ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

スマートフォンとスマートTVの根本的な違い

2011年12月18日 | モバイル・ウエアラブル
この先TVはネットに接続され、携帯がスマホに取って代わったようにスマートTVになることがもはや既定路線であるかのような見方がされているが、果たしてそうなのだろうか?

ソニーのストリンガー会長は、4スクリーンという言葉を使っている。つまり、茶の間のTV,PC.タブレットとスマートフォンの4つのスクリーンがクラウドで連携するということを意味しており、これらを統合する企業が今後のTV市場を制すといいたいのだろう。
すでにアップルはPC、タブレット、スマートフォンを有し、来年にはTVを出すという噂がある。これに対しtソニーは相当の危機感を持っているだろう。
Googleは主にクラウドとソフトでそれを手中に収める戦略だが、ソニーと組んだGoogleTVはあまりうまく行っていない。

PC、タブレット、スマートフォンがクラウドで連携し、パーソナルツールとして様々なことを可能にすることについては私は全く異論はない。まだまだこれから様々なサービスが登場するだろう。
しかし、スマートTVについては私はどうしても懐疑的にならざるえない。

その理由は以下のとおりだ。

PC、タブレット、スマートフォンはすべてパーソナルなデバイスといえるが、大画面TVは果たしてそうなのだろうか?もちろん、一人暮らしであればパーソナルなデバイスに違いないが、家庭にある場合は家族で共有するのが普通だろう。
いまだに、家族の食事中の話題の半分はその時見ているテレビ番組に関するものだという。
それは、くだらないバライティかも知れないし家政婦のミタかもしれないが、話題共有という観点からも家族で見るコンテンツは通常はサイマル放送ということになる。

家族揃った団欒で誰かのツイッターTLやFACEBOOKのウォールを見ることは絶対にありえない。共有デバイスとソーシャルネットワークは全く親和しない。
さらに、YOUTUBEでオモシロ動画を家族でワイワイやりながら見るというような状況も、あまり想像できない。

ネットに接続されたTVならなんでもスマートTVと呼ぶなら、それは普及するだろう。というか、今でもアクトビラのようにネットにつないで映画を有料で見ることが出来るTVは普通に存在する。
これは、将来的にはレンタルビデオという業態を駆逐するものになるだろうが、しかしこれだけでは「スマート」とまでは言えないだろう。

では、スマートTVとは何をするものなのか?

クラウドの情報を通信で共有するということは、これはやはりパーソナルデバイスだとしか考えられない。
ということは単身者がターゲットなのかもしれないが、PCとの住み分けを明確にしないと商品としてのスタンスが見えてこない。
一人で楽しむ限りにおいて、目の前の17インチと3メーター先の40インチは同じようなものだ。

スマートフォンにできてパソコンに出来ないことは明確だ。電話をすることと、ポケットに入れて外に持っていくこと。
では、スマートTVにできてパソコンやタブレットに出来ないことは何だろう?私には画面の大きさ以外思い浮かばない。


GoogleTVの失敗は、コンテンツ不足とリモコンのUIの悪さに起因するという記事が多いが、これは本当なのだろうか?
3Dテレビも、最初、普及しないのはコンテンツ不足と専用メガネの使い勝手のわるさだと言っていたジャーナリストが多かったが、本質はそこになかった。

実際の使用シーンを思い浮かべながら商品企画をしないと、スマートTVは3Dテレビの二の舞になる。