石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

和平合意で急速に深まるイスラエルとUAEの関係(1)

2020-10-27 | その他
(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0517UaeIsraelPeaceAccord.pdf


8月13日に米国のトランプ大統領がイスラエルとUAEの和平合意を発表した 。それからわずか2カ月の間にイスラエルとUAE両国は数多くの分野で立て続けに政府間協定あるいは民間企業間の業務提携・技術協力覚書などを締結している。本稿はそれら案件を現地新聞の報道をもとにまとめたものである。

 まず8月13日以降主要な動きを見ると、8月30日にUAEはイスラエルボイコットを解除している 。イスラエルボイコットとは1948年のイスラエル独立時(第一次中東戦争)にアラブ連盟加盟のアラブ諸国がイスラエルとの完全断交を決定、これにより空路、海運をはじめ外交、通商、文化スポーツを含む一切のイスラエルとの関係が断絶された。このボイコットは米国のユダヤ系企業も対象となり、例えばコカ・コーラの輸入販売を禁止した時期もあったほどである。

 8月31日にはトランプ大統領の娘婿クシュナー大統領上級顧問がイスラエルの代表団とともに、イスラエル-UAEの直行空路第一便でUAEに乗り込んだ 。

 そして9月15日には米国のトランプ大統領も交えて和平協定が正式に取り交わされた。調印式には、直前にUAEと同様の和平協定を締結したバハレーンも加わり、4カ国がワシントンのホワイトハウスで和平協定Abraham Accordの盛大な調印式をおこなったのである。それまでイスラエルと和平協定を締結したアラブ国家は、エジプト(1979年)とヨルダン(1994年)の2カ国だけであり、UAE、バハレーンはそれぞれアラブで3番目と4番目のイスラエル承認国家となったわけである。

 和平締結を契機にイスラエルとUAE及び仲介役の米国の3カ国の間で政治・経済・外交のあらゆる分野の交流が怒涛の勢いで始まった。その一部は既に調印式以前から動き出していたのであった。

(続く)

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荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com

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