石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ポスト・コロナ、ポスト化石燃料で苦闘する国際石油企業:2020年7-9月期決算速報 (5)

2020-11-11 | 今日のニュース
1. 五社の7-9月期業績比較(続き)
(7)キャッシュ・フロー
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-71.pdf参照)
(注) 各社の第3四半期決算書では、Shell、BP及びTotalは7-9月の3か月間のキャッシュ・フロー(以下C/F)を明記している。しかしChevronは1-9月の9か月間のC/Fフローが表示され、またExxonMobilは営業C/Fのみの明記にとどまっている(年間決算書では完全なC/Fシートが公開されている)。従ってここではChevronについて前期の1-6月C/Fと1―9月のC/Fの差額を7-9月C/Fとし、Shell、BP及びTotalと合わせて比較することとする。

 今期の4社の営業C/FはShellが104億ドルで最も多く、次いでBPが52億ドル、Total44億ドルであり、Chevronは4社の中では最も少ない35億ドルにとどまっている。前期は販売不振及び価格の低迷により売上、利益が大幅に落ち込み営業活動におけるキャッシュ・ジェネレーションも過去1年間で最低の水準に落ち込んだが、今期は各社とも改善している。

 投資C/Fによるキャッシュの流出はBPが最も多く35億ドルであった。これに次ぐのがShellの28億ドルであり、Total及びChevronは共に19億ドルであった。財務C/Fの収支はShellのみが2億ドルの収入超過であり、その他3社は支出超過であった。財務C/Fは借入金の支払い金利、借入金の返済あるいは新規借入で構成され、通常、投資が少ない時は既存借入金を返済し、新規借入を控えて財務の健全化を図ろうとすることが多い。因みにBP、Total、及びChevronの支出超過額は、BP 56億ドル、Total 21億ドル、Chevron 17億ドルであった。Shell、BP、Totalはいずれも前期に新たな借入により手許現金を厚くしている。売り上げの激減に直面し、しかも早急な回復が見込めないため、運転資金の不足に備えたものと思われるが、Shellはなお資金の積み増しを行っているようである(後述「財務C/Fの推移」、「期末C/F残高の推移」参照)。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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石油と中東のニュース(11月11日)

2020-11-11 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・経済危機下のレバノン、14日から2週間再びロックダウン
(石油関連ニュース)
・原油価格上昇、Brent $42.85, WTI $40.63。コロナワクチン実現間近を好感
・サウジ石油相:OPEC+の減産体制は微調整で2022年まで延長する
・カタール石油、LNG取引部門QP Tradingの運営開始。シンガポールと年間180万トン契約
・Shell、シンガポール製油所の精製能力を半減、人員500人削減。 *
*「ポストコロナ、ポスト化石燃料で苦闘する五大国際石油企業(7-9月期業績速報)」を本ブログで連載中です。

(中東関連ニュース)
・中国とGCC外相がTV会議

・イラン、政治犯157人を釈放
・国連主導のリビア和平会議、チュニジアで始まる
・UAEにステルス戦闘機F-35等総額230億ドルの兵器輸出:米国務長官発表。 **
・付加価値税VAT増税の計画なし:UAE財務省
・UAE、資金洗浄、脱税犯罪専用の法廷を設立
・ドバイ国際空港フリーゾーン庁、イスラエル商工会議所ミッションと投資促進協議。 **
・サウジ、女性向け自動車運転教習所を拡充。女性免許取得者数は17万人に達する

**参考レポート:
和平合意で急速に深まるイスラエルと UAE の関係
米国は世界一の軍事大国・武器輸出国:世界と中東主要国の軍事費
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