ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ネット家電のばかばかしさ

2004年12月21日 | ITS
本日の日経1面で、電線ネットが2006年に解禁されるという記事があった。

電線ネットは、家庭のコンセントがつかえるので有線LANよりは使い勝手が良さそうだが、2006年までには無線LANがもっともっと普及しちゃうんだろうな、と思う。

さて、私がここで言いたいのはそんなことではない。日経いわく、「通信用の大掛かりな配線工事が不要なため、ネットを通じてエアコンや冷蔵庫などを遠隔操作するネット家電が利用しやすくなり、普及に弾みがつく」

うーん、なんかITSの話に似ている。「ETCが全てのクルマに装着されれば、クルマのネット化普及に弾みがつく」

忘れられているのは、ネットに繋いで何をするのか、だ。

日経は3面の解説で冷蔵庫をネットにつないで食品の在庫管理をするという話を紹介しているが、これなどは家事をしたことがない人が頭で考えたリアリティーのないアプリケーションだと思う。

生鮮を含めた全ての食品にICチップがつけば多少は話が変わってくるが、そうならない限り収納や使用の度にデータをインプットすることなど絶対にあり得ない。

仮にICチップが食品に組み込まれたとしても、そこまでやって家庭で得られるものがなにかを考えたら、割に合う話ではない。冷蔵庫の食品賞味期限管理なんて、主婦の直感で管理をしても7-8割は上手に回るものだ。最悪賞味期限を過ぎたって、捨てるだけのことだ。はっきり言って、ネットで管理はおおげさ。

日経の3面には洗濯機も例に挙げられていたが、ネットに繋いで何をするのだろうか?洗濯物の内容をインプットすると、それに合致した最適な洗濯メニューがネットを介してセットされる、なんて言う話を聞いたことがあるが、洗濯ってそんなに高度な技術・知識が必要なものなのか?

本当に有用なら、コンセントがつかえなくても無線LANで実現しているはずだね。

国交省・参宮橋実験への疑問

2004年12月21日 | ITS
国土交通省はAHS(アドバンスドハイウェイ)の実証実験を首都高速4号線参宮橋付近で実施する。
国交省道路局ITSホームページ

具体的には、事故多発地点である参宮橋付近のカーブにセンサーを設置し、センサーが把握した停止・低速車両情報をVICS車載器を通じてドライバーに提供することの検討を行うそうだ。
ちなみに参宮橋付近は首都高速の事故ワーストワン地点で、平成15年度に181件の事故が発生したとのこと。

私は首都高速4号線沿いに住んでいるので、この地点は良く知っている。環状線から来ると新宿の手前で大きく3-4回左右にカーブする。首都高レーサーにとっては格好のコーナーだ。

さて、この計画には大きな疑問がある。

今回の実験はVICS車載機への情報提供だという。
しかし、その先にはETC技術(DSRC)活用による路車間通信が視野に入っていると思う。

以前、国交省にとってDSRCに代表される路車間通信普及の錦の御旗が「安全」だと書いた。
まさにこれは高速道路の安全性向上の為の実証実験だ。

しかし騙されてはいけない。この実験が実証することは、見通しの悪いカーブの先にある渋滞や停止車両の情報を事前に手前のトラフィックに提供することが、事故防止に繋がるのかどうかであり、決してETC(DSRC)等の路車間通信の有用性ではない。
VICSやDSRCは単にその情報提供手段にすぎないのだ。

おそらく、良い結果がでるのであろう。そして、「路車間通信は安全向上に有効である」という結論を出すつもりだと思う。しかし、それははっきり言って欺瞞だ。路側の警報信号や電光掲示板でも危険情報の伝達手段として十分機能する。

むしろここがワーストワン地点であるなら、実験なんていわずに今すぐにでも電光警告灯を路側に設置して「センサーが把握した停止・低速車両情報」を表示するべきではないのか?
この実験をして、「VICS付き車は事故を回避できたが、付いていないクルマは衝突した」という報告書を提出するつもりなのか?その事故が死亡事故になったらどうするのか?

私にはやろうとしていることが全く理解できない。