ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

クルマが通信機能をもつことは既定路線なのか?

2004年12月02日 | ITS
神尾氏の著書「自動車ITS革命」によれば、将来クルマが通信機能をもつことは規定路線だという。
この考え方についてすこし考えてみよう。

既に日本人は携帯電話を通してユビキタスである。ポケットにいつでもどこへでもつながる道具があるのに、さらにクルマがつながらなくてはいけない理由は何なのだろうか?

まずはハードウェアから考えよう。
普通に考えて、今の段階では携帯とクルマがなんかしらの連携することでベネフィットが向上するというシーンを考えてみればいいんだと思う。

第一に携帯がクルマの機器を活用することでベネフィットが向上するもの。
例えば、車載の液晶画面で表示することで見やすくなる、カーオーディオのアンプ、スピーカーを使うことでよりいい音で音楽が楽しめる、ナビと連動することで地域情報へのアクセスが容易になる、等だ。
これらは確かにニーズとして存在するが、キラーとなる力はなさそうだ。
特にナビと連動しての情報提供はずっと目玉だといわれてきたが、カーメーカーのテレマティクスもドコモのiナビリンクも苦戦している。

次に、クルマの制御系に介入することでベネフィットが向上するもの。
これは安全関連や自動運転といった世界で、まさにITSである。これは将来あるかもしれないが、今すぐどうこうなるものではない。また、制御系への介入はまずはクルマのセンサーによる自律型から始まる。氏によれば、自律型の先には路車間、車車間、人車間通信が必ず必要だということだが、これにも疑問がある。いずれ言及しよう。

そして、クルマの状態を通信でどこかに送信することでベネフィットを向上するもの。
例えば、クルマの調子をディーラーに送る、等であるが、これについては売り手発想が強く、本当の意味での消費者のベネフィットが今ひとつ見えてこない。
唯一、渋滞の情報をプローブとして送信する仕組みがホンダのインターナビで評価されている。しかしこれはホンダにとってナビの機能アップ=ホンダ車の魅力アップであり、そのサービス自身がビジネスモデルとして成立しているわけではない。

どうも、このアプローチからはクルマを通信で繋がなくてはいけないキラーコンテンツは見えてこない。