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http://mylibrary.maeda1.jp/0516ImfWeoOct2020.pdf
4.世界および主要地域・国のGDP成長率の推移(2017~2021年)
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-11.pdf 参照)
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-05.pdf 参照)
(今年の大幅な落ち込みから来年は回復成長路線に戻れるか?)
(1)世界および主要経済圏
世界全体の成長率は2017年から2019年までプラス3%前後で推移していたが、今年は▲4.4%に急落、来年は5.2%に回復するとIMFは予測している。
経済圏別で見るとG7の成長率は2019年まで2%前後の成長を続けたのち、今年は▲5.9%と世界平均を下回るマイナス成長となり、来年はプラス3.8%に回復する見通しである。EUは2017年の成長率が3.0%であったが、その後2.3%(18年)、1.7%(19年)と年々落ち込み、2020年はコロナウィルスの影響で世界平均を大きく上回る▲7.6%に落ち込む見込みである。2021年は今年の反動で5.0%のプラス成長に転じると予測している。
ASEAN-5か国は他の経済圏に比べ高い成長率を達成している。同地域は2017年から19年まで5%前後の成長率を維持しており、2020年は他の地域と同様コロナウィルスの影響を免れず▲3.4%のマイナス成長にとどまると予測されている。来年についてはV字回復し6.2%の成長が見込まれている。
(5年間を通じてプラス成長を達成すると見られる中国!)
(2)世界と中東の主要国
日本の成長率は2017年は2.2%であったが、2018、19年はそれぞれ0.3%、0.7%の低い成長率にとどまった。2020年は▲5.3%の大幅なマイナス成長になり、2021年には一転して5年間で最も高い2.3%の成長が予測されている。これは世界平均の5.2%、G7の3.8%に比べて決して高くないものの、過去の実績を勘案するとなお高いハードルと言えそうである。
米国の過去3か年の経済は先進国の中でも特に好調であり、2.2%~3.0%の成長を維持してきたが、今年(2020年)は▲4.3%と急落する見込みである。来年は一転して3.1%の成長率を達成すると予測している。中国は2017年から2019年まで6%台の成長を維持している。今年はコロナウィルスの影響を受けるものの日米のようなマイナス成長にはならず、1.9%のプラス成長を達成すると見込まれている。来年はV字回復し、8.2%の高い成長率を達成するものと予測される。近年中国と肩を並べる成長を続けているインドは、2017年以降2021年まで7.0%→6.1%→4.2%→▲10.3%→8.8%と今年は大幅なマイナス成長に陥っている。
中東の主要国を見ると、GDPが中東で最大のサウジアラビアは原油価格下落の影響を受けて2017年は▲0.7%のマイナス成長に陥っている。2018年と2019年はプラス成長を達成しているが、今年は▲5.4%に転落、来年は回復して3.1%のプラス成長に戻ると予測されている。サウジアラビアに次いでGDPが世界20位のトルコは2017年に7.5%と言う高い成長率を記録している。その後の2年間は3.0%→0.9%と成長率が鈍化し、今年は▲5%のマイナス成長に陥る見通しである。来年は成長路線に回復すると見込まれる。
イランのGDP成長率は2017年に3.7%を達成したが、その後米国の経済制裁の影響を受け、18年▲5.4%、19年▲6.5%とマイナス成長に陥り、今年はコロナ禍、原油安の影響も加わり▲5.0%と3年続けてマイナス成長に苦しんでいる。IMFは同国が来年は3.2%のプラス成長に戻ると予測しているが予断を許さない状況である。
エジプトの成長率の推移は4.1%(17年)→5.3%(18年)→5.6%(19年)→3.5%(20年)→2.8%(21年)とされ、コロナウィルス問題の下でも安定した成長が見込まれている。
(完)
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