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http://mylibrary.maeda1.jp/0518OilMajor2020-3rdQtr.pdf
2.2019年第2四半期以降の四半期別業績の推移(続き)
3-1.営業キャッシュ・フロー
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-72.pdf参照)
2019年4-6月の各社の営業C/FはShellが110億ドルと最も多く、Chevronは87億ドル、BP68億ドル、Total 63億ドルであった。その後昨年末までは4社ともほぼ横ばい傾向であり、Shellは毎期100億ドル以上、その他の3社は60~80億ドルのキャッシュを生み出している。しかし今年1-3月期は明暗が分かれ、Shellの営業C/Fは150億ドル近くに達したが、Chevronは47億ドルに落ち込み、BPとTotalはそれぞれ10億ドルと13億ドルに急減した。4-6月期にはShellが急減して26億ドルにとどまりBP、Totalを下回った。Chevronは前期をさらに下回り営業キャッシュ・フローは1億ドルにとどまった。今期は4社とも増えてShellは再び100億ドルのキャッシュ・フローを生み出している。その他の3社も35~52億ドルに回復している。
2-2 投資キャッシュ・フロー
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-73.pdf参照)
2019年4-6月の投資C/FはBPが55億ドル、Shell42億ドル、TotalとChevronは33億ドルであった。BPはその後今年1-3月までは30億ドル強で推移し、4-6月は18億ドルに減少した後今期は再び30億ドル台半ばに戻っている。Shellは今年第1四半期まで増減を繰り返し、その後は20億ドル台で推移している。Totalは昨年第3四半期に68億ドルと他社の2倍以上のキャッシュ・フローを記録したが以後は4期連続で減少、今期は19億ドルにとどまっている。Chevronの投資キャッシュ・フローは昨年第2、3四半期の30億ドル強から今年の第2、3四半期は20億ドルを下回る水準である。4社に共通しているのは今年に入り投資を抑制していると見られることである。
3-3 財務キャッシュ・フロー
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-74.pdf参照)
3社の財務C/Fは昨年4-6月期から今年1-3月期まで大きな変化は見られなかったが、今年4-6月期にChevron以外の3社がそれまでのマイナスから一挙に大幅なプラスに転じていることが大きな特徴である。これら3社は多額の新規借入を行ったのである。
例えばShellの財務C/Fは昨年4-6月期は▲99億ドルであり、その後多少の増減はあったものの、今年1-3月期は▲78億ドルであった。しかし4-6月期は一挙に57億ドルのプラスに転じ前期との差は135億ドルに達している。BPもShellと同様昨年1―3月期から今年1-3月期までは▲20~40億ドルの水準であったが、4-6月期は3社中最も多いプラス147億ドルであり前期との差は170億ドル弱である。しかし今年4-6月期はBP▲56億ドル、Total▲21億ドルなど昨年の水準に戻る動きが見られる。
3-3 キャッシュ・フロー期末残高の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-75.pdf参照)
各四半期の営業C/F、投資C/F及び財務C/Fを差引した期末残高の推移を見ると、昨年6月末の残高が最も多かったのはTotalの267億ドルで、BP及びShellはそれぞれ207億ドル、185億ドル、最も少ないChevronは96億ドルであった。同年9月末はほぼ横ばいであったが、その後Shellは一貫して増加しており、今年9月末の残高は357億ドルに達している。BP及びTotalも過去一年間で残高は増加しており今年9月末はShellに次いで310億ドル前後の残高である。このようななかでChevronのみは残高が漸減傾向にあり、前年9月末の129億ドルが今年9月末には68億ドルとほぼ半減、他社の4分の1から3分の1程度にとどまっている。
(続く)
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