石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今週の各社プレスリリースから(12/13-12/19)

2020-12-19 | 今週のエネルギー関連新聞発表
12/14 ExxonMobil
ExxonMobil announces emission reduction plans; expects to meet 2020 goals
https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2020/1214_ExxonMobil-announces-2025-emissions-reductions_expects-to-meet-2020-plan

12/14 OPEC
47th JTC and 25th JMMC moved to 3 and 4 January 2021
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/6267.htm

12/15 出光興産
東亜石油株式会社株式(証券コード 5008)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
https://www.idss.co.jp/content/100033506.pdf

12/15 出光興産
スノーレ油田、追加開発プロジェクトによる生産を開始
https://www.idss.co.jp/news/2020/201215.html

12/17 石油連盟
杉森 石油連盟会長定例記者会見配布資料
https://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2020/index.html#id1907

12/17 Shell/BP/Total他
Leading energy companies announce Transition Principles
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2020/leading-energy-companies-announce-transition-principles.html
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データベース更新のお知らせ

2020-12-17 | データベース追加・更新
下記データベースを更新しましたのでご利用ください。

・クウェイト内閣閣僚名簿(2020年12月現在)
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石油と中東のニュース(12月17日)

2020-12-17 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・サウジ、2021年予算を発表。歳出2,640億ドル、赤字790億ドル
・サウジと日本の環境省が環境保全協力のMoUを締結
アブダビ皇太子、カイロ訪問。地域問題で意見交換。東地中海ガスフォーラムにオブザーバー参加。 *
・イスラエル-UAE国交回復後、イスラエル観光客5万人に達する。 **

*「天然ガスに国際政治が絡み大荒れの東地中海」参照。
**「和平合意で急速に深まるイスラエルと UAE の関係」参照。

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(55)

2020-12-15 | その他
(英語版)
(アラビア語版)

エピローグ

荒葉 一也
E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

2.増え続ける中東の難民
国家間の戦争或いは国内で内戦が勃発すると何の罪もない市民に多くの犠牲者が出る。それは戦火に巻き込まれる死者や負傷者という形だけではなく、戦火に追われて住み慣れた土地や家を失い異郷を彷徨う難民になる者も少なくない。

第二次大戦後の中東で難民が最初に発生したのはイスラエル独立戦争(第一次中東戦争)であった。彼らはパレスチナ難民と呼ばれ、イスラエル国内のパレスチナ自治区と周辺のヨルダン、レバノンに逃れた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録されたパレスチナ難民は450万人に達するとされる。レバノンには12の難民キャンプがあり45万人が劣悪な環境の中で暮らしている。

パレスチナ難民問題が解決しないまま、最近になってさらに大規模な難民が発生した。「アラブの春」を契機にシリアで政府軍と反政府軍が衝突、さらに過激なイスラーム原理主義組織が「イスラーム国」(IS)の樹立を宣言するに及んで、シリア、イラクにまたがる紛争地帯で大量の難民が生まれたのである。「難民」を「量」として十把一絡げにしてしまう「大量の難民」という言い方には良心の呵責を感じるがほかに適切な呼び方が無い。

シリア紛争で国外に逃れたシリア難民は約410万人、国内で避難生活を送っている人々は760万人に上ると言われる。実にシリアの総人口の約半数であり、世界の避難民総数の5分の1を占める規模に達している。シリアの内戦が泥沼状態になると共に国内避難民への救援物資は滞り、満足な栄養や医療が行き渡らなくなった。彼らはトルコ、レバノン、ヨルダン等の周辺国の難民キャンプを目指したが、キャンプ自体がすでに飽和状態である。

そこで彼らは陸路伝いに徒歩で西ヨーロッパ、中でも移民に優しいとされるドイツを目指す。シリア難民の多くは都会暮らしの中流階級出身である。彼らは故郷の街にいるころから西ヨーロッパの平和で豊かな生活を知悉しており、一方「イスラーム国」(IS)の野蛮で非文明的な行状をインターネットで見るにつけ、ISが自分たちの街を支配した場合の恐怖感に怯えた。だから彼らはISの足音が近づくと、一切合財の家財道具を投げ売りしてトルコに逃げ延び、そこから西ヨーロッパを目指したのである。

彼らは着の身着のままで地中海を渡ろうともがく貧しいアフリカ難民とは異なり、難民ではあっても無一物ではなかった。難民の定義づけではアフリカ難民は経済難民であり、これに対してシリア難民は政治難民である。そのシリア難民が命の次に大切にしたものがスマートフォンであった。徒歩で西に向かう彼らはスマートフォンで現在の居場所を確認するとともに、先を行く知人友人からどこの国境検問所が難民を受け入れそうか、或いは国境が閉鎖されている場合は無断越境が可能なルートを探る。さらにそれらの情報を自分たちの後を追っている友人や親戚に知らせる一方、すでにヨーロッパに移住している親族と連絡を取り合って落ち着き先を探す。スマートフォンはまさに命綱であった。


 しかしヨーロッパ各国の難民の受け入れも限界に近付いたようである。各国の経済負担の限界を超えたというよりもむしろ大量の移民がもたらす市民自身の失業に対する不安感或いはイスラームテロなどに対する政治的社会的恐怖心が蔓延してきた。すでに多くのアフリカ難民がヨーロッパの大都市周辺に定住し、そこで生まれ育った移民二世たちの失業率は高く、彼らのある者はイスラームの過激思想に染まり、自暴自棄に陥り都市での自爆テロに走るようになった。他方、白人たちの不安を掬い取るように極右勢力は移民排斥、イスラーム排斥を主張して国民の支持を集めている。

(続く)
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石油と中東のニュース(12月15日)

2020-12-15 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・アブダビで中国製コロナワクチンの接種開始
(石油関連ニュース)
・OPEC+閣僚会合、1月4日開催
・コロナワクチン供用開始で原油価格好調。Brent $50.05, WTI $46.61
(中東関連ニュース)
・クウェイト新内閣発足
・米、NATO同盟国のトルコに経済制裁発動。 *
・米、スーダンをテロ支援国家リストから削除
・サウジジェッダ港で船舶テロ。シンガポール船籍のガソリンタンカー攻撃、海上漏洩なし
・イスラム金融は2024年に3.7兆ドルに拡大:イスラム開発銀行
・エジプトカイロ国際空港拡張整備にサウジ、クウェイトが投資
・ドバイ、アブダビのホテル利用率70%に近づく

*レポート「鬼の居ぬ間に:中東の政治的空白に暗躍する国々(3)」参照。
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鬼の居ぬ間に:中東の政治的空白に暗躍する国々(3)

2020-12-14 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。


http://mylibrary.maeda1.jp/0520PoliticalVacuumInMe.pdf

(英語版)
(アラビア語版)

2.トルコ:中東の覇者を目指す危険な綱渡り

 欧州のBREXIT(英国のEU離脱)及び新型コロナ危機並びに米国の政権交代と言う政治の空白状況に助けられたのはトルコであろう。シリア内戦でロシアと緊密な軍事協力関係を築き上げ、S-400ミサイルシステムを導入するきっかけとなった。その一方ではロシアとイランに対するNATOの最前線として米国のステルス戦闘機F-35の導入を図った。西側の矛(F-35)と東側の盾(S-400)を同時に保有しようとするトルコの意図は西側にとってはまさに「矛盾」そのものである 。

EUがトルコをけん制できないのは東地中海の天然ガス開発問題も同様である。トルコはギリシャ、キプロス両国の反対を押し切って天然ガスの探鉱作業を強行した。さらにリビア中央政府と経済水域協定を締結しイスラエル、エジプト、レバノンによるヨーロッパ向けパイプライン計画を阻止しようとしている。内戦中のリビアでは、イタリアが政府側を、フランスが反政府側を支援しEUは一枚岩でない。トルコはEUの足元を見ている 。

トルコはイソップ物語のコウモリのように西側と東側の間で巧妙に立ち回っている。但し状況は常に変化している。ナゴルノ・カラバフ自治州の紛争でトルコはアゼルバイジャンを支援して仇敵アルメニアを撤退に追い込んだが、アルメニアびいきでイスラム恐怖症(Islamophobia)の西ヨーロッパ諸国はトルコを非難している 。内政も問題山積である。エルドアン大統領の支持基盤である公正発展党(AKP)はじり貧状態で、好調だった経済もインフレが進行し、公定歩合の引き上げを余儀なくされた。この経済政策変更では義理の息子の財務相が離反しエルドアン政権にほころびが出てきた 。イスタンブールのソフィア宮殿をモスクに戻す など、エルドアン大統領はイスラム保守層の人気取りに余念がないが、強権体制をいつまで維持できるか今が正念場である。

3.イスラエル:アラブの分断に成功、邪魔者は今のうちに消せ!

 イスラエルが過去四年間トランプ大統領にぴったりと寄り添うことで中東の中で最も得をした国となったことは言うまでもない。米国大使館のエルサレム移転、ヨルダン川西岸の入植促進だけでなく、米国の仲介によりUAE、バハレーン、スーダン、モロッコと国交を回復した。中東で孤立していたイスラエルはアラブ諸国の分断に成功、国際社会が唱えてきたイスラエル・パレスチナの二国家共存論を葬り去った。

 しかし米国がトランプ共和党政権からバイデン民主党政権に替わる来年1月以降、イスラエルに冬の時代が訪れる。両国関係が史上最悪であったオバマ前政権時代にバイデンが副大統領であったことを考えれば容易に想像できることである。それゆえにこそトランプ政権がレイム・ダック(死に体)になった今もイスラエルは既成事実の積み上げに血眼である。UAEはじめアラブ諸国を次々と和平に引き込んだイスラエルに残された敵はイランだけである。

宗教国家イランがイスラエルをムスリム(イスラム教徒)の敵と呼んでいることは、実はイスラエルが湾岸の世俗君主制国家と手を組む最大のチャンスでもある。ただイスラエルは人口ではエジプト、イラクはおろかサウジアラビアにも及ばず、経済余力ではUAE等の産油国に劣る。イスラエルが生き残るには諜報活動が欠かせない。そのイスラエルには世界に冠たるスパイ網モサドがある。

 最近イランの核開発のキーパーソンがテヘランで暗殺された。暗殺の手法は極めて精緻であり、イスラエルが手を下したことはほぼ間違いなさそうである 。実はUAEと国交を回復した直後イスラエルの高官が次々とドバイ空港に降り立っており、その中にはモサドの長官も含まれている。国際自由都市のドバイはスパイが暗躍するにはうってつけの街であり、実際過去にもハマス幹部の暗殺事件の舞台になったこともある 。今回の事件でイスラエルの諜報機関員が堂々とドバイに入国、そこからテヘランの実行犯に指示したと見るのは考えすぎであろうか。トランプ大統領在職中に邪魔者を消せ、と言うわけである。

(続く)

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com
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石油と中東のニュース(12月13日)

2020-12-13 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・コロナワクチン進展で原油価格堅調に。Brent $50.18, WTI $46.82
(中東関連ニュース)
・日サVision2030閣僚会合、15日にオンライン方式で開催
・UAE中銀:非石油部門GDPは今年の-4.5%から来年は+3.6%と予測。  *
・UAE、米オクシデンタルに陸上鉱区Block5を開発認可

*「今年の成長率はマイナス 4.4%、中国だけがプラス成長:IMF 世界経済見通し 2020 年 10 月版」参照。
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石油と中東のニュース(12月11日)

2020-12-11 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・サウジ、ファイザー社のコロナワクチン承認
・オマーン、旅行者のPCR検査免除
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・米の仲介でモロッコがイスラエルと国交回復。見返りに西サハラ領有権認める
・トルコ、新駐米大使に現駐日大使任命、UAE、サウジ大使も交替。関係改善のシグナル送る
・カタール、来年予算歳入1,601億QR、歳出1,947億QR。油価40ドルで算定
・レバノン、ハリリ首相が閣僚名簿提出するもアウン大統領対案提示で折り合いつかず
・米、中東に戦略爆撃機B-52H 2機を派遣、米本土からの飛行時間は36時間

・サウジ、台湾と二重課税防止協定締結。アラブでは初めて
・アブダビ、3か所の橋を有料化。通行料$1.09
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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(54)

2020-12-09 | 今日のニュース
(英語版)
(アラビア語版)

エピローグ

荒葉 一也
E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

1.東と東の遭遇
イスラエルとの戦争でヨルダン川西岸のパレスチナの地を追われ東隣のヨルダンに逃げ延びたパレスチナ難民たちは、生活のため1960年代前後に石油ブームに沸くクウェイト、サウジアラビアなど豊かな湾岸諸国に出稼ぎ者として移り住んだ。そこはヨルダンからさらに東方であり、この時期パレスチナ難民は東へ東へと向かったことになる。彼らはもちろん湾岸の地を終の棲家にしようとしたわけではない。湾岸諸国は彼らの永住を認めなかったし、彼ら自身も石油の富を鼻にかけた無能で尊大なだけのベドウィンの国は我慢できなかった。パレスチナ人の多くは国際社会の仲介でイスラエルとパレスチナが平和協定を締結し二国家共存体制になれば祖国の地に帰還できると期待していた。

しかし度重なる中東戦争でパレスチナ独立の夢はむしろ遠のいた。それに追い打ちをかけたのが1990年のイラクによるクウェイト進攻であった。世界中がフセイン政権の暴挙を非難し、とりわけサウジアラビアなど湾岸の王制国家はクウェイトの次の餌食になるのではないかと強い危機感を抱いた。ところがヨルダン政府とPLO(パレスチナ解放機構)はイスラエル打倒を叫ぶフセインを支持したのである。その結果湾岸戦争の後、当然のことながらクウェイト及びサウジアラビア政府は出稼ぎのヨルダン人及びパレスチナ人全員を国外追放処分にした。

クウェイトとサウジアラビアの国境地帯で操業していた日本の石油開発会社で働く3人のアラブ人たちも決断を迫られた。ヨルダン人のカティーブはパレスチナ人のザハラを誘って、実家のあるアンマンに帰ることにした。出稼ぎ中に貯めた資金を元手にカティーブはアパート経営を、ザハラは自動車修理工場を立ち上げるつもりであった。残るもう一人のパレスチナ人シャティーラは米国で働く弟を頼って移り住むことにした。東へ東へと向かっていたパレスチナ人たちは、一転して西へと移動し始めた。

ある一夜、日本人の同僚が3人のために送別会を開いてくれた。日本人専用の社宅のためサウジアラビアでは御法度のアルコールもふるまわれ一同は思い出話にふけった。勤務年数は最も長いシャティーラで30年、カティーブでも21年に達し人生の壮年期を日本企業で働いたことになる。出稼ぎ者の彼らがこれほど長く一つの会社に勤めることは珍しい。普通のクウェイトやサウジの企業であれば、オーナーの気まぐれで首になったり、或いはオーナーの横暴に耐えかねて転職していたに違いない。しかし日本人の会社は落ち着いて働ける会社であり、職場環境は居心地が良かった。政府と会社の利権契約が2000年までであり、彼らはできればその時まで働き続けたいと思っていた。しかし歴史に振り回されてきたパレスチナ人たちは今回の国外追放も運命の一つとして淡々と受け入れたのであった。

彼らは温厚で誠実な日本の企業で働くことができたことに素直に感謝していた。そして第二次世界大戦に敗れ焦土と化したその国が奇跡的な復興を遂げ、今では自分たちの身の回りに自動車、テレビ、カセットレコーダー、冷蔵庫など日本製品があふれていることに驚異と称賛を惜しまなかった。さらに日本人たちが人種の差別なく平等に扱ってくれることがうれしかった。それはこの会社に入るまでには無かった経験であった。

会話が弾む中、背後のカセットレコーダーから聞き覚えのない澄んだ女性歌手の歌声が流れてきた。メロディーはどうも中国の歌曲のようである。シャティーラが隣席の日本人に聞くと、歌手は有名な台湾女性で歌曲名は「ホー・リー・チン・ツァイ・ライ(何日君再来)」と言うらしい。愛する人との別れを惜しみ、いつの日か再会できることを願う歌だそうだ。

人生難得幾回醉,不歡更何待!
(人生で幾度も酔えるものではない、ためらうことなく今を楽しみしましょう)
來、來、來,喝完了這杯再説吧。
(さあ、さあ、さあ、まずこの一杯を飲み干しましょう)
今宵離別後,何日君再来?
(今宵別れたら、君はいつまた来るの?)

パレスチナ人にとって「君」とは「平和の女神」であった。「平和」はいつも彼らのもとを足早に通り過ぎる。甘く切ないメロディーと歌声がアラブ音楽とはまた一味違う郷愁を呼び起こした。中東(Middle East)と極東(Far East)の名も無い人々の心が触れ合う一夜。それは東と東が遭遇するひと時であった。

パレスチナからヨルダンさらに湾岸諸国へと東に移動したシャティーラは今度は一足飛びに西半球の米国に移住したのであった。彼はそこで豊かとは言えないが、平和な生活を手に入れた。キリスト教国の米国でイスラーム教徒が生活することは決して楽なことではなかったが、米国はやはり平和と安全に守られた世界一の国であった。

米国とヨルダンの間で手紙と電話が頻繁に交換された。遠く離れたヨルダンに住む両親やかつての同僚とはこれから先、顔を合わせることができるかどうかはわからない。それでも彼らの「血」の絆がゆらぐことはない。父親からの手紙でかつての隣人アル・ヤーシン家の娘ラニアがカイロ留学から戻り、ジャーナリストとして活躍している時、ハシミテ王家の皇太子に求婚され現代のシンデレラになったと知らされた。パレスチナ人の血とイスラームの始祖ムハンマドに連なる由緒ある家系ハシミテ家の血が一緒になったのである。それは新しい時代を予感させる出来事であった。

(続く)
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石油と中東のニュース(12月9日)

2020-12-09 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・コロナ禍拡大で原油価格下落。WTI $45.58, Brent $48.55
(中東関連ニュース)
・ローマ法王、来年3月イラクを訪問
・イラン、ハメネイ最高指導者の健康悪化説を否定
・クウェイト首長、首相を再任、組閣着手。 *
・アブダビ投資庁(ADIA)年次報告公表。アクティブ投資とパッシブ投資比率は55:45。  **

*クウェイト首長家家系図:http://menadabase.maeda1.jp/3-2KuwaitSabah.pdf
**「世界のSWF(政府系ファンド)


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