石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ポスト・コロナ、ポスト化石燃料で苦闘する国際石油企業:2020年7-9月期決算速報 (3)

2020-11-06 | その他
1. 五社の7-9月期業績比較 (続き)
(ShellとTotalは赤字脱却、その他3社は前期に続き欠損!)
(3)総合損益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
前期は五社すべてが赤字であり、そのうちShell及び BPは100億ドル以上の赤字決算であったが、今期はShell及びTotalがわずかながらも利益を計上している。その他のExxonMobil、BP、Chevron3社は引き続き赤字であった。

各社ごとに比べると、Shellは4.9億ドル、Totalは2億ドルの黒字であった。Shellの場合、前期は5社の中で最も損失額が大きかったが(▲181億ドル)、今期はプラスに転じ5社の中では最も良い成績を残している。Chevron、BP及びExxonMobilの各社は赤字決算であり、赤字額はChevron▲2.1億ドル、BP▲4.5億ドルで、ExxonMobilは5社の中で最も赤字幅が大きかった(▲6.8億ドル)。前期(4-6月期)は各社とも大幅な赤字であり、最も赤字が小さかったExxonMobilの▲11億ドルに対しTotal、Chevronは▲80億ドル強、BP、Shellはそれぞれ▲168億ドル、▲181億ドルの巨額の赤字決算であった。これに比べると今期は赤字が大幅に減少または黒字に転じている。

(4)売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)
今期の売上高利益率はShellが1.1%と、5社の中では最も高く、続いてTotalが0.6%であり、他の3社はChevronが▲0.8%、BPは▲1.0%、ExxonMobil▲1.5%であった。前期はShell、BP、Chevron各社が▲50%台の大幅なマイナスであったのに比べ今期は各社とも大きく好転している(Totalの前期は▲33%、ExxonMobilは▲3%)。但し昨年同期はChevron7.1%、Shell6.6%、Total5.8%、ExxonMobil4.9%など各社とも従来とほぼ同様の利益率を確保しており(BPのみはマイナス)、これに比べると今期の利益率は見劣りする。

各社とも今後の業績向上に必死に取り組んでいるがコロナ禍の影響がいつまで続くか不明であり、また地球温暖化防止策として化石エネルギーから電気あるいは再生エネルギーへの転換が推奨されており、エネルギー産業を取り巻く環境の変化には不確定要素が多い。本年の業績が底となり、国際石油企業各社がかつての高収益を取り戻すことができるか否かは未知数であると言わざるを得ないであろう。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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