石油と中東

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原油高値と円安で拡大する国際石油企業と日系企業の格差:2022年(度)業績比較 (6)

2023-06-02 | 海外・国内石油企業の業績

2.売上高利益率 

(二桁の利益率を確保したメジャー3社、水面すれすれのENEOS/出光!)

(1)2022年(度)売上高利益率

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-03.pdf 参照)

 2022年(度)の売上高利益率を比較するとENEOSは1.0%、出光は2.7%であり、メジャーズ5社で最高のChevron(15.0%)とは圧倒的な格差がある。またExxonMobil(13.5%)およびShell(11.1%)も二桁の利益率を確保しており、TotalEnergies(7.3%)と比較しても大きく見劣りする。メジャーズの中でただ1社bpのみがマイナス(▲1.0%)でENEOS、出光を下回っている。

 

(コロナ禍の影響大きいメジャーズ、可もなく不可もないENEOS/出光!)

(2)2018年(度)~22年(度)売上高利益率の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-13.pdf 参照)

 2018年(度)から2022年(度)までの5年間の売上高利益率の推移を見ると、メジャーズと邦系2社の動きは大きく異なる。即ち、メジャーズ5社は2020年にいずれも利益率が大幅なマイナスに落ち込み、その後、2021年、2022年は利益率が急激に改善している(2022年のbpは例外)。これに対し、ENEOS及び出光は2019年度を除き、過去5回中4回はプラスであった。ただし、その利益率はメジャーズ各社に比べて極めて低く、5年間を通じて可もなく不可もないという状況である。

 

 具体的に年(度)の推移を見ると、2018年(度)はChevronが9.3%で最も高い利益率を示し、以下ExxonMobil(7.2%)、Shell(6.0%)、TotalEnergies(5.5%)、bp(3.1%)、ENEOS(2.9%)、出光(1.8%)であった。2019年(度)はChevronの利益率が急下降(2.1%)したが、その他メジャーズ4社はほぼ横ばいであった。これに対してENEOS/出光両社は共にマイナスとなっている。これは2020年初にコロナ禍が始まり、同年1-3月に大きな損失が発生しており、4-3月決算の邦系2社に影響したためである。

 

 2020年(度)はコロナ禍が企業業績を大きく圧迫しメジャーズ5社を直撃している。利益率もbp(▲18.6%)を筆頭にExxonMobil、Shellは▲12%台、Chevron、TotalEnergiesも▲5%台の損失率となった。しかし邦系2社は原油価格の製品価格への転嫁を認める政府のエネルギー政策のおかげで損失を出さずプラスの利益率となっている。

 

2022年(度)は原油価格が回復、bpを除くメジャーズ4社の利益率は5%を上回り、特にChevron,ExonMobil及びShell3社は二桁台の利益率を達成している。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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