2.売上高 (続き)
(原油価格とほぼ連動するメジャーズ、影響の薄いENEOS/出光!)
(2)2018年(度)~22年(度)年間売上高の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-12.pdf 参照)
2018年(度)から2022年(度)までの5年間の年間売上高の推移を見ると、まず目につくのは原油価格との連動性である。メジャーズ5社は原油価格の変動との相関性が極めて高いのに比べ、邦系2社の売上高は相関性が低い。ENEOSと出光の変動が少ない理由は本稿の冒頭でも触れた通り原油価格の変動をほぼ自動的に製品価格に転嫁できる制度に助けられていることが主因である。と同時に国内の石油市場が成熟しており需要が好不況に左右されにくいためであると考えられる。
具体的に年(度)の推移を見ると、2018年(度)はShellが3,884億ドルと最も多く、次いでbp2,988億ドル、ExxonMobil2,902億ドル、TotalEnergies2,094億ドルでChevronがメジャーズでは最も少ない1,589億ドルであった。これに対してENEOSは1,021億ドルと1千億ドルの大台を超えたが出光は399億ドルにとどまり、Shelの10分の1である。
2018年のBrent原油年間平均価格は71ドル/バレルであったが、2019年は64ドル/バレルに下落、各社の売上も減少した(但し出光のみは売り上げがアップ)。7社の売上順位は変わらなかった。しかし2020年(度)には新型コロナ禍で世界の景気が一気に冷え込み、Brent原油価格も前年比で30%以上下落した結果、Shellの売上高は対前年比でほぼ半減1,805億ドルとなった。特にbpの落ち込みは激しく前年の2,784億ドルから1,091億ドルに激減している。一方、ENEOSは前年比21%の下落にとどまり、売上高(722億ドル)はメジャーズで最も少ないChevron(945億ドル)の8割弱であった。
2021年(度)から2022年(度)にかけては、コロナ禍の終息及びOPEC+の減産強化により原油価格は急上昇し、例えばBrent年間平均価格は42ドル→71ドル→101ドルと2年間で2.4倍に急騰した。これにつれてメジャーズ各社の売り上げも急伸、トップのExxonMobilの売上高は1,815億ドル→2,856億ドル→4,137億ドルに急増した。その他の4社も同様であり、各社とも3年間で売上高は2倍以上となっている。これに対してENEOS、出光のこの間の売上は1.5倍程度にとどまり、2020年(度)以降メジャーズとの格差は再び大きくなっている。
(続く)
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