8/21 INPEX
オーストラリア・西豪州沖合AC/RL7鉱区の権益取得について
https://www.inpex.co.jp/news/2023/20230821.html
8/21 TotalEnergies
Australia: TotalEnergies acquires a 26% interest in the Cash-Maple gas discoveries for the long-term supply of Ichthys LNG
https://totalenergies.com/media/news/press-releases/australia-totalenergies-acquires-26-interest-cash-maple-gas-discoveries
8/23 JX石油開発/商船三井他
安全かつ高効率な、低温・低圧での液化 CO2大量輸送技術の開発に関する日豪パートナーによるプロジェクト契約の締結について
https://www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_files/20230823NOEXJP.pdf
8/24 出光興産
出光興産とLOPSによる持続可能な航空燃料の原料調達に関する共同検討について
https://www.idemitsu.com/jp/news/2023/230824.html
(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0585EiWorldEnergy2023.pdf
5.天然ガス価格
(原油価格連動型の日韓価格とスポット調達中心の英独価格の明暗!)
(2)2013年~2022年の天然ガス価格の推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/6-G01b1.pdf 参照)
天然ガスの取引価格には通常US$ per million BTU(百万BTU当たりのドル価格)と呼ばれる単位が使われている。BTUとはBritish Thermal Unitの略であり、およそ252カロリー、天然ガス25㎥に相当する[1]。
市場の自由取引にゆだねられた商品は一般的には価格が一本化されるが(一物一価の法則)、天然ガスについては歴史的経緯により現在大きく分けて三つの価格帯がある。LNGを輸入する日本や韓国では原油価格にスライドして決定されている。巨額の初期投資を必要とするLNG事業では販売者(カタール・オーストラリアなどのガス開発事業者)と購入者(日本の商社、電力・ガス会社などのユーザー)の間で20年以上の長期安定的な契約を締結することが普通である。この場合価格も両者間で決定されるが、その指標として原油価格が使われているのである。
これに対してヨーロッパでは供給者(ロシア、ノルウェー、アルジェリアなど)と消費者(ヨーロッパ各国)がそれぞれ複数あり、パイプライン事業者を介して天然ガスが取引されており、EU独自の価格体系が形成されている。また完全な自由競争である米国では天然ガス価格は独立した多数の供給者と需要家が市場を介して取引をしており需給バランスにより変動する市況価格として形成される。
ここではJapan Korea Marker価格[2](以下日韓価格)、英国Heren NBP index価格(以下英国価格)、ドイツ平均輸入価格(以下ドイツ価格)及び米国Henry Hub価格(以下米国価格)について2013年から2022年までの推移を比較することとする。なお参考までに原油価格(ドル/バレル)も合わせて比較の対象とした。
2013年の日韓価格は16.56ドル、英国価格10.64ドル、ドイツ価格10.73ドル、米国価格3.71ドルであり、当時の原油価格は108.66ドルであった。米国価格が最も低く、英国価格、ドイツ価格が10ドル台後半で、日韓価格が最も高かった。
2014年から2016年にかけては原油価格が暴落したため、2016年のガス価格はいずれも大幅に下落した。中でも日韓価格は大きく下がり、2015年に7.45ドルと前年の2分の1近くになり、ドイツ価格(6.72ドル)あるいは英国価格(6.53ドル)との格差は縮まった。その後2017年、18年と原油価格は連続して上昇、日韓価格とドイツあるいは英国価格との格差は再び広まったが、コロナ禍の影響で2019及び20年に原油価格が下落すると、米国以外の価格も再び急落した。しかし、コロナ禍の終息、環境問題による天然ガスの需要増にウクライナ紛争が加わり、2022年には過去10年では例を見ないほど天然ガス価格が急騰している。
2022年の日韓価格は34ドルに達し2013年の2倍以上に高騰している。またドイツ価格、英国価格も25ドル前後と10年前の2.4倍に達している。日韓価格を1とした場合、ヨーロッパの価格は0.7倍程度である。
米国価格は2021年までは2ドル乃至4ドルの幅で安定していた。しかし2022年は6.45ドルと大幅に上昇、世界的なLNG争奪競争の影響が出ている。
以上
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[1] 東京ガスHPhttp://www.tokyo-gas.co.jp/IR/library/pdf/investor/ig1000.pdfより。
[2] S&P Global社が北東アジア向けスポットLNGカーゴの価格を入着ベースで評価、発表しているLNG価格指標。(日本取引所グループJPXのHPより)