石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(42)

2023-08-23 | 中東諸国の動向

第2章 民戦後世界のうねり:植民地時代の終焉とブロック化する世界(4)

 

042.ラ・マルセイエーズとインターナショナルの歌(1/3)

 第二次世界大戦は資本主義国家の米英仏と社会主義国家のソ連が共同して全体主義国家ドイツ・日本と戦って勝った戦争であった。わずか半世紀足らずの間に二度の世界規模の戦争を経験し疲弊した世界は国際連合を設立し恒久的な平和を追求した。

 

 国連憲章は第一条で「国際の平和及び安全を維持すること」を目的とすると明記した。誰もが戦争は二度と御免であった。だが思想の異なる二大陣営の平和はすぐにほころびを見せた。但し両陣営が直接対決する「熱い戦争」をかろうじて踏みとどまり、「冷戦」と言う形の睨み合いが始まった。「冷戦」とは言え世界各地では西側資本主義諸国とソ連社会主義国両陣営の代理戦争と言う形で局地的な「熱い戦争」は絶えなかった。

 

 それは中東では軍事クーデタと言う形の革命の形をとった。エジプトでは英国の支援を受ける王政派に対しソ連の支援を受けたナセルたち青年将校団との対決であり革命であった。またシリアでは実質的な権力を手放すまいとして特定少数派部族を支援するフランスとソ連の軍事援助を受けた多数派部族による部族間の権力争奪闘争であった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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EI世界エネルギー統計(旧BP統計)2023年版解説シリーズ(12)LNG貿易1

2023-08-23 | EIエネルギー統計

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0585EiWorldEnergy2023.pdf

 

4. LNG貿易

(2017年以降急成長するLNG貿易!)

(4-1) 2013年~2022年の国別輸入量の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-G02a.pdf 参照)

 世界全体のLNG輸入量は2013年の3,268億㎥から2022年には1.7倍の5,424億㎥に増加している。2020年までは日本が輸入量世界一であり、2014年には10年間では最高の1,218億㎥のLNGが輸入されている。これは原発の運転停止のため火力発電用LNGの輸入が急増したことが主な要因である。しかし2015年以降はほぼ一貫して前年を下回っており、2022年には1千億㎥を切り(983億㎥)、2013年の8割にとどまっている。

 

一方、中国は毎年大きく増加しており、2013年の251億㎥が2021年1,099億㎥に増加、ついに日本を抜いて世界一のLNG輸入国になっている。2022年の輸入量は日本983億㎥に対し中国は932億㎥であり、日本がトップに返り咲いたが、世界景気が本格的に回復すれば今後は中国が世界最大のLNG輸入国になることは間違いないであろう。

 

日本、中国に次いで輸入量が多いのは韓国であり、4位フランス、5位スペイン、6位インド、7位台湾の順である。なお2013年から2021年まではインド、台湾が韓国に次ぐLNG輸入国であったが、2022年はフランス、スペインの輸入量が急増し順位に変動が生まれている。ウクライナ紛争のためロシアからのパイプラインによる天然ガス輸入が途絶し、その対応としてLNGの緊急輸入に踏み切ったことが最大の要因である。

 

上位3カ国はすべて極東アジアであり、その輸入シェアは47%に達している。LNGは輸出国の液化搬出装置及び輸入国の搬入ガス化装置に巨額の投資が必要であり、輸出入は一部の国に限定されている。但し最近では地球温暖化問題が重視され、石油より二酸化炭素排出量が少ない天然ガスの需要が増加、さらに今春のロシアのウクライナ侵攻によりLNG輸入を始めるヨーロッパ諸国が増えている。この結果、世界的にLNG争奪戦の様相を見せている。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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