国際石油企業(International Oil Companies, IOCs)の2022年第4四半期(10-12月)及び年間(1-12月)の決算が発表された。本稿ではExxonMobil(米)、Shell(英), bp(英), TotalEnergies (仏)及びChevron(米)の5社を取り上げ、各社の売上高、利益、設備投資額、キャッシュフロー、バランスシート及び石油・ガス生産量を概観し、さらに過去8年間の業績比較を行う。
- ５社の2022年第4四半期（10-12月）及び通年(1-12月)業績概要（続き）
以下の各表参照。
表A：http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)
表B：http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20B.pdf (キャッシュフロー)
表C：http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20C.pdf （石油・ガス生産量）
(5社の中で唯一通年赤字のbp！)
３．bp[１]
＊同社ホームページ：
(1)売上高
ｂｐの2022年10-12月の売上高は704億ドルであり、また通年売上高は2,489億ドルであった。前年同期比では10-12月期は35％、通年ベースでは52％の増収である。
(2)利益
10-12月期の利益は108億ドルで前年の23億ドルに比し大幅増益となっている。一方、通年ベースで見ると前期の76億ドルの利益に対し今期は▲25億ドルの損失である。比較した5社の中でbpは唯一通年赤字となっている。これはロシアのロスネフチ社への出資を解消したため昨年1‐3月期に巨額の損失を計上したことが理由である[２]。因みにこの要素を除いた調整利益は277億ドルであり、過去最高益である。
(3)売上高利益率
通年ベースの売上高利益率は▲1％であった。
(4)設備・探鉱投資
2022年の設備・探鉱投資額は163億ドルであり、2021年に比べ27％増加している。
(5)キャッシュフロー
bpの2022年の年間営業キャッシュフローは409億ドルであった。これに対して投資キャッシュフロー及び財務キャッシュフローはそれぞれ▲137億ドル、▲280億ドルであった。この結果同社の2022年末キャッシュフロー残高は前年末横ばいの292億ドルとなっている。
(6)石油・ガス生産量
昨年のｂｐの石油生産量は日量平均952千B/Dであり、5社の中で唯一100万B/Dを下回っている。また天然ガスは日量平均1，998mmcfdで前年より5%増加している。
石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で1,297千B/Dであった。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行
〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
[１] bpの売上、利益、設備投資及びキャッシュフローは決算資料の下記項目による。
売上：Total revenue and other income
利益：Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
設備投資：
営業キャッシュフロー：Net cash provided by operating activities, Condensed group cash flow statement
投資キャッシュフロー：Net cash used in investing activities
財務キャッシュフロー：Net cash provided by (used in) financing activities
年末キャッシュフロー残高：Cash and cash equivalent at the end of the period
[２] 「2022年1‐3月期五大国際石油企業決算速報」参照。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます