石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(2)

2024-05-02 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(一人当たり軍事費世界一はイスラエルの2,997ドル、中国は208ドル!)

2.一人当たりの軍事費

(図http://rank.maeda1.jp/7-G03.pdf 参照)

国民一人当たりの軍事費が世界で最も多いのはイスラエルでその額は2,997ドルに達する。(注、カタールは2022年が5,719ドルで世界1位であるが、2023年は明示されていない。) 2位は米国の2,694ドルである。3位はシンガポール(2,195ドル)、4位サウジアラビア(2,052ドル)で、一人当たり軍事費が2,000ドルを超えるのはこの4カ国だけである。

 

5位はクウェイト(1,799ドル)であり、以下10位まではウクライナ、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、オマーンの各国である。

 

上位10カ国の顔ぶれにはサウジアラビア、クウェイト、オマーンのGCC3カ国が並んでいる。サウジアラビアを除きいずれも人口が少なく、豊富な石油収入により一人当たりの軍事費が大きい。すでに触れた通り同じGCC加盟国のUAE及びカタールは今回の統計には明示されていないが、両国も人口が少なく、一人当たりの軍事費がサウジアラビアと肩を並べる世界トップクラスであることは間違いないと言えよう。

 

 極東アジアの主要な国は韓国が18位(925ドル)に入っている。またロシアは24位(758ドル)、台湾28位(694ドル)、日本43位(407ドル)である。軍事大国中国の一人当たり軍事費は208ドルで世界55位、インドは58ドルで世界89位である。中東イスラム諸国では、イラン115ドル(世界68位)、エジプトは28ドル(同112位)である。

 

 日本の一人当たり軍事費は407ドルであるが、日本を1とした場合、サウジアラビアは5.0倍、韓国2.3倍であり、一方中国は日本の2分の1、インドは7分の1である。

 

(続く)

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(149)

2024-05-02 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第6章:現代イスラームテロの系譜(4

 

149イスラームテロの萌芽(4/4)

現代イスラームテロの萌芽はスンニ派過激派組織アル・カイダにある。アル・カイダはサウジアラビアの大富豪ビン・ラーデン一族のオサマが立ち上げたイスラーム原理主義(サラフィー主義)組織であり、当時のアフガニスタン共産主義政権に対して過激なテロ活動を繰り広げた。1989年のソ連撤退と共にアフガニスタンは地元生まれのタリバーンが政権を掌握し、外国勢力アル・カイダの指導者オサマ・ビン・ラーデンはアフガニスタンを去った。

 

オサマの目的は原理主義を他のイスラーム国家でも展開することであった。彼の目には西欧キリスト教国家の自由主義、民主主義によってイスラームの崇高な価値が蹂躙されていると映った。彼は中東・北アフリカのイスラーム諸国を駆け巡り、或いは当時普及し始めたインターネットを利用してムハンマド時代のサラフィー主義に戻れ、と大衆を扇動した。

 

アル・カイダは細胞分裂してイスラーム圏に広まり、各国にアル・カイダを名乗り、或いはその流れを汲むと自称する反政府テロ組織が次々と生まれた。ざっとその名をあげれば、「アラビア半島のアル・カイダ」、「イラクの聖戦アル・カイダ」、インドネシアの「ジャマ・イスラミア」、フィリピンの「アブ・サヤフ」など枚挙にいとまがない。さらには一匹狼的なテロリストが犯行声明でアル・カイダの同調者を名乗るなど「アル・カイダ」はまるでイスラームテロの有名ブランドの様相を呈し創設者のオサマ・ビン・ラーデンは一部民衆から英雄扱いを受けたのであった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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