ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

愛・地球博とスマートプレート

2005年03月10日 | ITS
またまたレスポンスの記事だが、国土交通省(自動車交通局)は愛・地球博でスマートプレートのデモンストレーションを行う。

簡単な記事で、ニュースソースににも行き当たらなかったので詳細は不明だが、この記事から読みとれる限りでは、単なるバスロケだ。バスロケをスマートプレートでやらなくてはならない理由なんて全くない。
敢えて説明は不要だと思うけど、「発信器を装備する対象は特定のバスであり、その発信器がナンバープレートに仕込まれなくてはいけない必然性は全くない」ということだ。

記事には「スマートプレートの実用化を急ぎたい国交省は、デモンストレーションを通じて利便性を広くアピールする」とあるけど、このデモでアピールできるのは「バスロケ」の利便性だけだ。
なんか、子供だましのような話だと思う。

欧州のeCall

2005年03月10日 | ITS
一月ほど前の出来事だが、久々にヘビーなITS関連の話題。

2月3日、欧州自工会(ACEA)は09年度から欧州で発売される車両に対してeCallサービスを標準装備することでEC欧州委員会と合意(Memorandum of Understandingへの調印)した。
但し、各カーメーカーの意向は不明。欧州共同体の指令は実施まで紆余曲折するのが通例で、これもどうなるか判らない。

eCallは衝突事故の際に車内に取り付けた発信装置が自動的に作動し、運転者が意識を失ったり動けなくても、欧州統一の救急番号E112へ(日本の119に相当)電話をかけ、事故車の正確な位置を知らせるシステム。
ヨーロッパでは年間約50000人が交通事故で死亡しており、欧州委はこれにより年間2000人の生命を救えるとしている。
日経記事

このシステムを実現するためには、クルマに通信機器が埋め込まれていなければならない。その意味では、欧州におけるITS・テレマティクスへの明確な追い風になるだろう。どのみち法律で通信機器が装備されるなら、それを他の用途に使うというアイデアはメーカー、ユーザー双方にとって悪い話ではない。
事実、欧州共同体の構想ではこれと同期して2010までにReal-Time Traffic and Travel Information (RTTI)の欧州80%カバーを目標に掲げている。

但し、これが我が国にも波及するのか?

最近の傾向として、アメリカを除く世界各国(日本を含む)は自動車関連法規をEU法規へとあわせていく方向にある。独自の車両道交法が「非関税障壁」と見なされたと言うこともあるが、我が国の自動車産業にとっても輸出相手国の法規による細かい仕様変更が避けられるという面で大いにメリットがある。

しかし、この法規をそのまま日本市場に当てはめることは出来ないだろう。
人口密度が高い日本はトラフィックの量が欧米とは大いに異なり、たいていの場合は周囲の他の車両が通報をしてくれる。
勿論、この仕組みで助かる命もあるだろうが、欧州とはそのニーズの強さが違う。