石油と中東

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IMF世界経済見通し:来年にかけて緩やかに成長する世界経済 (下)

2023-02-12 | その他
  1. 2023GDP成長率見直しの推移

 IMFの世界経済見通しは毎年4月、10月に全世界200弱の国について成長率の見直しが行われ、さらに1月及び7月には主要な国と経済圏の成長率が発表されている。主要な国と経済圏については3カ月ごとに検証されていることになる。

 最近の特徴はコロナ禍、ウクライナ紛争、エネルギー価格の高騰など国際経済を取り巻く環境が不透明感を増していることである。このためIMFの成長率見通しも3カ月ごとに大きく変動すると言う特徴が見られる。

 ここでは直近5回(2022年1月、4月、7月、10月及び今回2023年1月)の成長率見直しの推移を比較する。

 

(昨年連続して引き下げられた世界と米中の成長率!)

3-1 全世界及び日本、米国、中国

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03a.pdf 参照)

 直近5回のIMF経済見通しにおける2023年の世界のGDP成長率は2022年1月見通しでは3.8%であったが、その後4月は3.6%、7月2.9%、10月2.7%、今回2.9%に修正されている。4月から7月にかけてそれまでの3%台から2%台に下方修正され現在に至っている。

 

 米国は2.6%→2.3%→1.0%→1.0%→1.4%である。2022年7月に大きく下方修正されており、今年1月の予測値でも1%台前半にとどまっている。中国の場合は、5.2%→5.1%→4.6%→4.4%→5.2%であり、昨年7月に引き下げられたのち、今回は1年前の予測値と同じ成長率に見直されている。

 

 日本の2023年成長率の過去1年間の見直しは1.8%→3.3%→1.7%→1.6%→1.8%と見直されている。昨年4月には成長率が一旦3%台に上方修正されたが、その後は再び1%台後半の成長率に戻っている。エネルギー価格の急騰は日本経済のアキレス腱であり、このことが早期の成長率回復の障害になっているようである。

 

(インドは6%の高度成長、OPEC+の盟主に極端な明暗!)

3-1 ロシアとサウジアラビアとインド

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03b.pdf 参照)

 サウジアラビアとロシアは米国と並ぶ三大産油国であり、両国はOPEC+(プラス)の盟主として最近の石油価格の高値安定を主導している。昨年1月時点では2023年の成長率見通しはサウジアラビア2.8%、ロシア2.1%であり拮抗していたが、2月のウクライナ紛争ぼっ発により両国は明暗が分かれた。

 

 紛争により石油価格が急騰したことは輸出国のサウジアラビアに大きな追い風となった一方、紛争当事者のロシアは経済制裁の影響を受け経済に深刻な懸念が生まれた。7月の成長率予測ではサウジアラビアの成長率が3.6%に上方修正されたのに対し、ロシアは一転して▲2.3%のマイナス成長に転落している。その後紛争の長期化の兆しが見られる中で2023年のロシアの成長率はマイナスが続くと予測されていたが、今回(1月)は今年の成長率はプラスになると予測されている。ただしIMFが次回4月の見直しでプラス成長を維持するか否かは極めて不透明であると言えよう。

 

 アジアの経済大国であるインドの2023年のGDP成長率予測は、7.1%(2022年1月時点)→6.9%(4月)→6.1%(7月)→6.1%(10月)→6.1%(本年1月時点)である。昨年7月に下方修正され今回に至っているが、それでもインドの今年の成長率は世界平均を大きく上回る見通しである。

 

以上

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 


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