ITSを疑う

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日本の車検制度について1 規制緩和

2007年02月04日 | 雑記
車検制度について思うことを、何回か書いてみたい。

昔、日本の車検制度は世界一厳しいといわれていたが、1995年の規制緩和で状況は一変した。
規制緩和については、このあたりがわかりやすい。
かいつまんで説明すれば、
・ナンバーを取得したあとで
・保安基準や道交法に抵触しないものであれば
・指定部品(オーバーフェンダーを除く殆どの部品)を溶接以外の方法(外そうと思えば外せる構造)で取り付ける限り、
・クルマの諸元(長さ、幅、高さ)が変わっても登録変更の必要がない

この規制緩和はアメリカの外圧によって唐突に実施された。
米政府が自国の自動車アフターマーケット商品が日本でほとんど売れない理由は厳しすぎる車検制度に問題がある、として問題視したことが発端。
勿論、アメリカ製自動車部品用品が売れなかったのはそんな理由ではない。商品力、品質、市場調査不足だ。
もし車検制度が理由なら、欧州製のブランド自動車用品は何故売れていたのか。

この話の裏には、アメリカの最大手ショックアブソーバ企業が絡んでいるらしい。
日本以外の市場には巨大なショックアブソーバ交換需要がある。その企業は全世界に進出しているが、日本だけは入り込めない。それを車検制度や分解整備免許制度のせいにして議会へ泣きついた。
しかし、ちょっと市場調査をしていれば日本ではショックアブソーバを定期交換する風習がないことくらい、すぐわかったはずだ。車両の生涯走行距離が10万キロそこそこのわが国では、ショックアブソーバは交換部品ではないのだ。

アメリカ議会は、この陳情をうけて自国の業界から意見を聴取し、規制緩和要望品目リストを作成し日本政府に提示した。

そもそも、日本は自動車部用品に関税をかけていない。関税がかかっていないのに売れないのは、ずるい日本人が非関税障壁を設けているからだ、という言いがかりだ。

この規制緩和であるが、「外圧だから仕方がない」という気持ちがあったためだろうか、もしくは言いがかりに対して開き直りの気持ちがあったからだろうか、アメリカの言い分を 100%認め、拙速に決定された。指定品目の例として掲示されている商品イラストは、多分アメリカから提示されたものをそのまま転載したような内容だ。わが国のアフターマーケットの特性などはほとんど検討されていない。

さらに言えば、この背景にはわが国にとっての本丸である自動車本体への影響、つまりはアメリカ製部品を生産車へ使えという圧力をかわしたいという側面もあっただろう。実際、日本側にはこんな規制緩和をしても日本市場はびくともしないという確信があったと思う。

規制緩和から10年以上経過したが、アメリカの自動車部用品が日本で売れるようになったかというと、そんなことはまったくない。
これについてはまさに溜飲がさがる。

あの規制緩和は一体なんだったんだろう。業界人としてはビジネスチャンスだったといわざる得ないが、一個人としてみればやりすぎだと思う。

参考:1995年規制緩和の日米合意(PDF)
(10ページ目のパラグラフ9に、この内容が記載されています)