ウクライナ、中東パレスチナ、スーダン等、世界各地で戦争が絶えない。各国の軍事費と武器の輸出入も巨額に達している。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表しているSIPRI Military Expenditure Databaseによれば2023年の世界各国の軍事支出の総額は2兆3,900億ドル、武器の輸出入額は2,850億ドルとされている。
(注)詳細については昨年5月1日から10日まで8回にわたり掲載した「世界ランクシリーズ7:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入」参照。
本稿ではSIPRIのArms Industry Databaseを手掛かりに、世界の戦争を裏側で支えている兵器メーカー上位100社の2023年売上高を紹介する。なおメーカーの中には兵器製造を専業とするメーカー(Lockheed Martin社など)と、兵器及び一般産業機器を製造する複合メーカー(三菱重工業など)の二種類があるが、ここでは各社の兵器部門の売上高を比較し、必要に応じて兵器部門の総売上高比率を併記している。
1.世界の兵器メーカートップ10社の売上高
世界の兵器メーカートップ10社の会社名、所属国及び2023年の売上高は以下のとおりである。
会社名 所属国 売上高(兵器部門のみ)
1位 ロッキードマーティン 米国 608億ドル
2位 RTX(旧レイセオン) 米国 407億ドル
3位 ノースロップ・グラマン 米国 356億ドル
4位 ボーイング 米国 311億ドル
5位 ゼネラル・ダイナミックス 米国 302億ドル
6位 BAEシステムズ 英国 298億ドル
7位 Rostec ロシア 217億ドル
8位 AVIC(中国航空工業集団) 中国 209億ドル
9位 NORINCO(中国兵器工業集団) 中国 206億ドル
10位 CETC(中国電子科技集団) 中国 161億ドル
1位のロッキードマーティン社(米)の兵器部門の売上高は608億ドルで2位RTXの1.5倍である。ロッキ-ド社全体の売上高は676億ドルであり、兵器部門が全売り上げの90%を占め、兵器専業メーカーと言えよう。これに対し2位のRTX社(米)の全売上高は689億ドルとロッキードを上回る規模を誇っている。
1位から5位までは米国企業である。後に述べるように100社のうち米国は4割を占めており、米国が世界の兵器製造を独占していることがわかる。これに次いで6位、7位には英国、ロシアのメーカーがあり、8位から10位までは中国の企業集団が入っている。
但し、上記はあくまで金額ベースで見たものであり、米国はミサイル、戦闘機、戦艦、重車両など高価なハイテク大型兵器を得意としていることが上位に名を連ねている理由である。世界には小型銃火器、爆薬など比較的安価な兵器を得意とする国も少なくなく、また最近では同種の従来兵器に比べてはるかに安価なドローン型兵器が出回り始めていることも留意する必要があろう。
(続く)
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