(3) LNG貿易(続き)
(3割を切ったカタールのLNG輸出シェア!)
(3-2) 2008年~2017年の国別輸出量の推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G03.pdf 参照)
2008年に2,265億㎥であったLNGの輸出量は毎年伸び、特に2010年及び2011年の2カ年はそれぞれ前年比24%及び10%と言う二桁台の大幅な伸びを示し3,000億㎥を突破した。2012年及び2015年の両年は前年比で減少したものの2017年のLNGの輸出総量は3,934億㎥であった。これは2008年の1.7倍であり、この間の年平均成長率は5.7%を記録している。
国別で見ると2008年当時はカタールの輸出量は397億㎥で全世界に占める割合は18%であり、マレーシアが300億㎥弱であった。その後2009年から2011年にかけてカタールの輸出量が急激に増加、2011年には1千億億㎥を突破、世界に占める割合も3割を超えている。カタールは年産7,700万トン体制と呼ばれる世界最大のLNG生産能力を確立したことが飛躍の大きな要因である。このころから米国でシェールガスの開発が急速に発展しカタールの対米輸出の目論見が外れたため同国の過剰設備が危惧されたが[1]、福島原発事故によるLNGの突発的需要増で設備はフル稼働の状況となった。日本にとっては不幸な原発事故ではあったが、カタールには思わぬ僥倖だったと言えよう。但し2013年の1,056億㎥、シェア33%をピークにカタールの輸出量は足踏み状態となり、その結果市場シェアは下降気味であり、2017年には30%を割り、26%と2010年の水準に逆戻りしている。
一方でロシアがLNG輸出能力を高めつつあり、またオーストラリアでは新しいLNG輸出基地が稼働を始め、さらに米国でも輸出が始まるなどカタールの地位を脅かす動きが出ている。特にオーストラリアの伸びが著しく、2017年の輸出量は2008年の4倍弱の759億㎥に達し、世界シェアも19%で、カタールに次ぐ世界第2位の地位を確立している。
インドネシアはかつてカタールと並ぶLNG輸出大国であったが、ここ数年LNG輸出量は減少に歯止めがかからず2011年の386億㎥をピークに急減、ここ数年は200億㎥をわずかに上回る横ばい状況である。同国は大きな人口を抱えているため今後輸出余力が乏しくなるのは間違いなく、かつて石油の輸出国から純輸入国に転落したようにいずれ天然ガスについても同様の道を歩む可能性は否定できない。
(続く)
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