公理か定理か-1から続く
等式の性質からふと公理や定理のことを考えていた。そういえば続きを書いていなかった。地蔵菩薩さんからのコメントで思い出した。
等式の性質のところで公理か定理について数学に詳しい人に聞いたところ、少しだけスッキリしたので紹介する。
等式の性質が「公理」であるか「定理」であるかということ
について、まとめてみた。
例として「群の公理」をあげる
空でない集合 G で定義された二項演算 *
について、次の性
質が成り立つものを群という。
1.(結合法則)任意の G の元 a, b, c
に対して、(a*b)*c=a*(b*c)
を満たす。
2.(単位元の存在) G の各元 a に対してもa*e=e*a を満
たすような元 e が G のなかに存在する(存在すれば一意で
あ る)。これを G の単位元という。
3.(逆元の存在)G の各元 a に対しても、a*x = x*a
= e
となるような G の元 x
が存在する(存在すれば一意である)
。これを a の G における逆元といい、しばしば
a-1
で表される。
話を等式の性質に戻す。
等式の性質とは
===========================================================
一般に等式には次の性質がある
1.等式の両辺に同じ数や式を加えても,等式は成り立つ。
2.等式の両辺から同じ数や式をひいても,等式は成り立つ
。
3.等式の両辺に同じ数をかけても,等式は成り立つ。
4.等式の両辺を同じ数でわっても,等式は成り立つ。
1.A=B ならば A+C=B+C
2.A=B ならば A-C=B-C
3.A=B ならば AC=BC
4.A=B ならば A/C=B/C ただしC≠0
=======================================================
数学では公理や定理を論ずるとき、例えば等式の性質が公理
なのか定理なのかは、そこでの対象をどんな範囲で考えている
のか、つまりAやBがどんなものなのかによる。
それとそこで定義されている演算にも左右される。
上の群の例で等式の性質について考える。
1.A=B ならば A+C=B+C が定理か公理か
群でいえば Gの元a,b,cで
a=b ならば a*c=b*c と言い直せる。
結論からすると群を考えている限りでは、これは「公理」
で
ある。
a*b で演算*は一意的に定義されているから
Gの元a*bは一意的に決まる。
したがって、a*c=b*c が言える。
話を戻して
1.A=B ならば A+C=B+C
はどうなのか、ということになるが、A,B,Cが一体どんな集
合の要素であるか、また演算+がどのように定義されているの
かによる。
以下
2.A=B ならば A-C=B-C
3.A=B ならば AC=BC
4.A=B ならば A/C=B/C ただしC≠0
なども同じである。
ここでA,B,Cはいずれも「数」であって、方程式を学んでい
る生徒は中学1年生であるから、対象となる集合は「有理数
の集合」である。
専門的になるので、おおざっぱに話を進める。
数学では一連の公理を用いて、集合から自然数を構成し、
数同士の演算を、段階を追って定義している。
自然数の集合での演算(+-×),整数の集合での演算(+-×),
有理数の集合での演算(+-×÷)などである。
それら一つ一つの集合とそこで定義される演算にたいしての
性質は公理から証明できる。
等式の性質1から4まではすべて有理数の集合で考えること
で、そこでの演算は有理数同士の演算であった。
その意味からすると、等式の性質は「公理」から証明されて
いることであるから、「定理」である。
ユークリッドの生きていた頃は、数を集合から構成するなどということは考えられていなかったので、「公理」に近い「共通概念」というものとして扱われていたのだろうと思う。
等式の性質からふと公理や定理のことを考えていた。そういえば続きを書いていなかった。地蔵菩薩さんからのコメントで思い出した。
等式の性質のところで公理か定理について数学に詳しい人に聞いたところ、少しだけスッキリしたので紹介する。
等式の性質が「公理」であるか「定理」であるかということ
について、まとめてみた。
例として「群の公理」をあげる
空でない集合 G で定義された二項演算 *
について、次の性
質が成り立つものを群という。
1.(結合法則)任意の G の元 a, b, c
に対して、(a*b)*c=a*(b*c)
を満たす。
2.(単位元の存在) G の各元 a に対してもa*e=e*a を満
たすような元 e が G のなかに存在する(存在すれば一意で
あ る)。これを G の単位元という。
3.(逆元の存在)G の各元 a に対しても、a*x = x*a
= e
となるような G の元 x
が存在する(存在すれば一意である)
。これを a の G における逆元といい、しばしば
a-1
で表される。
話を等式の性質に戻す。
等式の性質とは
===========================================================
一般に等式には次の性質がある
1.等式の両辺に同じ数や式を加えても,等式は成り立つ。
2.等式の両辺から同じ数や式をひいても,等式は成り立つ
。
3.等式の両辺に同じ数をかけても,等式は成り立つ。
4.等式の両辺を同じ数でわっても,等式は成り立つ。
1.A=B ならば A+C=B+C
2.A=B ならば A-C=B-C
3.A=B ならば AC=BC
4.A=B ならば A/C=B/C ただしC≠0
=======================================================
数学では公理や定理を論ずるとき、例えば等式の性質が公理
なのか定理なのかは、そこでの対象をどんな範囲で考えている
のか、つまりAやBがどんなものなのかによる。
それとそこで定義されている演算にも左右される。
上の群の例で等式の性質について考える。
1.A=B ならば A+C=B+C が定理か公理か
群でいえば Gの元a,b,cで
a=b ならば a*c=b*c と言い直せる。
結論からすると群を考えている限りでは、これは「公理」
で
ある。
a*b で演算*は一意的に定義されているから
Gの元a*bは一意的に決まる。
したがって、a*c=b*c が言える。
話を戻して
1.A=B ならば A+C=B+C
はどうなのか、ということになるが、A,B,Cが一体どんな集
合の要素であるか、また演算+がどのように定義されているの
かによる。
以下
2.A=B ならば A-C=B-C
3.A=B ならば AC=BC
4.A=B ならば A/C=B/C ただしC≠0
なども同じである。
ここでA,B,Cはいずれも「数」であって、方程式を学んでい
る生徒は中学1年生であるから、対象となる集合は「有理数
の集合」である。
専門的になるので、おおざっぱに話を進める。
数学では一連の公理を用いて、集合から自然数を構成し、
数同士の演算を、段階を追って定義している。
自然数の集合での演算(+-×),整数の集合での演算(+-×),
有理数の集合での演算(+-×÷)などである。
それら一つ一つの集合とそこで定義される演算にたいしての
性質は公理から証明できる。
等式の性質1から4まではすべて有理数の集合で考えること
で、そこでの演算は有理数同士の演算であった。
その意味からすると、等式の性質は「公理」から証明されて
いることであるから、「定理」である。
ユークリッドの生きていた頃は、数を集合から構成するなどということは考えられていなかったので、「公理」に近い「共通概念」というものとして扱われていたのだろうと思う。