イスラエル(▲6.3%→▲5.9%)、イラク(▲4.7%→▲12.1%)
イスラエル及びトルコの成長率が改善または現状維持であるのに対し、サウジアラビア、UAE、イラクの産油国の成長率が下方修正されているのが特徴的である。世界景気の回復が遅れ、石油の需要が低迷していることが原因と考えられる。
また2021年の成長率はすべて国でプラス成長とされているが、4月の予測に比べほとんどの国が下方修正されており、コロナ禍が長期化し景気の回復がずれ込んでいることを反映している。例えば米国の場合、4月には来年の成長率を4.7%と予測したが、今回は3.1%と低めに修正されている。日本も3.0%から2.3%とされており、その他の国々も中国(9.2%→8.2%)、ドイツ(5.2%→4.2%)、韓国(3.4%→2.9%)、ロシア(3.5%→2.8%)に下方修正されている。上方修正されたのは英国(4.0%→5.9%)及びインド(7.4%→8.8%)である。
中東諸国について見ると、サウジアラビア、トルコ、イラン、エジプト、イスラエル各国は4月の予測に変化は無いが、UAE(3.3%→1.3%)及びイラク(7.2%→2.5%)は経済の回復が遅れると予測されている。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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(4月よりもさらに下方修正された産油国!)
2.前回(2020年4月)と今回(2020年10月)の比較
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(1) 世界および主要経済圏の比較
上述のとおり今回(WEO2020Oct)の全世界の成長率見通しは今年(2020年)が▲4.4%、来年(2021年)は5.2%である。これに対して前回(WEO2020Apr)の見通しでは両年の成長率はそれぞれ▲3.0%、5.8%であり、本年は1.3%また来年は0.6%いずれも下方修正されている。IMFでは新型コロナウィルスの影響が予想以上に大きく、また長期化すると見ているようである。
2020年の見通しについて主要経済圏を前回と比較すると、G7は前回の▲6.2%から今回は▲5.9%と若干改善している。一方EUは▲7.1%から▲7.6%に一段と悪化する見通しである。ASEAN-5は▲0.6%→▲3.4%と悪化の度合いはEU以上である。経済大国よりも発展途上国がコロナウィルスの影響を顕著に受けていると言えよう。
主要経済圏の来年(2021年)のGDP成長率の見通しについて前回と今回を比較すると、G7は4.5%→3.8%であり、ASEAN-5は7.8%→6.2%と景気回復が遅れると予測している。これに対してEUは4.8%→5.0%に上方修正されている。
(2)主要国の比較
今年の成長率については中国が前回の1.2%から今回は1.9%に上方修正された。しかしインドは逆に1.9%から▲10.3%と大幅に下方修正されている。インドは米国に次ぐ世界2位のコロナ感染者が発生している。中国がCOVID19を抑え込んだ一方、インドは拡大がおさまらず、経済成長も明暗がはっきり分かれた格好である。
中印以外の世界主要国の今年の成長率は以下のごとく見直されている。
米国(▲5.9%→▲4.3%)、日本(▲5.2%→▲5.3%)、ドイツ(▲7.0%→▲6.0%)、英国(▲6.5%→▲9.8%)、韓国(▲1.2%→▲1.9%)、ロシア(▲5.5%→▲4.1%)
いずれの国もマイナス成長に変わりはないが、米国、ドイツ、ロシア3か国は多少の改善が予測されている一方、日本、英国、韓国はマイナス成長がさらに拡大すると見込まれている。
また中東の主要国の今年の成長率の見直しは以下のとおりである。
サウジアラビア(▲2.3%→▲5.4%)、トルコ(▲5.0%→▲5.0%)、UAE(▲3.5%→▲6.6%)、イラン(▲6.0%→▲5.0%)、イスラエル(▲6.3%→▲5.9%)、イラク(▲4.7%→▲12.1%)
イスラエル及びトルコの成長率が改善または現状維持であるのに対し、サウジアラビア、UAE、イラクの産油国の成長率が下方修正されているのが特徴的である。世界景気の回復が遅れ、石油の需要が低迷していることが原因と考えられる。
また2021年の成長率はすべて国でプラス成長とされているが、4月の予測に比べほとんどの国が下方修正されており、コロナ禍が長期化し景気の回復がずれ込んでいることを反映している。例えば米国の場合、4月には来年の成長率を4.7%と予測したが、今回は3.1%と低めに修正されている。日本も3.0%から2.3%とされており、その他の国々も中国(9.2%→8.2%)、ドイツ(5.2%→4.2%)、韓国(3.4%→2.9%)、ロシア(3.5%→2.8%)に下方修正されている。上方修正されたのは英国(4.0%→5.9%)及びインド(7.4%→8.8%)である。
中東諸国について見ると、サウジアラビア、トルコ、イラン、エジプト、イスラエル各国は4月の予測に変化は無いが、UAE(3.3%→1.3%)及びイラク(7.2%→2.5%)は経済の回復が遅れると予測されている。
(続く)
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