はじめに
国内1位、2位の石油企業ENEOSホールディングス(以下ENEOS)と出光興産(以下 出光)の2022年度決算(2022年4月~2023年3月)が相次いで発表された。国際石油企業5社(ExxonMobil, Shell, BP, Total及びChevron、以下メジャーズ)の2022年決算(2022年1月~12月)については既に今年3月に「五大国際石油企業2022年業績速報」としてレポートした。本稿はこれら内外7社の決算資料の中から利益、売上高など比較可能な項目を抽出したものである。
メジャーズは四半期決算をメインとし3カ月ごとの数値を公表、第4四半期(10-12月)の決算資料で年間の業績を提示している。これに対してENEOS及び出光の決算期は4月から翌年3月までであり、3カ月ごとに期初(4月)からの累計額を表示している(例えば9月末は4-9月の6か月間、12月末は4-12月の9か月間の累積値である)。
決算期間が3か月ずれているため両者は正確に比較することができない。昨年1月から今年3月にかけては、コロナ禍の終息による需要回復の兆しがあり、また原油価格はOPEC+(プラス)の供給削減により高目に維持された。このような中でメジャーズは昨年1~12月、好調な決算を続けることができた。
一方、日系企業二社は原油が高値に推移したため精製コストが上昇したが、国内エネルギー価格の安定を目指す政府の方針でガソリン販売価格に転嫁することができず(その反面、差額補填により低いながらも一定の利潤を確保することができたのであるが)、利益水準は低いままであった。加えて期中の為替相場が円安であったため、ドル建ての売上、利益等は低くならざるを得なかった。
以上のような事情で、昨年のメジャーズと日系企業の業績はこれまで以上に格差が広がっている。
以下の業績比較では両者の間にこのような大きな違いがあることを含んだうえでご一読いただきたい。
なお日本企業2社の決算金額は各期の決算付属資料に示された為替レートで換算したドル建て表示で比較しており、2022年(度)の場合はENEOS135.0円/ドル、出光135.5円/ドルである。
メジャー五社、ENEOS、出光興産の決算に関するホームページは下記のとおりである。
ExxonMobil:
Shell:
BP:
Total:
https://totalenergies.com/media/news/press-releases/fourth-quarter-and-full-year-2022-results
Chevron:
https://www.chevron.com/newsroom/2023/q1/chevron-announces-4q-2022-results
ENEOSホールディングス:
https://www.hd.eneos.co.jp/ir/library/statement/
出光興産:
https://www.idemitsu.com/jp/content/100042488.pdf
(続く)
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