今日は、さすが予算議会の最終日らしく山あり谷ありの1日でした。下記の原稿は、65の議案に5つの議案反対の立場での討論原稿です。追加議案として副市長など人事案件、追加の緑の分権改革補正議案、意見書案件など、「起立」と「着席」が激しく交錯しました。
討論は議案の賛成・反対のみで、意見・要望は言うべきでない、などという信じられないような議会運営の申し合わせがあり、私の意見・要望の討論にヤジが激しく飛び交い、声が通らないくらいでした。これには、正直驚きました。何なんでしょう、この議会は。
あまりにもヤジが多いので、討論を終えて事績に戻る途中で「何故、議会が議案に意見・要望することが制限されるのか。議会の権限を貶めているだけではないですか」と大声で抗議。議長が「席に戻ってください」の発言。会場は大爆笑。
戻ると、例によって「県議会で何を学んできたんだ」「県に帰れ」とのまたまたおなじみのヤジ。誰が言っているかと思ったら、何と石上顕太郎議員、副議長でした。さすがに「それは、有権者に対する(投票した)冒涜だ」激しく反応しました。
どうして、こんなに多くの議員がヤジを飛ばしてくれるのか。うれしくもあり、悲しくもあります。討論の最後に、分権改革の前提は、二元代表制の中で、議会が本来の役割を果たすことが前提である、を述べましたが、まさにリアルな現実が繰り広げられました。
議会終わって、独り言。どうして、こんなにパワーが発揮できるんだろう。「青春の時のあの激しさ」を思い起こすように自分に言い聞かせました。「あの激しさ」が必要なんだ、それが自分に求められている、後ろに見える足跡でなく、前に広がる無限の可能性に挑戦!
※※2010年度予算案反対討論(実際の討論ではかなりの修正があります) 2010年3月20日
上程されております議案第31号から第95号のうち、第31号2010年度静岡市一般会計予算、第37号2010年度静岡市国民健康保険会計予算、第57号静岡市職員定数条例の一部改正について、第61号静岡市国民健康保険条例の一部改正について、第74号静岡市教職員の給与に関する条例の一部改正について、の5議案に会派「虹と緑」を代表して反対討論を行います。
2010年度予算は4つの性格を、つまり、昨年7月の県政及び8月の政権交代後初の予算編成であること、小嶋市長の4年任期最後の年の予算編成であること、2次総の最初の年の予算編成であること、そして未曾有な経済危機と国・地方両方で財政破綻状況下での予算編成であること、これらの性格を帯びております。そのことを市長は「試練の時」ととらえ、政権交代による大きな制度変更が予測されるとして2次総「5年間の事業量算定の見送り」を決断しております。私は正しい判断であると思います。そして、経営方針として4つの柱、「2次総の始動」、「安心安全の都市(まち)の実現」「新成長産業の創出」「国と地方の枠組み変化の対応」を掲げ、一般会計2667億円、特別会計1968億、企業会計860億円、計5495億円前年度221億円減という極めて厳しい予算を組んだと所信で表明されています。「試練の時」には決断、決断が求められます。
「1」 第31号
まず31号議案2010年度一般会計予算についてであります。予算中の東静岡多目的アリーに関わる事業、及び、清水駅東地区文化施設事業に反対であります。
1、 多目的アリーナに関しての反対理由の第1は、この計画が、旧清水市と旧静岡市の合併協定を覆し、商工会議所、自治会連合会、体育関係団体という大きな団体組織の意向という形をとり、市民参加手法のパブリックコメントを世論調査であるかのように利用し、ライフサイクルコストも考慮しない建設費200億円というハコモノ事業で地域活性化が図れるとしたもともと無理な事業計画であったということであります。
2、 反対理由の第2は、昨年7月の県政における政権交代が起き、12月議会での賛成多数で可決した市議会意見書を持ってしても、2月の静岡市のサブアリーナ建設含む再度の提案にも川勝知事が東静岡多目的アリーナ計画に応じる姿勢を見せていないこの段階で、2次総での5年間の事業量を見送ったように、計画の見直し、ゼロの地点から市民参画手法を丁寧に活用した新たな計画策定に向かう「決断」をしていないことであります。
3、 この際、市長に申し上げたいことは、市長選挙への出馬するにしてもしないにしても、この市有地のみならず県有地、民有地の11ヘクタール含む東静岡新都市拠点整備事業について、市長選挙の政治争点として提示し、有権者の判断に委ねるべきであるという点です。将来の静岡市をどうしていくか、市民自治を占う上で格好のテーマです。知事提案の「若者の賑わう大学コンソーシアム構想」も含め、市民への判断材料の提起や、ガンダムがやってくる「模型の世界首都 ホビーワールドプロジェクト」事業の7月から来年1月までの機会は市民参加ワークショップの場として大いに活用すべきであります。
4、 清水駅東地区文化施設についての反対理由第1は、総事業費126億円積算に石油高騰―沈静過程が反映しない点、合併特例債77億円活用でPFI事業メリットが失われている点、たった1社の応募での事業者決定経過や「官製談合」への疑念、購入文化サービスが東静岡・グランシップと重なり、ハコモノ事業的要素が強い点、 など問題をのこしたままの事業が進められている点であります。
5、 反対理由の第2は、合併による新都市建設計画事業のハコモノ的要素が強く、今後の財政運営への影響を懸念するからであります。予算編成において、33億円の美術館や200億円の西ヶ谷清掃工場、今後については100億の日本平公園整備事業など、合併新都市建設計画の終了で、10年度予算は起債額が535億円が424億円になったとしていますが、このうち169億円は臨時財政対策債、税収54億円の減収という中で財政事情は極めて厳しい現状です。公債費は2009年決算見込みで390億、新年度予算で387億、横ばい、税収減の中でこれまでのハコモノつけは重く財政のしかかってきます。プライマリーバランスはどうかといえば、1日に1億1900万を借りて、1億800万を返す、で達成されておらず。借金は増え続きます。現在の累積赤字は6337億年です。
「2」 次に第57号議案についてであります。
第57号議案は、2010年4月1日現在の職員定数6396名に削減するというものですが果して本当に経費削減になっているのでしょうか。
1、 この4年間を見ても、2006年から2009年の4年間で、正規職員が、6761人から6430人、非常勤嘱託職員が1418人から1870人、4年間で331人削減し、452人増加。職員数は増加。削減額は、正規職員一人800万、非常勤職員は一人400万で計算した差額としています。ところが、アウトソーシングされた民間委託や指定管理の費用の人件費は物件費としてカウントされません。本当に財源が浮いたかどうかは検証されず、官製ワーキングプアが増加、というこのような定数削減に反対です。
2、 2次総でも、行財政計画でも、定数管理を「新しい公共」、静岡市は「新しい公共空間」という言葉を使っていますが、きちんとリンクするなら、定数削減に反対しません。しかし、「新しい公共空間」概念は、「官の下請け」構造を前提とした役割分担論ではないか、19日の新たな行財政推進審議会を傍聴する限りにおいて、その懸念が残りました。本来、行政こそが「市民の下請け」であり、主者市民が、NPOや営利企業や行政をコントロールして公共サービスを提供することが「新しい公共」概念であると考えます。
3、 そして、そこにおける行政、官の無謬性というんでしょうか、お役所意識、その克服無しに「新しい公共」概念は本当のものになりません。端的な例が外郭団体と静岡市との関係や不適正経理における対処の問題です。不適正経理については請願も出されています。国からの補助金だから使い切るその意識が不適正経理を生み出したとして、「組織の責任ろん」を展開しています。静岡新聞によればカッコつき「犯罪」に対して、昨年から1年以上も経過しているのに、トップの処分もなされず、再発防止のコンプライアンスシステム構築できていないことは由々しき事態です。12月での最終決着には、そのことを明確にすべきであります。
「3」 第31号、第37号、第61号 国民健康保険事業
第31号部分、第37号、第61号は国民健康保険事業に関わる議案で、医療費の増大にともなう赤字を2年に一度国民健康保険運営協議会への諮問、答申に伴う料率改訂と限度額の引き上げるというものであります。
自営業者や低所得者、高齢者からの値上げ反対、現状維持を求める陳情者、請願者に共感する点、低所得者を配慮した料率改訂でも、また300万以上、700万以下の収入世帯でも10%以上滞納があり、今回の改訂が更に滞納率を高め悪循環に陥る懸念がある点、そうした中で、一般会計繰入金10億円にプラスして3億9000万余の繰り入れが可能ではなかったかという点、で反対であります。
「4」 次に、第74号です。
この議案は1980年代に、時間外労働賃金が支払われない教員に優秀な人材をと制定された人材確保法の義務教育特別手当の削減に関するものです。2007年に40年ぶりに教員の勤務実態調査が行われ、月に80時間を越える勤務実態が明らかになりました。既に小泉政権下での骨太の改革で、特別手当は、80年当初の7,42%から2005年までに2,76%に縮小、これまでの継続的削減と今回で1,41%にまで縮小します。1時間辺りの賃金は、一般公務員より低くなると指摘されています。静岡県が35人学級方針を明確にしている中、政令市静岡市の教育基本計画実現のためにも、教員の人材確保は依然として重要であり、この切り下げに反対致します。
「5」 次に意見要望3点を述べます。
1、 先ず第1点。市長は経営方針の安心安全の都市(まち)づくりをあげました。この予算において子ども手当、生活保護費増などではじめて民生費予算が土木費予算を上回りました。市長の全国初の待機児童センターなど子ども施策など独自施策と結びつけて「静岡市が日本一住みやすい」街に展開する総合体系をつくり上げてほしい点です。
例えば、2次総の8つの潮流の一番に人口減少社会が挙げられ、「人口減少を前提にした社会システムへの転換」が語られています。しかし、静岡市の人口減少率は政令市の中でも、県内でも、社会動態、自然動態、いずれも極めて高い現状を一般的「人口減少化」趨勢論で片付けていいかであります。合計特殊出生率の数字を追ってみると、2003年において、全国平均1,29、静岡県平均は1,37、ところが静岡市1,25、全国平均、静岡県平均より低い。5年経過した2008年はどうか。全国1,37、静岡県1,44、静岡市1,32、やはり、全国平均、静岡県平均より低いという実態です。この5年間に政令市静岡市で子ども産みたい、育てたい若い世代が全国や県内自治体に比して増えていない、県内では長泉町の2007年度の数値ですが合計特殊出生率1,78です。
安心・安全の都市(まち)に引き寄せるなら防災計画に、東海大地震ある中での浜岡原発を対処にした原発震災対策を盛り込むべきであり、医療においては、病院経営議論が始まりますが、公営企業法の全部適用を軸に検討して安心医療の提供に努めていただきたい。
2、 2点目。市長は、経営方針において、新たな成長産業の創出を掲げました。中で「循環型社会対応新産業」をあげていますが、 地球温暖化計画を策定に向けて、この後の追加予算で「緑の分権改革」調査議案出ております。新政権は地球温暖化法で、排出権取引制度の不徹底、原発の推進を明確化しましたが、その方向性は容認できません。静岡市の100%削減掲げた環境都市プランを思い起こし温暖化対策基本計画の進化やゴミゼロウエイストにおける拡大生産者責任による生産、流通、消費のしくみを根本的に変え、農林水産業を基軸にした新たな産業育成を要望しておきたい。
3、 3点目。市長は経営方針に「国と地方の枠組み変化への対応」をかかげました。今年度、仮称・静岡市地域主権計画を策定するとのことです。
第1に、分権とは国から権限をもらうのではなく、市民主権の下、一番身近な地方政府がやれることをまずやり、地方政府ができないことは県や国に渡すという基本視点を明確にしてもらいたい。
第2に、一つ具体例、静岡市に源流と海岸まで流れる一級河川安部川の管理権を国から奪い取り、美しい森やおいしい水視点の静岡市のまちづくりの機軸にすえていただきたい。これは人材、財源、国・県との闘い、並大抵のことではありません。
第3に、分権改革の前提は、情報公開であります。静岡市は政令市中、情報公開は一番といわれているようですが、予算編成過程の情報公開は極めて不熱心さをみると、とてもそのことは実感できません。財政難の時代に、先ほどの国保事業においても保健福祉子供局が第1次要求で国保料の改定しないですむ予算要求をしたとのことですが、それがどのような査定を経て認められなかったのか、など明らかになることは、市民の料率改訂、限度額の値上げへの対応が変わる可能性すらあります。また、戦略的広報プランも公表されましたが、記者クラブの一般記者への開放など大胆な情報公開姿勢を示していただきたい。あわせて、今年度は、国勢調査の年で少しずつ改善されていますが個人情報の取り扱いへの配慮、住民基本台帳ネットワークシステムが本当に市民生活に便利さをもたらしているのか、費用対効果に関する検証、また税制改革の中で住民基本台帳ネットワークシステムが国民葬背番号制として検討対象となっていることへの批判的姿勢を示していただきたい。
第4にこれが最後になりますが、分権改革の基礎は、二元代表制の議会の本来の役割を取り戻すことなくして実現できません。一例を挙げれば、議会の権限を強める、例えば常任委員会は、現在のような議案に関わるということでなく、議題外質疑を越えて所管に関わる事項全ての調査にすべきであります。これは市長へというわけでなく議会の皆さんへの訴えでありますが、議会改革こそ、分権論の基礎をなすことを最後に訴えて討論を終わります。