ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

世界情報通信サミット

2004年12月13日 | ITS
ちょっと古いが、今年の2月に日経新聞社が主催した世界情報通信サミットによれば、参加者がこの2~3年でITの次なるブレークスルーがもたらすと思う技術、インフラ、サービスは何か、という問いに対して、1位無線ICタグ・2位デジタル家電・3位ホームネットワーク・4位電子マネー・5位車のIT化(テレマティクス)、同位でIP電話と新たな携帯端末となったそうだ。

参加者はIT、家電業界の役員クラスを含むそうそうたるメンバーであるが、クルマのIT化を第5位とした理由をみてみると、案外単純な見方しかされていないことが判る。

大別すれば
・カーメーカーがやる気だからブレイクする
  マニュファクチャーオリエンテッド。その先に消費者ニーズがあれば成立するが...。
・クルマももっと情報化するべきだ
  いったいこれ以上何の情報が必要なの?
・クルマには皆沢山お金をかけるから有望だ
  そんな単純なものじゃないでしょ?
・VICSやETCがうまくいっているから、まだ先がある
  根拠なし。
・携帯も高機能化した。クルマもそうなる
  今でも十分高機能だけど。写真は撮れないが音楽きけるし、道案内もしてくれる。

ようするに、消費者ニーズがどうなのか以前の問題で、「クルマはでかい市場なのできっとなんかあるはずだろう」というおおざっぱな見方だ。ITSやテレマティクスの議論がいつもそうであるように、具体的な有望コンテンツについて明確に指摘している人はいない。

クルマのIT化に肯定的な意見を以下に転載するので、各自ご判断下さい。

・車にはユーザーの費やす金額が大きいということから考えて、今後の市場として有望。既に車のIT化は進んでおり、技術的にも実現可能性が高い。

・自動車メーカー各社が本格的に乗り出して来ている。安全面のコンテンツでブレイクすると思われる。

・身近にある機器の中で情報化が遅れているのが車だと思う。見方を変えると今後、急速な技術革新が起こり、爆発的な普及が期待できる。単なる携帯電話の真似では、成功しない。安全と情報サービスの2つ側面をカバーする必要がある。

・自動車会社が高付加価値化を図りたいし、携帯電話などのコンテンツプロバイダーが用途を広げたいと思っているから。

・ETC、カーテレビ、インターネット接続による情報収集、カーナビなどが普及することを期待している。特に、自動車メーカーが中心になって新たに情報提供サービスの仕組みを構築するのではなく、パソコンウェブサイトへの接続を実現すれば、ITブレークスルーをもたらすと考えている。

・1995年の横浜でのITS世界会議は、官民にわたるITSへの取組みを本格化するものとなり、VICSやETCはすっかり日本の交通システムに定着させるものとなったが、名古屋で開催される2004年のITS世界会議は、この分野で日本のITS関連産業が、「ユビキタス自動車」という目標像をもって、国際的な独自性や優位性を作りこんでいく引き金をひくものとなろう。

・携帯電話ではカメラ付きが標準化される等高機能化がすすみ、現にそのニーズがある中、生活において身近な機器・道具等の情報通信機能の付加が急速に進む可能性がある。その代表格として車があると思う。