(英語版)
(アラビア語版)
2023年3月
Part III:キメラ(Chimera)
75. ネオ・ギャラクシーの地球上陸(1)
高度400KMの宇宙ステーションではイスラエル人宇宙飛行士モシェが船外作業中であった。モシェ飛行士はイスラエル空軍所属のパイロットである。彼が船外作業を終えて船内に戻ろうとしたとき、微細な物体が音もなく近づき彼の宇宙服に付着した。
超微細な物体であるため飛行士が到底目視できるものではなかったが、仮にそれが目に見える大きさであったとしても彼はその物体が彼に近づいてくることを容易に確認できなかったであろう。何故ならその物体は宇宙に偏在するダークマターを渡り歩きながら目的地を目指していたからである。
仮にその物体が地球の望遠鏡で目視できるとすれば、最初ははるか遠くにある点として観察される。そしてその次の瞬間、物体は見えなくなる。観察者は理由は定かではないが物体が姿を消したと思う。しかししばらくすると(しばらくと言ってもその時間的経過は測定できないほど短いのであるが)、その点は以前より大きくなっている。観察者は物体がこちらに近付いていることを認める。
物体は瞬きを繰り返すほんのわずかな間に光速を超えるような信じがたいスピードで宇宙を駆け抜けている。創造主が支配するダークマターの先にある世界では時間軸、空間軸を含めヒトには未知の多次元軸が交差している。そこでは創造主は物体を何時でもどこにでも瞬時に移動させることが可能である。時間軸と空間軸だけの現実の宇宙では物体が発する光の点が前後左右に動き、或いは点そのものが大きくなることで近づいていることを認識できるにすぎない。
ともあれ微細な物体、冬眠中のネオ・ギャラクシーは宇宙服に付着した。そして飛行士が船外作業を終え宇宙ステーションに戻り、気圧室で地球と同じ温度と気圧の中で宇宙服を脱いだその時、ネオ・ギャラクシーは素早く飛行士の体内にもぐりこんだのであった。大気に触れ、体温に温められたウィルスは冬眠から目覚め、増殖活動を開始した。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html