石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月12日)

2013-03-12 | 今日のニュース

・サウジアラビア、アジア向け3月積みは契約数量通り供給。中国の需要増見通しで第二四半期増産の気配

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三大国際石油企業2012年度業績速報シリーズ(4)

2013-03-12 | 海外・国内石油企業の業績

II.Shellの業績(下)
 
2.2008~2012年の業績推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93cShell.pdf参照)
2008年から2012年までの過去5年間の売上、利益、設備投資及び生産量は以下の通りであった。

(1) 売上高
 2008年に4,709億ドルであったShellの売上は2009年には2,851億ドルに急減したがその後は再び増加に転じ、2010年は3,782億ドル、2011年には4,845億ドルに達し2008年の水準を上回った。2012年もほぼ前年並みの4,817億ドルであった。
 後述するとおりShellの石油・天然ガスの販売量は過去5年間さほど大きな変動はなかった。従ってこの間の売上増減の最大の理由は、石油価格の急騰と急落によるものである。すなわち2008年から2009年にかけては石油・天然ガスの合計生産量は325万B/Dから315万B/Dへ3%減少したが、売上高は40%も減少している。それに対して2009年と2010年を比べると生産量が5%増加したのに対し売上高は33%増加しており、いずれの場合も売上は生産の増減幅を上回っているのである。
 さらに2011年は生産量が対前年比で3%減少しているにもかかわらず売上高は54%と大幅に増加しており、逆に2012年は生産量は前年比1.5%増加したが売上高は0.6%減少している。このように売上高と利益と生産量は相互の関連性が乏しく、売上と利益の変動は石油価格によるものである。

(2) 利益
 Shellの利益は2008年の263億ドルから2009年には125億ドルに半減した。その後利益は急回復し、2010年には200億ドル台を回復、2011年には過去最高の309億ドルに達した。2012年は前年比14%減の266億ドルであった。
 これを売上高利益率で見ると2008年は5.6%であったが、その後も2009年4.4%、2010年5.3%、2011年6.4%、2012年5.5%と安定した利益率を達成している。但しメジャートップのExxonMobilと比べた場合、ExxonMobilの利益率は2008年9.5%、2010年7.9%、2012年9.3%と高い水準を誇っておりShellの利益率はExxonMobilの6割前後に留まっている。

(3) 設備及び探鉱投資額
 投資額は2008年351億ドル、2009年265億ドル、2010年269億ドルであり、いずれもその年の利益額を上回っている。2011年、2012年の投資額はそれぞれ263億ドル、326億ドルであった。なお投資に占める上流部門の比率は2008年は83%でありそれ以降2011年までは80%前後であった。2012年は過去5年間では最高の86%に達している。

(4) 生産量(石油及び天然ガスの合計生産量)
 Shellの2008年の石油と天然ガスの合計生産量は325万B/Dであった。その後は2009年314万B/D、2010年331万B/D、2011年322万B/D、2012年326万B/Dであり毎年の生産量に大きな変化は無い。
 石油と天然ガスそれぞれの生産量の推移を見ると、石油生産量は2008年の177万B/Dをピークに2008年168万B/D → 2009年171万B/D → 2011年167万B/D → 2012年163万B/Dとここ数年は低落傾向にある。これに対して天然ガスの生産量は86億立法フィート(2008年) → 85億立法フィート(2009年) → 93億立法フィート(2010年) → 90億立法フィート(2011年) → 94億立法フィート(2012年)と増加の傾向を示している。
 ShellはLNGの販売量も公表しており2008年の1,305万トンが2012年には2,020万トンと5年間で1.5倍に増加している。同社は近年天然ガスの生産とLNG販売に力を注いでいると言えよう。
                                                                                                                
(Shell編 完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月11日)

2013-03-11 | 今日のニュース

カタールで42年ぶりに新ガス田発見。埋蔵量2.5兆立法フィート。三井物産も参画。 *

アブダビ、利権期間終了の陸上油田入札。INPEX、Chevron, CNPC, 韓国等が応札予定

 

*カタールにおけるガス田発見は1971年のNorth Field以来。鉱区はNorth Fieldの北西40KM、水深70Mの海上鉱区。2008年に西独WintershallがQPとEPSA(開発生産分与契約)締結。2010年、三井物産がオペレーターWintershallから20%権益を譲り受け。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三大国際石油企業2012年度業績速報シリーズ(3)

2013-03-11 | 海外・国内石油企業の業績

II.Shellの業績(上)

(注)詳細は下記同社HP参照。
http://www.shell.com/global/aboutshell/media/news-and-media-releases/2013/q4-2012-results-newsitem-31012013.html  
1.2012年の売上・利益・投資及び生産量
(1)売上高
 Shellの2012年1-12月の売上高は481,700百万ドルであり、前年度の売上484,489百万ドルに比べ0.6%の減収であった。

(2)利益

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93dShell.pdf 参照)
  利益は26,592百万ドルで日本円に換算すると約2.4兆円であり、前年(30,918百万ドル) に比べると14%の減益であった。後述するように生産量は殆ど横這いであったにもかかわらず利益の落ち込み幅が売上の減少(上記参照)を大きく上回ったのは原油の年間平均価格が前年に比べて低かったためである。
利益の内訳を上流部門(原油生産)と下流部門(石油精製販売及び化学品)に分け、さらに上流部門を地域別に分けて比較すると、上流部門の利益が全体の79%を占め、下流部門の利益は石油製品が15%、化学品が6%であった。上流部門の利益を地域別に見ると最も利益が多かったのはアフリカ・中東・CISの9,846百万ドルであり、利益全体の39%を占めている。同地域に次いで欧州及びアジア・大洋州がほぼ同じ48億ドルで並んでいる。北米・南米の上流部門の利益は512百万ドルであり、利益全体のわずか2%を占めるにすぎない。

(3)設備及び探鉱投資
 2012年度の投資総額は32,576百万ドルである。投資を上流部門、下流部門およびその他部門に分けると、上流部門には全体の86%を占める27,930百万ドルが配分されている。下流部門は4,433百万ドル(全体の14%)であり、その他部門は殆ど投資していない。

(4)石油・天然ガスの生産量
 2012年の生産量は石油が一日当たり平均163万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産94億立法フィート(以下億cfd)である。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は326万B/Dに達する。ShellではこのほかLNGを年間2,020万トン販売している。
 石油生産量を地域別にみると、最も多いのは中東・北アフリカの441千B/D(全体の27%)であり、次いで米国222千B/D(13%)、欧州219千B/D(13%)である。ExxonMobilの場合はアフリカとアジア大洋州で全生産量の60%を占めているのに対し、Shellの原油生産は全世界に分布している。
一方天然ガスについては欧州が33億cfdと全体の35%に達する。これに次ぐのがアジア・大洋州(22億cfd)であり、この両地域で全生産量の6割弱を占めている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(3/3-3/9)

2013-03-09 | 今週のエネルギー関連新聞発表

3/4 石油資源開発    カナダ ブリティッシュ・コロンビア州におけるシェールガス開発・生産プロジェクトおよびLNGプロジェクトへの参画について http://www.japex.co.jp/newsrelease/pdf/20130304_Canada_Shale_LNG.pdf
3/5 経済産業省    日本初・日本発の国際資源大会「J-SUMIT(国際資源ビジネスサミット)」を開催します http://www.meti.go.jp/press/2012/03/20130305003/20130305003.html
3/5 出光興産    役員異動に関するお知らせ http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2012/130305_2.pdf
3/5 出光興産    機 構 変 更 の 件    http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2012/130305_3.pdf
3/6 三井物産    米ヒューストンITCで液体・ガス タンクターミナルを新設 http://www.mitsui.com/jp/ja/release/2013/1199899_4689.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三大国際石油企業2012年度業績速報シリーズ(2)

2013-03-05 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0256ExxoMobil2012.pdf

 

I.ExxonMobilの業績(下)
 
2.2008~2012年の業績推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93bExxon.pdf 参照)
2008年から2012年までの過去5年間の売上、利益、設備投資及び生産量は以下の通りであった。

(1) 売上高
 2008年に4,774億ドルであったExxonMobilの売上は2009年には3,106億ドルに急減したが、その後は再び上昇に転じ2011年には過去最高の4,864億ドルに達し2012年もほぼ横ばいの4,823億ドルであった。

 この5年間の売上の増減は石油価格の急騰及び急落が主な理由であり、生産量の増減とはほぼ無関係と言える。すなわち下記(4)の生産量の推移でも述べるとおり2008年から2009年にかけては生産量が横這いであるにもかかわらず売上高が急減しているが、これは2008年央に原油価格が史上最高の147ドルに達し同年の年間平均価格も97ドル(Brent原油)だったのに対して、2009年はその反動で原油価格が暴落(同年間平均価格62ドル)したためである。

 そして2010年及び2011年と2年連続して価格が上昇したことにより、売上高は2008年の水準に戻ったのである。2012年は前年比で生産量が落ちたにもかかわらず、価格が堅調に推移したため売上高は2011年の水準を維持した。

(2) 利益
 各年の利益額は2008年452億ドル、2009年193億ドル、2010年305億ドル、2011年411億ドル、2012年449億ドルであった。2009年に一旦落ち込んだ利益はその後順調に増え続け、2012年は5年前の水準に戻っている。売上高と利益の対前年比増減を比較すると2009年の売り上げは対前年比34.9%の減少であったが、利益はそれ以上の57.4%減となっている。これに対して2011年には売上高が対前年比26.9%増加したのに比べ利益は34.8%増となっている。売上が減少した場合は利益がそれ以上の割合で減少し、逆に売上が増加した場合、利益はそれ以上に伸びている。価格変動に対するセンシティビティ(感度)は利益の方が売上よりも敏感であると言える。

 2012年の対前年比の増減は売上マイナス0.5%、利益プラス9.3%、生産量マイナス5.9%となっており、生産量の大幅な落ち込みに対して売上は微減にとどまり、利益はむしろ大幅に増加している。利益の増加は下流部門が好調であったことが主な要因である(上記1(2)参照)。ExxonMobil社は原油価格や生産量に左右されない強靭な体質に変化しつつあるように見受けられる。

(3) 設備・探鉱投資額
 設備・探鉱の投資額は売上或いは利益のぶれとは関係なく毎年増加の傾向にある。即ち2008年261億ドル、2009年271億ドル、2010年322億ドル、2011年368億ドル、2012年398億ドルの投資が行われている。

 5年間を通じて投資の9割前後は上流部門の探鉱開発投資であり、2012年は上流部門90%、下流部門6%、化学部門4%であった。石油及び天然ガスは再生不可能な資源であ既存油田(或いはガス田)の生産に伴い残存埋蔵量が漸減する宿命を負っている。従って企業としては新規鉱区の獲得とその探鉱開発、既存油田の回収率向上、或いは同業他社の買収などにより常に自社の資源量を維持し続けなければならない。新規鉱区の探鉱開発はリスクも高く、投資のリードタイム(回収期間)が長いため、長期的視野に立った投資が必要である。ExxonMobilの投資が毎年増加しているのはこのような理由のためと考えられるが、見方を変えれば同社はそれが可能な強い財務体質の企業であると言えよう。

(4) 生産量
 石油及び天然ガスを合計した生産量は2008年392万B/D、2009年393万B/Dといずれも4百万B/Dの大台を割っている。しかし2010年以降2012年までの3年間は445万B/D、451万B/D、2012年424万B/Dと4百万台を維持している。

 石油と天然ガスそれぞれについて見ると、2008年から2012年までの過去5年間の石油生産量は241万 B/D → 239万 B/D → 242万 B/D → 231万 B/D → 219万 B/Dであり、2010年以降急激に減少している。
一方天然ガスは2008年の生産量91億立法フィート/日(石油換算152万B/D)が翌2009年は93億立法フィート/日(同155万B/D)となり、2010年には一挙に121億立法フィート/日(同203万B/D)に増加、その後も2011年132億立法フィート/日(同219万B/D)、2012年123億立法フィート/日(同205万B/D)と石油換算で2百万B/D台を維持している。ExxonMobilは石油の落ち込みを天然ガスで補っていると言える。これは米国内のシェール・ガス権益取得などのM&A戦略の成果が現れたものであろう。

(ExxonMobil編 完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月3日)

2013-03-03 | 今日のニュース

・OPEC2月生産量、昨年10月以来の増勢の3,032万B/D、サウジは920万B/D。イランの1月輸出量110万B/Dに減少

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月2日)

2013-03-02 | 今日のニュース

・アジアのLNGスポット市場下落、$18/百万BTUを割る。不需要期と日本の高値買い控えが原因

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(2/24-3/2)

2013-03-02 | 今週のエネルギー関連新聞発表

2/25 国際石油開発帝石    幹部社員の人事異動について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2013/20130225.pdf
2/26 JX日鉱日石エネルギー/出光興産    出光興産(株)との石油製品相互供給取引に関する基本合意について http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/2012/20130226_01_0920492.html
2/27 伊藤忠商事    米国LPガス輸出基地建設プロジェクトへの参画について http://www.itochu.co.jp/ja/news/2013/130227.html
2/28 JXホールディングス    子会社における太陽光発電用途ポリシリコン事業からの撤退について http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_data/20130228_05_01_0920492.pdf
2/28 JXホールディングス    役員等の人事異動について http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/2012/20130228_01_0920492.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三大国際石油企業2012年度業績速報シリーズ(1)

2013-03-02 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0256ExxoMobil2012.pdf

 

I.ExxonMobilの業績(上)

ExxonMobil、Shell及びBPは三大国際石油会社(International Oil Company, IOC)或いはスーパー・メジャーと呼ばれているが、これら三社の昨年度の業績が相次いでホームページに公表された。
本稿では三社の公表資料の中から2012年度の売上高、利益、石油及び天然ガスの生産量並びに設備投資額を取り上げて分析するとともに、過去5年間(2008~2012年)の各社の業績の推移を見ることとする。そしてシリーズの最後に三社を横並び比較し、その優劣を検討して見る。
最初に取り上げるのはExxonMobil社である。(詳細は下記同社HPを参照)
http://news.exxonmobil.com/press-release/exxon-mobil-corporation-announces-estimated-fourth-quarter-2012-results

(生産量、売上が減少しても利益は前年度を上回ったExxonMobil)
1.2012年の売上・利益・投資及び生産量
(1)売上高
 ExxonMobilの2012年1-12月の売上高は482,295百万ドルであり、前年度の売上486,429百万ドルに比べ0.8%の減収となった。後述の如く同社の原油と天然ガスの合計生産量も前年比で減少(-6%)している。平均価格が高めに推移したため大幅な生産減にも関わらず売上が微減で済んだと言えよう。
 
(2)利益(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93aExxon.pdf 参照)
 利益は44,880百万ドルであった。これは前年度(41,060百万ドル)に比べ9.3%のアップであり、売上高の減少(-0.8%、上記)と対照的な結果となった。この利益額は日本円で約4兆円であり国際石油企業の強靭さを見せつけたと言えよう。
 利益の内訳を上流部門(原油生産)と下流部門(石油精製販売)に分け、さらにそれぞれを米国内と米国外に分けて比較すると、まず最も利益が多かったのは米国外の上流部門であり、全体の利益の58%の25,970百万ドルを稼ぎ出している。米国内の上流部門の利益額は3,925百万ドル(同9%であり、両者を足し合わせるとExxonMobil社の利益の3分の2が上流部門によるものであることがわかる。
 これに対して下流部門は米国外で9,615百万ドル、米国内では3,575百万ドルの利益を計上しており利益の3割弱を占めている。上記の上流部門の利益と比較すると、ExxonMobil社は利益の大半を上流部門、特に米国外の上流部門に依存していると言える。但し前年の部門別利益と比較した場合、下流部門の健闘が目立っている。即ち2011年は下流部門の全社利益に占める割合が11%に過ぎなかったのに比べ2012年は29%を占めており、特に米国外の下流部門の利益は前年比4.4倍と大幅に増加し、海外における石油製品の採算性が顕著に向上している。

(3)設備及び探鉱投資
 2012年度の投資総額は39,799百万ドルであり、同社は利益とほぼ同じ程度の投資を行っている。投資を上流部門、下流部門、化学部門およびその他に分けると、上流部門には全体の90%を占める36,084百万ドルが配分されている。利益に占める上流部門の比率は67%であり(上述)、これを上回る比率で上流部門に投資していることになる。同社は事業の軸足を上流部門においていると言えよう。

(4)石油・天然ガスの生産量
 2012年の石油と天然ガスの生産量は石油が一日当たり平均219万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産123億立法フィート(以下cfd)である。これを2011年の各国の生産量(BPエネルギー統計による)と比較すると、石油の生産量はブラジルに匹敵する生産量であり、天然ガスはカタールと中国の中間程度に匹敵する 。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合、ExxonMobilの生産量は424万B/Dとなるが、この生産量は世界第7位のカタールと肩を並べる規模である。
 石油生産量を地域別にみると、最も多いのはアジア・大洋州の82万B/Dであり、続いてアフリカ49万B/D、米国42万B/Dである。また天然ガスについてはアジア・大洋州が最も多く(49億cfd)、次いで米国(38億cfd)である。特に米国における天然ガスの生産量は近年大幅に増加している。米国では現在シェール・ガスの開発がブームを呼んでおり、ExxonMobilもMarcellus社の買収など積極的な投資を行って米国での天然ガス生産に力を入れている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする