石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

現地記事転載:「トランプ大統領によるUSAIDプログラム停止がアラブ諸国に及ぼす影響」(2)

2025-03-09 | 現地紙記事転載
(原題) What shutdown of USAID programs means for vulnerable Arab countries
2025/3/4 Arab News

 
イラク
2003年に米国主導の侵攻でサダム・フセイン政権が倒れて以来、USAIDはイラクの復興支援に数十億ドルを費やしてきた。USAIDは清潔な水の供給、食糧援助、医療、暴力被害を受けた女性への支援に資金を提供した。また、同機関は事業の成長と地域経済の活性化のための助成金を提供し、給水と食糧生産の改善に向けた開発プロジェクトに資金を提供した。2023年にイラクで支出された金額は2億2000万ドル以上だが、現在中止されている長期プロジェクトの多くは、長年にわたる支出約束に基づいていた。

「先週、契約が広範囲にキャンセルされる前、一部の国連機関やNGOは不可欠な支援を続けていた。現在、USAIDの資金援助に関連するすべての活動が停止している。」と、USAID職員の1人は語った。これには、北部クルド地域の21の公式キャンプにいる10万人の避難民への支援も含まれていた。
USAID職員は、イラクにおける米国の外交政策の最近の歴史を考えると、この停止はイラク人にとって特に辛いものだと語った。同職員は、援助停止は過激派イデオロギーが再び勢いづく道を開き、イラクを再び混乱に陥れるリスクがあると語っている。「米国がこの地域で重要な同盟国とみなす国から、我々はその足元をすくい取っているのです。」

シリア
人道支援団体は、12月にバッシャール・アサド大統領が失脚した後、新しいシリアの状況を把握し始めたばかりだった。14年間続いた内戦の間、シリアに支援物資を届ける方法は、戦闘当事者による領土分割とアサド政権に対する国際的制裁によって妨げられた。ようやく、ダマスカスの新支配者が国土の大部分を掌握し、人道支援活動の協調的な急増が可能になったようだ。

「シリアでは14年ぶりに『国全体』の対応を実際に行う機会が訪れた」とシリア国際NGO地域フォーラムのイムルル・イスラム氏はアラブニュースに語った。国連によると、戦争により1600万人以上のシリア人が人道支援を必要としている。イスラム氏は、シリアにおける人道支援資金全体の少なくとも4分の1はUSAIDが負担しており、特にシリア北部では不可欠な支援物資の配達をNGOに頼っていると推定している。

1月にUSAIDから資金提供を受けたNGOに「作業停止」命令が出されたとき、それは痛烈な打撃だった。シリアの援助団体は、ほとんどのプロジェクトがほぼ一夜にして停止したため、宙ぶらりんの状態になった。団体は借金を積み上げて不可欠な物資の供給を続けた。

シリアのNGO調整フォーラムは影響の規模を評価しているが、イスラム氏はその結果「人々が死ぬ」と警告している。いくつかの国際NGOは資金の95%をUSAIDに依存しており、現在シリアから完全に撤退する必要があるかどうかを検討している。

2月現在、NGOは水と衛生プロジェクトの停止により少なくとも30万人が影響を受け、約60万人が食糧支援を受けていないと推定している。シリア北東部だけでも、少なくとも毎月2,800人が外科手術を受けられなくなる。

(続く)
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