投票日翌日の昨日の新聞に目を通してみました。写真は今日の静岡朝日テレビ、テレビ静岡ニュースからです。
「リニア対立軸に「川勝劇場」(ポピュリズム)」(白鳥浩法政大学院教授、中日新聞)、「自民は学習したのか(旧態依然たる組織選挙脱皮)」(前山亮吉県立大学教授、静岡新聞)。
毎日新聞はリニアにしぼり「絶対」という言葉を使って「リニア住民理解に重みー早期開港ありきで住民理解なく着工に踏み切ることは絶対にできなくなった」(毎日、山田英之記者)。中日新聞は県職員の言葉を借りて「(川勝さんの在任期間の)4年間は静岡での着工はないだろう」と話す」(知事選取材班)。
静岡新聞は社説「川勝知事4選 喫緊の課題に全力を注げ」、「「危機」訴え 集票」(政治部・市川雄一記者)、「先見性あるかじ取りをー県政の構造的課題や激変する社会への具体論が語られる場面は少なかった。時代の変化は速く、先見性を持ったリーダーが不可欠だ」(風間ほえみ 政治部長)。
読売新聞は「対コロナも実行力をー川勝氏は、リニアと共に「命」にかかわる新型コロナ対策の実行力で、県民の信頼を得る必要がある」(余門千里記者)。
朝日新聞は「「川勝流」の終着点示せー対話よりも対決へ進む「川勝流」は粗暴で危うい。政争の具にしてはならず。リニア以外にも人口減少やコロナ対策など県政の課題は山積みしている」(黒田壮吉記者)。
静岡新聞、読売新聞、朝日新聞が「リニアだけが県政でない」と注文型の選挙総括となっているのに対して中日新聞は「「最大争点」リニアで攻勢」とリニアに焦点を定めつつ県政の全体像を語っている。つまり、3社は長期的県政の課題と言いながら「川勝流」手法批判をしていて、実はコロナ危機、気候危機に対応する長期的課題を提示できていない。その点で「長期的には、コロナがもたらした働き方や消費行動の変化に対応したデジタル技術の活用促進、大都市からの移住者の受け皿づくり、地球温暖化対策で進む排ガスを出さない自動車への切り替えなど産業構造の転換にも、積極的に動いて欲しい」(大杉はるか記者)は納得のいく内容となっている。というか、この県知事選挙においては気候危機はほとんど争点とならなかったことは大きな反省点と言える。
日経新聞は「リニア開業 遠のく可能性」、産経新聞は開票速報状況の川勝氏の「「富国有徳のふじのくに」作る」を紹介。
今回の県知事選挙は、南アルプスへのリニアトンネル工事を巡る「国の環境影響評価」を広域自治体として住民に寄り添い自然環境に畏敬の念を持ちながら、情報公開、万機公論に決す検証過程を通して民主主義の原点を県民に知らしめているのではないか、コロナ禍の中、「地方vs国」、民間のはずが国策としてリニア新幹線を推し進める「JR東海vs静岡県」の対立構図の中で「県民の県民による県民のための政治」の実体験となり、おのずと「自治・分権・分散」型の新しい政治の可能性が生まれているのではないか。まさに「東京から自立する静岡時代」、「地方から政治を変えていく」新たな政治の予兆ではなかったのか。
勿論、それらを川勝知事にすべてをゆだねるのではなく、私たち自身が主権者として、一人一人が動き出すことで共に新たな時代を作り出すことができるわけで、このことを肝に銘じなければならない。