(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0563BpWorldEnergy2022.pdf
6.石油と天然ガスの価格
(OPEC+協調減産とCOVID-19で変動激しい最近の原油価格!)
1.指標2原油の2000~2021年年間平均価格の推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/6-G01a.pdf 参照)
ここでは国際的な原油価格の指標として使われる米国WTI(West Texas Intermediate)原油及び英国北海Brent原油の年間平均価格(ドル/バレル)とその推移を検証する。
2021年の年間平均価格はBrent原油が70.91ドル(バレル当たり。以下同様)、WTI原油68.10ドルであった。Brent価格を100とした場合WTI原油は96である。
2000年以降の価格の推移をBrent原油の動きで見ると、2000年の28.50ドルから2003年までは大きな変動はなかったが、その後は上げ足を速め2004年には40ドル弱、2005年に50ドルの大台を超えるとさらに急騰、2008年の年央にはついに史上最高の147ドルに達し、同年の平均価格も100ドル目前の97.26ドルを記録している。
同年のリーマンショックで2009年には一旦61.67ドルまで急落したが、再び上昇気流に乗り2011年の年間平均価格はついに100ドルを超えて111.26ドルになり、その後2012年、2013年も平均価格は110ドル前後と原油価格は歴史的な高値を記録、これは2014年前半まで続いた。
しかしその数年前から米国のシェールオイルの生産が急激に増えた結果、市場では供給圧力が高まり、Brent原油価格は米国WTI原油に引きずられ弱含みの状況になった。これに対してOPECは2014年6月の定例総会で生産目標3千万B/Dの引き下げを見送ったため市況は一挙に急落、年末にはついに50ドル割れの事態となった。2015年前半は一時60ドルまで値を戻したが、後半はさらに値下がりし、年末には40ドルを切った。2016年に入っても値下がり傾向は止まらず、この結果2016年のBrent原油の年間平均価格は43.73ドルとなりわずか3年間で半値以下に暴落した。
そこでOPECはロシアなど非OPEC産油国を巻き込んだ(いわゆるOPEC+)協調減産体制を構築した。この減産効果により2017年々央40ドル台に沈んでいた原油価格は高値に転じ、2018年9月にはBrent原油は80ドル台まで高騰した。しかし2018年10月以降、原油価格は再び50ドル前半まで下落、OPEC+は2019年1月以降更なる減産体制に入った結果、同年のBrent原油年間平均価格は64.21ドルに上昇した。
ところが2020年に入ると世界にCOVID-19(新型コロナ禍)が蔓延、経済活動が麻痺し、原油需要も急落して同年のBrent年間平均価格は41.84ドルに下落した。その後2021年に入りコロナ禍が多少収まり原油需要が回復しており、OPEC+は需要の動向を慎重に見極めつつ小刻みな増産を続けており、その結果2021年の年間平均Brent価格は70.91ドルとなり、コロナ禍前の2018年の水準に戻っている。
(続く)
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