石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

5社中3社が200億ドル強の巨額損失を計上:五大国際石油企業2020年度業績速報シリーズ(5)

2021-02-19 | 海外・国内石油企業の業績
  1. 5社の2020年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)業績概要(続き)

以下の各表参照。

表A:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)

表B:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20Bpdf (キャッシュフロー)

表C:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20Cpdf (石油・ガス生産量)

 

5.Chevron

*同社ホームページ:

https://www.chevron.com/stories/chevron-announces-fourth-quarter-2020-results

 

(1)売上高

 Chevronの2020年10-12月の売上高は248億ドルであり、また通年売上高は945億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ▲28%及び▲33%の減収である。

 

(2)利益

 10-12月期は▲7億ドルの赤字、通年も▲55億ドルの損失であった。上流部門は前期26億ドルの利益に対し今期は▲24億ドルの損失を計上した。下流部門はわずかながらも(5千万ドル)利益を確保している。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率は、▲6%であった。

 

(4)設備・探鉱投資

 2020年の年間の設備・探鉱投資額は135億ドルであり、これは2019年比で▲36%減である。

 

(5)キャッシュフロー

Chevronの2020年の年間営業キャッシュフローは106億ドルであった。これに対して投資キャッシュフロー及び財務キャッシュフローはそれぞれ▲70億ドル、37億ドルであった。(なお年末のキャッシュフロー残高は開示されていない。)

 

(6)石油・ガス生産量

 昨年のChevronの石油生産量は日量平均1,868千B/Dであり、前年横ばいであった。天然ガスは日量平均7,290mmcfdで前年比微増である。

 石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で3,083千B/Dとなり、2019年比では1%増である。

 

 (続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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5社中3社が200億ドル強の巨額損失を計上:五大国際石油企業2020年度業績速報シリーズ(4)

2021-02-18 | 今日のニュース
  1. 5社の2020年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)業績概要(続き)

以下の各表参照。

表A:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)

表B:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20Bpdf (キャッシュフロー)

表C:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20Cpdf (石油・ガス生産量)

 

4.Total

*同社ホームページ:

https://www.total.com/media/news/press-releases/Results-2020-and-TotalEnergies

(1)売上高

 Totalの2020年10-12月の売上高は379億ドルであり、また通年売上高は1,407億ドルであった。前年同期比では10-12月期は▲23%、通年ベースでは▲30%の減収である。

 

(2)利益

 10-12月期は9億ドルの利益、通年では▲72億ドルの損失であった。通年損益のうち上流部門の利益は24億ドルで前年に比し▲69%減、下流部門は10億ドルの利益で前年を▲65%下回った。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高損失率は▲5%であり、前年の6%から大幅に落ち込んだ。

 

(4)設備・探鉱投資

 2020年の年間の設備・探鉱投資額は130億ドルであり、これは2019年を26%下回っている。

 

(5)キャッシュフロー

Totalの2020年の年間営業キャッシュフローは148億ドルであった。これに対して投資キャッシュフロー及び財務キャッシュフローはそれぞれ▲131億ドル、14億ドルであった。この結果同社の2020年末のキャッシュフロー残高は313億ドルとなっている。

 

(6)石油・ガス生産量

 昨年のTotalの石油生産量は日量平均1,543千B/Dであり、前年(2019年)比▲8%減であった。天然ガスも前年比2%減の日量平均7,246mmcfdである。

 石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で2,871千B/Dとなり、2019年比▲5%減である。

 

 (続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行0

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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石油と中東のニュース(2月17日)

2021-02-17 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

(中東関連ニュース)

・イラン、IAEAの抜き打ち査察を拒否。米の制裁解除が先と主張

・米大統領の最初の中東対話はイスラエル首相。1カ月未接触の批判に応えて

・対IS有志連合がトルコ-シリア国境沿いに軍事基地建設を計画

・米、イエメンフーシ派に軍事行動の全面停止を呼びかけ

・エジプト、リビアの大使館再開へ。2014年以来

・サウジ:2024年以降はリヤドに地域代表事務所のない外国企業とは取引停止

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5社中3社が200億ドル強の巨額損失を計上:五大国際石油企業2020年度業績速報シリーズ(3)

2021-02-17 | 海外・国内石油企業の業績
  1. 5社の2020年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)業績概要(続き)

以下の各表参照。

表A:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)

表B:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20Bpdf (キャッシュフロー)

表C:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20Cpdf (石油・ガス生産量)

 

(ExxonMobil、Shellに次いで赤字200億ドル超える!)

3.BP

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/fourth-quarter-2020-results.html

 

(1)売上高

 BPの2020年10-12月の売上高は448億ドルであり、また通年売上高は1,804億ドルであった。前年同期比では10-12月期は37%、通年ベースでは35%の減収である。

 

(2)利益

 10-12月期の利益は14億ドルで前年同期の2千万ドルに比べ急増しているが、通年ベースで見ると前期の40億ドルの黒字に対し今期は▲203億ドルの巨額の損失を計上している。赤字幅はExxonMobilの▲224億ドル、Shellの▲217億ドルに次いで三番目に多い。部門別利益では上流部門は通年で▲50億ドルのマイナスであり前年の111億ドルの黒字から一転して大幅に悪化している。下流部門は31億ドルの利益であったが、前年の64億ドルから半減している。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率は前年の1.4%から2020年は▲11%に悪化している。

 

(4)設備・探鉱投資

 2020年の設備・探鉱投資額は123億ドルであり、2019年に比べ20%減少している。

 

(5)キャッシュフロー

BPの2020年の年間営業キャッシュフローは122億ドルであった。これに対して投資キャッシュフロー及び財務キャッシュフローはそれぞれ▲79億ドル、40億ドルであった。この結果同社の年末のキャッシュフロー残高は2019年末の225億ドルから2020年末は311億ドルに増加している。

 

(6)石油・ガス生産量

 昨年のBPの石油生産量は日量平均1,229千B/Dであり、前年(2019年)に比べ5%減少している。天然ガスも日量平均6,643mmcfdで前年より15%減少している。

 石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で2,375千B/Dとなり、2019年比では10%減である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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5社中3社が200億ドル強の巨額損失を計上:五大国際石油企業2020年度業績速報シリーズ(2)

2021-02-16 | 今日のニュース

I.5社の2020年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)業績概要(続き)

以下の各表参照。

表A:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)

表B:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20B.pdf (キャッシュフロー)

表C:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20C.pdf (石油・ガス生産量)

 

(赤字はExxonMobilに次ぐ217億ドル!)

2.Shell

*同社ホームページ:

https://www.shell.com/investors/results-and-reporting/quarterly-results/2020/q4-2020.html

(1)売上高

 Shellの2020年10-12月の売上高は450億ドル、通年売上高は1,832億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ47%及び48%の減収である。

 

(2)利益

 10-12月期及び通年の損益はそれぞれ▲40億ドル及び▲217億ドルであり、前年は10-12月期が10億ドル、通年では158億ドルの黒字決算であり、今期は一転して大幅な欠損となった。上流部門の10-12月期は前年度▲9億ドルの赤字幅が今期は▲21億ドルに拡大しており、下流部門は12億ドルの黒字から▲18億ドルの赤字に転落、上下流両部門ともにマイナスであった。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率は▲12%であり前年の4.5%から大幅に悪化している。

 

(4)設備・探鉱投資

 2020年の年間の設備・探鉱投資額は166億ドルであり前年の230億ドルより28%下回っている。

 

(5)キャッシュフロー

Shellの2020年の年間営業キャッシュフローは341億ドルであった。これに対して投資キャッシュフロー及び財務キャッシュフローはそれぞれ▲133億ドル、▲72億ドルであった。この結果同社の2020年12月末のキャッシュフロー残高は318億ドルとなっている。

 

(6)石油・ガス生産量

 昨年のShellの石油生産量は日量平均1,803千B/Dであり、前年(2019年)より4%減少している。天然ガスは日量平均9,181mmcfdであり前年までの1千万cfdを切っている。石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で3,386千B/Dとなり、前年比8%減となっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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地に堕ちたサウジ外交Part3:取り残されたサウジアラビア(1)  

2021-02-15 | その他

 これまでサウジアラビアはイスラムの盟主と讃えられイスラエル・パレスチナの中東和平問題で一貫してイスラエルと対決することでイスラム諸国の支持を得てきた。その一方、世界最大の産油国として世界のエネルギー供給の安定に寄与し、さらに豊富なオイルマネーで米国のウォール街及び軍需産業の繁栄を支えてきた。さらに経済力を背景にアラブ唯一のG20加盟国として国際的な地位と発言力を獲得した。そして中東最大の親米国として米国のイラン制裁の一翼を担い、アラビア半島の要として地域ににらみを利かせてきた訳である。

 

 しかしイスラエルとUAEが和平協定を締結、バハレーン、スーダン、モロッコがそれに続いたことで、サウジアラビアはアラブ諸国の政治的リーダーとしての自負を傷つけられた。石油についても米国がシェールオイル・ガス開発でエネルギーの自給体制を確立し、サウジアラビアの重要性が薄れている。かつてのOPEC石油カルテルの威光の再現を目指したOPEC+(プラス)体制でもロシアに引っ掻き回されるばかりである。そしてアラビア半島南端のイエメン内戦では政権内部の内紛に力をそがれ、自国領土が反政府フーシ派のドローン攻撃に晒される始末である。

 

1.イスラエル和平でUAEに出し抜かれ、バハレーンにもコケにされる。

 イスラエルとの和平は、(中東・パレスチナ紛争の敗者として1979年及び1994年に和平に応じたエジプトとヨルダンの二カ国を除き)アラブ諸国にとってタブーであった。しかし実際問題としてアラブが束になってもイスラエルに適わないことは明らかである。そのことを最もよく理解しているのが湾岸GCC諸国の第二あるいは第三世代の王子たちであり、その代表格がサウジアラビアとアブダビの両ムハンマド皇太子である。

 

 特に1985年生まれのサウジアラビアのムハンマド皇太子(通称MbS)は、中東戦争を知らずパレスチナ問題に対しても関心が薄い。彼はむしろ米国との関係強化に熱心である。米国トランプ政権は在イスラエル大使館のエルサレムへの移転、ゴラン高原の併合容認など極端なイスラエル寄りの政策を実施する一方、イラン核合意から離脱し経済封鎖を強化してイラン敵視政策を打ち出した。このトランプ政権の方針がアラブ圏における外交の主導権を握ろうとするMbSの野心に火をつけた。

 

トランプ米大統領とネタニヤフ・イスラエル首相及びMbSの間を取り持ったのがトランプの娘婿でユダヤ教徒のクシュナーである。トランプとクシュナーは政権のレガシー(神話)を高めるためイスラエルとアラブとの和平実現を目指した。MbSは自国こそがその最短距離にいると考えたのである。しかし保守的な父サルマン国王は、アブダッラー前国王時代のイスラエル・パレスチナ二国併存の和平提案に固執、イスラエルとの単独和平には応じない。国王はほとんどの政策を皇太子の自由にさせているもののイスラエル・パレスチナ問題だけは頑固に譲らないのである。国王・皇太子の親子間には大きな意見の相違がある。

 

大統領再選を目指していたトランプは国内ではコロナ対策で後れを取ったため、失地回復を外交に求めイスラエルとアラブ諸国の和平実現を目指した。イスラエルを熱烈に擁護するキリスト教福音派の支持を確かなものにすることが目的である。しかしサウジアラビアは国王と皇太子の意見が分かれ、目前に迫った大統領選挙には間に合わない。そこで米国はUAEに誘いをかけた。UAEが欲しがっているF-35ステルス戦闘機を餌にイスラエルとの和平を持ち掛けたのである。

 

バハレーンはと言えば、イラン系のシーア派住民が多数を占め、少数派でスンニ派のハリーファ王家が支配しており体制が不安定である。そのバハレーンには米国第五艦隊の基地があり1万人近い米兵が駐留している。これまでハリーファ王家はサウジアラビアに対して忠犬のごとく従順であったが、王家安泰の後見人に米国を選んだ。バハレーンは政治的・経済的なパトロンであったサウジアラビアをコケにしたのである。

 

MbSは自らを中東のフィクサーと過信し、トランプ米国大統領(当時)及びプーチン・ロシア大統領とのホットラインをセールスポイントにして強引な政治・エネルギー外交を展開しようとした。しかし、彼は今や自らが裸の王様であることを思い知らされたのである。

 

(続く)

 

 

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

荒葉一也

Arehakazuya1@gmail.com

 

 

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石油と中東のニュース(2月15日)

2021-02-15 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・原油価格上昇。Brent $62、バックワーデーションで先物より3ドル高

・LNGアジアスポット市場、暖冬で$6.90mmBtuに下落

(中東関連ニュース)

・カタール、NATO本部に代表事務所開設

・エジプトで世界最古5千年前のビール醸造所発掘

・UAE火星探査衛星からの画像届く

 

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5社中3社が200億ドル強の巨額損失を計上:五大国際石油企業2020年度業績速報シリーズ(1)

2021-02-14 | 海外・国内石油企業の業績

 国際石油企業(International Oil Companies, IOCs)の2020年第4四半期(10-12月)及び年間(1-12月)の決算が発表された。本稿ではExxonMobil(米)、Shell(英蘭), BP(英), Total(仏)及びChevron(米)の5社を取り上げ、各社の売上高、利益、設備投資額、キャッシュフロー及び石油・ガス生産量を概観し、さらに5社の業績比較を行う。

 

  1. 5社の2020年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)業績概要

以下の各表参照。

表A:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)

表B:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20B.pdf (キャッシュフロー)

表C:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20C.pdf (石油・ガス生産量)

 

(近年まれに見る大幅な赤字220億ドル!)

  • ExxonMobil

*同社ホームページ:

https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2021/0202_ExxonMobil-reports-results-for-fourth-quarter-2020-and-provides-perspective-on-forward-plans

 

(1)売上高

 ExxonMobilの2020年1-12月の売上高は465億ドルであり、また通年売上高は1,815億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ▲31%及び▲32%の大幅な減収である。減収の要因は新型コロナウィルス(COVID-19)禍により世界経済が大きく減速、原油及び天然ガスの需要と価格が同時に大幅に下落したためである。因みに原油価格について検証すると、代表的な指標油種である北海Brent原油の2019年の平均価格は64.21ドル/バレルであり、これに対して2020年のそれは41.83ドルであり40%下落している[1]。後述する通りExxonMobilの2020年原油・天然ガスの生産量は前年に比べ原油が1.6%減、天然ガスが9.8%減少、合計生産量で4.8%の減少であり、このことから減収の主たる要因は価格の下落にあったことが解る。

 

(2)利益

 10-12月期及び通年の損益はそれぞれ▲201億ドル及び▲224億ドルであり、10-12月期に年間に匹敵する損失を計上している。前年及び前年10-12月期がいずれも利益を計上していることと比べ今年度決算は最悪であったと言えよう。

 

通年利益のうち上流部門の利益は2019年の144億ドルに対して2020年は▲200億ドルであり、差引344億ドルのマイナスとなっている。一方、下流部門も2019年の23億ドルの利益に対し2020年は11億ドルの損失であり、上流部門ほど大きくはないが同様の傾向を示している。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、全体の損益額と上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率は▲12.4%であり、前年の5.4%からマイナスに転落している。

 

(4)設備・探鉱投資

 2020年の年間の設備・探鉱投資額は214億ドルであり、2019年の311億ドルに比べ31%減少している。

 

(5)キャッシュフロー

 ExxonMobilの2020年の営業キャッシュフローは147億ドルであり、2019年の297億ドルにくらべて半減している。

 なおExxonMobilの決算資料では営業キャッシュフローのみが示されており、投資及び財務キャッシュフロー並びに年末残高は示されていない。

 

(6)石油・ガス生産量

 昨年のExxonMobilの石油生産量は日量平均2,349千バレル(以下B/D)であり、前年(2019年)の2,386千B/Dに比べ2%減少している。天然ガスは日量平均8,471百万立法フィート(以下mmcfd)であり前年比9.8%減少であり、石油を上回る減産となっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

[1] Shell決算資料より

https://www.shell.com/investors/results-and-reporting/quarterly-results/2020/q4-2020/_jcr_content/par/toptasks_1119141760__237662996.stream/1612430671652/27901ad286f7dac5d3bdb6860bfea5e74c486c1a/q4-2020-quarterly-databook-updated.pdf

 

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石油と中東のニュース(2月13日)

2021-02-13 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・シェル:すでにオイルピーク、今後グリーンエネルギーに年間60億ドル投資

(中東関連ニュース)

・英首相直属の湾岸特使にEdward Lister任命

・サウジとカタールの通商、14日にSalwa国境検問所で再開

 

 

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今週の各社プレスリリースから(2/7-2/13)

2021-02-13 | 今週のエネルギー関連新聞発表

2/9 出光興産

2021年3月期  第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.idss.co.jp/content/100034427.pdf

2/9 出光興産

2021 年3月期 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ

https://www.idss.co.jp/content/100034429.pdf

2/9 Total

FOURTH QUARTER AND FULL-YEAR 2020 RESULTS

https://www.total.com/media/news/press-releases/Results-2020-and-TotalEnergies

2/10 ENEOSホールディングス

2021年3月期  第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/tdnet/1930479/00.pdf

2/10 ENEOS/出光興産

知多製造所の製造設備の出光興産株式会社への譲渡に関する基本契約締結について

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20210210_01_01_1090046.pdf

2/10 コスモホールディングス

2020年度 第3四半期 決算短信

https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_210210/index.html

2/10 コスモホールディングス

組織改定のお知らせ

https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_210210_01/index.html

2/10 コスモホールディングス

役員の異動に関するお知らせ

https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_210210_02/index.html

2/10 コスモエネルギー開発

役員の異動に関するお知らせ

https://cep.cosmo-oil.co.jp/press/p_210210_02/index.html

2/10 コスモエネルギー開発

アラブ首長国連邦 アブダビ首長国の探鉱鉱区(Offshore Block 4)を取得

https://cep.cosmo-oil.co.jp/press/p_210210_04/index.html

2/10 コスモ石油

役員の異動に関するお知らせ

https://coc.cosmo-oil.co.jp/press/p_210210/index.html

2/10 コスモ石油マーケティング

組織改定のお知らせ(2021年4月1日付)

https://com.cosmo-oil.co.jp/press/p_210210/index.html

2/10 国際石油開発帝石

2020年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.inpex.co.jp/news/assets/pdf/20210210_c.pdf

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