(原題) Is Hezbollah sincere in ceding ‘resistance’ to Lebanon’s government?
2025/2/26 Arab News

2月23日(日)、数千人がベイルートに集まり、ヒズボラの創始者ハッサン・ナスララの死を悼んだ。ナスララの遺体は殺害から5カ月近く経ってようやく埋葬された。イスラエルの戦闘機が上空から見守る中、盛大に行われた葬儀は、イランの支援を受ける同組織とイスラエルの継続的な対立をはっきりと思い起こさせるものとなった。
昨年11月、ヒズボラの新指導者シェイク・ナイム・カセムは、レバノン政府とイスラエル政府間の停戦協定を履行するため、レバノン軍と緊密に連携することを約束した。「合意の約束を実行するために、ヒズボラとレバノン軍の間で高レベルの調整が行われるだろう」と、同氏は支持者への演説で述べた。
しかし、ナスララ氏の葬儀の騒ぎが収まるにつれ、重要な疑問が浮上する。多くの人が想定したように、ヒズボラは本当に「レジスタンス」の支配権をレバノン国家に譲るつもりなのか?
レバノンで長らく支配的勢力であったヒズボラは、ハマス主導のパレスチナ過激派によるイスラエルへの攻撃の翌日である2023年10月8日から14か月にわたるイスラエルとの紛争で大きな損失を被った。ナスララ氏は、2024年9月27日、ヒズボラの司令官らと会談していたところをイスラエル軍に爆撃され死亡した。事態をさらに悪化させたのは、12月にシリアで同盟国のバッシャール・アサドが失脚したことだった。アサドは中東の過激派グループにとって、イランからの武器入手の頼みの綱だった。
情報筋は、戦争でヒズボラの金庫が空になり、戦死した兵士の遺族や戦争中に事業や家を失った支持者への財政的義務を果たすことができなくなったと語っており、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、ヒズボラの主要金融機関であるアル・カード・アル・ハッサンが、すでに発行された補償金の支払いを凍結した、と報じている。
イスラエルは安全上の懸念を理由に、ブルーラインのレバノン側にある5つの戦略的拠点に駐留を拡大している。イスラエル軍報道官のナダフ・ショシャニ氏は、これを「一時的な措置」と表現し、避難したイスラエル人コミュニティを保護するためのものだと述べている。しかし、レバノン当局はこれを「占領」とみなしており、ワシントンやパリと外交努力を行い、イスラエルの完全撤退を確保しようとしている。
日曜日の演説で、カセム氏は「前任者の方針を踏襲する。抵抗は終わっていない」と主張した。同氏は、レバノン政府がアメリカの圧力に屈し、特にベイルートのラフィク・ハリリ国際空港へのイランの飛行機2機の着陸を阻止したことを非難した。

この決定は、イスラエルの攻撃が差し迫っているという米国の警告に影響されたと伝えられており、抗議活動を引き起こし、ヒズボラ支持者が街頭に繰り出して国連の車列を襲撃し、平和維持部隊2名が負傷した。UNIFIL平和維持部隊への攻撃は即座に非難を呼び、ジョセフ・アウン大統領はこれを「国際法の明白な違反」と呼び、治安部隊が国を不安定化させる者に対して行動すると誓った。
レバノンの新政府は、国際的な信用の必要性とヒズボラの根強い権力の現実との間でバランスを取らなければならないという危うい立場に置かれている。レバノン議会は2日間の討論を開始、討論の冒頭でナワフ・サラム首相は国家による武力行使の独占を改めて強調し、リタニ川以南でのヒズボラの武装解除を求める国連決議1701号の履行の必要性と、レバノンの主権と領土保全に対する自身のコミットメントを強調した。
ヒズボラがレバノン全体の利益のために新政権と協力する意向を示しているように、同グループの議会派閥の長であるモハメド・ラードは火曜日、サラム政権を支持する声明を発表した。ラード氏は、「我々は政府に信頼を置いておr、新政権が国の真の救済への扉を開くことに成功することを期待している」と述べ、さらに、「我々は国家主権とその安定を維持し、改革を達成し、国家を前進させるために最大限協力することに熱心だ」と付け加えた。
サラム首相は国連決議1701号へのレバノンの関与を再確認したが、ヒズボラの同意なしにこの任務を執行できる兆候はほとんどない。経済学者で政治顧問のナディム・シェハディ氏はアラブニュースに対し、「現政権の任期は限られており、いくつかの優先事項がある。停戦協定の実施はその最優先事項だ。これがどれだけ迅速に行われるかは、政治的な問題であると同時にロジスティクスの問題でもある。レバノン軍が政治的同意なしにヒズボラを武装解除できると想定するのは間違いだ。停戦協定には相反する解釈がある。」、「日曜日のナスララ氏の葬儀は意義深いものだった。カセム氏の断固とした妥協のない演説を伴った政治的な力の誇示だった」と語っている。
米国はヒズボラの武装解除に対する立場を明確にし、レバノンへの財政援助をこの方面の進展と結び付けている。2024年、レバノンはUSAIDから2億1900万ドル、国務省からさらに1700万ドルを受け取った。ドナルド・トランプ大統領の援助停止の決定は、レバノンに決議1701を完全に履行させ、ヒズボラの再軍備を阻止するよう圧力をかけるための手段であると多くの人は考えている。
ナスララ氏の葬儀にヒズボラが大勢参列したことは、同組織の影響力が続いていることを強調した。ヒズボラの新指導者カセム氏は、「ガザを支援する我々の闘いは、パレスチナ解放に対する我々の信念の一部だ」、「我々は、ガザ、パレスチナ、レバノン、イラク、イランに対して陰謀を企てているシオニスト政権とその支援者である大暴君米国と対峙する」と語っている。
対照的に、アウン大統領は葬儀のためにベイルートを訪れていたイラン代表団に対し、「レバノンは自国領土内での他者の戦争にうんざりしている。各国は他国の内政に干渉すべきではない。」と語った。
アラブニュースの最近の論説で、米アラブ関係の専門家であるダニア・コレイラット・ハティブ氏は次のように述べた。「米国は、イスラエル軍がレバノンに駐留し続け、ヒズボラのメンバーを排除しようとする作戦が長期的には同組織を強化するだけだと理解するほど賢明であるべきだ。安定のためにはイスラエルは撤退し、レバノン国家は強化されなければならない。そうなれば、ヒズボラは最終的に武装組織として解体されるだろう。」ヒズボラは停戦実施のためレバノン政府と緊密に連携すると確約しているが、その言葉と行動は別の物語を語っている。
現在でも、ヒズボラはレバノンで最も強力な武装組織であり、批判者からは国家の主権を弱体化させながら、その課題を外部の主体に責任転嫁していると見られている。財政難が長期的にはヒズボラを弱体化させるかもしれないが、今のところレバノンの安全保障に対するヒズボラの支配力はこれまで以上に強固に見える。
レバノン政府が国防に対する完全な統制を主張できるかどうか、あるいはヒズボラが国家内の国家であり続けるかどうかは、未解決かつ差し迫った問題のままである。
以上
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