(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0607ImfWeoJuly2024.pdf
IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook Update、July 2024)」(以下、WEO)を発表した。 このレポートでは全世界、EU、ASEANなどの主要経済圏及び日米中印など主な国々の2022年(実績)から2025年(予測)まで4年間のGDP成長率が示されている。
本稿では今年(2024年)及び来年(2025年)の成長率を比較し、また前回4月の経済見通しに対してGDP成長率がどのように修正されたかを検証する。そして全世界及び主要経済圏並びに7カ国(日、米、中、印、独、露、サウジアラビア)の2023年から2025年の3年間の成長率の推移を比較する。
*WEOレポート:
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2024/07/16/world-economic-outlook-update-july-2024
(今年の世界の成長率は3.2%、前回4月見通しと変わらず!)
1.2024年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
今回7月見通しでは今年の世界の成長率は3.2%とされており、前回4月と変わっていない。IMFは世界経済が足踏み状態にあると分析している。
経済圏別に見るとEU圏の2024年の成長率は1.2%であり、4月の数値を0.1%アップしている。またASEAN5カ国は4.5%で前回4月と変化はない。これに対して中東・中央アジア諸国は石油生産と地域紛争が引き続き見通しの重しとなるため2.8%から2.4%に引き下げられている。
国別では今年の成長率は米国2.6%、日本0.7%、ドイツ0.2%、英国0.7%、ロシア3.2%、中国5.0%、インド7.0%である。日本とヨーロッパ先進国の成長率はいずれも1%以下であり、経済の回復は緩慢である。このような中で米国の成長率は2.6%と日欧に比べかなり高い。但し前回(4月)見通しと比べると米国は2.7%→2.6%、日本は0.9%→0.7%と下方修正されているのに対して、欧州各国は上方修正または現状維持されており、日本に対する評価が厳しい。
これら先進国に比べBRICS諸国の成長率は高い水準にある。特にインド(7.0%)は世界で最も高く、世界平均(3.2%)の2倍以上である。中国(5.0%)も世界平均を上回っており、また前回4月の4.6%を上方修正しており、インドと中国が世界の成長をけん引している。ウクライナ戦争下で欧米の経済制裁を受けて厳しい状況にあるロシアではあるが、成長率は世界平均と同じ3.2%である。日欧向けの石油・天然ガスの輸出はほぼストップしているが、それに代わりインド、中国向けが増加しており、経済的な影響は少ないとみられる。
産油国のサウジアラビアは1.7%であり、前回4月見通しの2.6%が大幅に下方修正されている。OPECプラスの協調減産は年内一杯続くと予測され、世界経済の回復も足踏み状態であることから、石油輸出に頼る同国経済も厳しい状況が続いている。
(続く)
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