石油と中東

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IMF世界経済見通し:来年にかけて緩やかに成長する世界経済 (上)

2023-02-07 | その他

IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook Update、January 2023)」を発表した。 このレポートでは全世界、EU、ASEANなどの主要経済圏及び日米中印など主な国々の2020年(実績)から2024年(予測)まで4年間のGDP成長率が示されている。

 

本稿では今年(2023年)及び来年(2024年)の世界、主要経済圏、主要国の成長率を比較し、また前回2022年10月の経済見通しに対してGDP成長率がどのように見直されたかを検討する。さらに昨年2022年1月から今回まで5回の見通しで、2023年の成長率がどのように見直されてきたかを精査する。

 

*WEOレポート:

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2023/01/31/world-economic-outlook-update-january-2023

(同日本語版)

https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2023/01/31/world-economic-outlook-update-january-2023

 

(今年の世界の成長率2.9%、多くの国で前回見通しを上方修正!)

1.2023年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)

 今回1月見通しでは今年の世界の成長率は2.9%とされており、前回10月の2.7%から0.2%上方修正されている。これはコロナ禍が終息傾向にあり中国の経済活動が復活するとの見通しによるものと考えられる。但しウクライナ紛争の先行きが見えず、またエネルギー価格の上昇など経済を下押しする要因もあり必ずしも楽観視できない要因もある。

 

 経済圏で見るとEU圏の2023年の成長率は0.7%であり、10月の数値と変わらない。これに対してASEAN5カ国は4.9%から4.3%に下方修正され、中東・中央アジア諸国も3.6%から3.2%に引き下げられている。EU圏はウクライナ紛争における対ロシア経済制裁及びエネルギー価格の急騰が西欧諸国にブーメラン効果を及ぼしており、昨年後半から経済成長が停滞している。また石油・天然ガスの産出国が多い中東・中央アジア諸国は、エネルギー価格高騰の恩恵を受け世界平均を上回る成長率であるが、こちらもエネルギー価格高騰が世界の経済成長を押し下げるブーメラン効果に見舞われ成長率が鈍化すると見込まれている。

 

 国別では今年の成長率は米国2.9%、日本1.8%、ドイツ0.1%、英国▲0.6%、中国5.2%、インド6.1%、ロシア0.3%である。中国はつい最近まで二桁の高い成長率を続けてきたものの、コロナ禍により成長率が急減速している。しかしそれでも世界平均の2.9%を上回る成長率が見込まれている。これに対してヨーロッパ諸国は上記の通りEU圏の成長率が1%を下回り、ドイツは0.1%とわずかな成長にとどまり、また英国はマイナス成長と見込まれるなどヨーロッパ諸国の不振が際立っている。

 

 一方アジアでは中国及びインドが5%を超える成長率が見込まれ、特にインドは世界最高水準の高度成長を達成しそうである。サウジアラビアは世界平均に近い成長が見込まれるが、これに対してロシアは0.3%の低成長にとどまっている。同国はサウジアラビアに並ぶ石油・天然ガスの生産国であるが、ウクライナ紛争の長期化による国内経済の悪化及び欧米諸国による経済制裁が大きく響くものと考えられる。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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                              E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 


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