ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

クルマが通信機能をもつこと(承前)

2004年12月03日 | ITS
昨日にひき続き、将来クルマが通信機能をもつことは規定路線という考え方についての検証の続き。

今回はある特定の商品・サービスがヒットする要素、という側面から考えてみよう。

ヒットする要素には大きく分けて「不満解消」と「ワンランク上のベネフィット提供」がある。
「不満解消」は顕在化している不満を解消する商品・サービスである。

現在、車に関して不満に思うこととは何だろう。大きな話では、クルマは操作をミスすると命に関わる原始的な乗り物である、という点である。これは、根元的で、もっともニーズが高い問題だろう。それはエアバックやABSといったハイテク装備が事実上キラーコンテンツとなっていることからも明らかである。
安全装備がクルマという商品のキラーになるという認識は神尾氏もされており、私も100%同感である。
しかし、通信技術で安全装備を構築するためには原則的に全てのクルマやその他歩行者、自転車などに装備されなければならないという前提があり、ビジネスモデル構築はかなりの難事業になるだろう。民間主導では無理だと思う。

よりレイヤーの低い話としては、ナビゲーションの地図が古くなる、VICSの精度が低いという様な事柄があげられる。
ナビが普及する以前は皆、道路地図をグローブボックスに入れていた。たかだか1000円程度のものだが、毎年買い換えた人はいるだろうか?実際、5-6年の道路の変遷なんてそんなに困るものじゃない。
また、VICSの精度は上がるに越したことはない。しかし、今より精度が上がるからといってそれに料金を払う消費者がどれくらいいるだろうか?
どちらもニーズはあるが、キラーコンテンツにまで成長するかどうかは微妙だ。

(なお、通信とは言えないが、走行中のTV画面の乱れという不満を解消する地上波デジタルの車載チューナーは確実にブレイクすると私は思っている。)

次回、後者のワンランク上のベネフィットについて考えよう。