石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今年の成長率はマイナス4.4%、中国だけがプラス成長:IMF世界経済見通し2020年10月版(2)

2020-10-18 | その他
1.2020/21年の経済成長率(続き)
(経済大国の中で唯一プラス成長を維持する中国!)
(2)主要国のGDP成長率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)
世界及び中東主要国の昨年から来年まで3年間の成長率を見ると、まず目につくのは米国、日本をはじめほとんどの国が今年はマイナス成長になっていることである。その中でプラス成長を見込まれているのは経済大国では中国(1.9%)、中東ではエジプト(3.5%)だけである。

日本は昨年の0.7%から今年は▲5.3%のマイナス成長になると予測されている。日本は2018及び19年の過去2年間は1%以下という先進国の中でも低い成長率にとどまっており、今年の見込み成長率はリーマンショック時の2009年(▲5.4%)に次ぐマイナス成長である。来年についてはプラス2.3%の成長が見込まれている。

米国の場合、昨年実績はプラス2.2%であったが、今年は一挙に▲4.3%に落ち込むと見込まれる。これに対し来年は3.1%の成長に戻ると予測され、今年と来年で7.4%の大きな振幅がある。このような振幅は米国以外の各国でも見られる現象であり、IMFはコロナウィルス問題が終焉すれば世界経済がV字回復し通常の成長路線に戻ると見ている。

中国は昨年、6.1%の成長率を達成、インドとともに世界経済をけん引していたが、今年の成長率は1.9%に留まる見込みである。また来年は8.2%の高度成長を予測している。今年下半期に入り世界各国が低迷する景気から抜け出せない中で中国の経済回復は目覚ましく、IMFは来年同国が再び突出した高い成長率を達成すると見込んでいる。

インドの今年の成長率は▲10.3%と見込まれている。昨年のプラス4.2%の成長から一気に落ち込むが、来年は中国を上回る8.8%の成長が予測されており、同国の経済変動の振幅はかなり大きい。

MENAの主要国の3か年の成長率は、サウジアラビアが0.3%(昨年)→▲5.4%(今年)→3.1%(来年)であり、トルコは0.9%→▲5%→5%、イランは▲6.5%→▲5.0→3.2%である。3か国とも今年はマイナス成長であり、来年はプラスに転じると予測している。イランはサウジアラビアと同じ産油国ではあるが、米国の経済制裁により昨年は▲6.5%のマイナス成長であった。今回のコロナウィルス問題でもイランは中東で最も大きな影響を受けており、二年連続でマイナス成長を強いられている。来年プラス成長に転じることができるかイラン経済は極めて厳しい状況に置かれている。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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石油と中東のニュース(10月18日)

2020-10-18 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・サウジ皇太子、13日、17日と連続してロシア大統領と電話会談。石油問題で協議。  *
・オマーン女性の日:王妃が5人の女性に叙勲


*レポート「サウジアラビアを危うくする二人の王子:皇太子と石油相 」(2020年3月)参照

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