(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第7章:「アラブの春」―はかない夢のひと時(2)
169 もう沢山!長期独裁に倦んだ大衆(2/4)
MENAで最初に独裁者の地位を得たのはリビアのカダフィであった。カダフィのことは第4章でもふれたが、彼は1969年にクーデタで当時の国王を倒して最高指導者となった。若干27歳であった。彼はそれから42年間もその地位を保ち、2011年に内戦で69歳の人生を終えた。
彼の後に現れたのがシリアのハフィーズ・アサドである。シーア派の一派とされるシリア北部のアラウィー派の少数部族出身のアサドは空軍将校を経てバース党内で頭角を現した。1971年に大統領に選出されたハフィーズは長期政権体制を確立し次男のバシャール・アサドを後継者に指名して2000年に心臓まひで死亡した。バシャール・アサドは現在も同国大統領の座にある。親子で通算するとすでに半世紀以上経過している。
このほか1970年代に一国のトップに駆け上り、その後長期間にわたり独裁を続けた人物にイエメンの故サーレハ大統領とイラクの故フセイン大統領がいる。サーレハは陸軍総司令官を経て36歳の時の1978年に統一前の北イエメン大統領に就任、南北統一後も大統領の座を守り2011年のアラブの春で失脚した。彼は下野した後も反政府のフーシ派と連合勢力を結成、首都サナアを占拠して復活を狙っていたが、2017年にフーシ派によって暗殺された。2011年までの大統領在任期間は33年に達する。そしてイラクのサダム・フセインはバース党幹部から1979年にイラク大統領に就任した。その後、イラン・イラク戦争さらに湾岸戦争をしぶとく生き延びたが、2003年のイラク戦争で失脚、裁判によって処刑された。彼の大統領在任期間は24年間であった。
(続く)
荒葉 一也
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