大井川の命の水と南アルプスの自然を守る〜リニア中央新幹線政府交渉!
4月26日、2年ぶりにJR東海と静岡県「水資源・地質構造専門部会」の会合!
これらを踏まえ、6月2日(木)10時〜12時、衆議院第一会館 第四会議室です!
国土交通省有識者会議で中間報告書が出され、先月4月26日、2年ぶりにJR東海と静岡県環境保全会議「水資源・地質構造専門部会」の会合がもたれました。
大井川の水と南アルプスの自然に関心を持つ私たち市民・住民団体にとって、新たなステージが始まったと認識しています。
そこで、南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡と大井川の水を守る62万人運動を推進する会の2団体で、国交省と環境省に質問書を送付しました。
回答は6月2日に文書と直接ご説明を衆議院会館で頂く事になりました。
(1) 国土交通省によるJR東海への指導を目的とした、国土交通省主催による「リニア中央新幹線静岡工区有識者会議(以下、「国交省有識者会議」という)」に関して、2020年4月に静岡県が求め、合意事項となった以下5項目について、1年8カ月にわたる国交省有識者会議を経て、その合意事項が具体的にどのようなエビデンスをもって順守されたかについて、見解を伺う。特に、「①会議は透、明であること」に関して、第1回はオブザーバーと報道関係者への限定web配信で始まった。静岡県から度重なる全面公開の要請があり、第2回から大井川の利水団体を、第5回目から流域自治体議員がweb公開先に加わった。しかしながら、静岡県が求める全面公開にほど遠く、関心のある8市2町の流域住民さえweb視聴できていない。水問題に関しては、先日、中間報告が公表されたが、以降の水問題に関する有識者会議、また、今後想定される生物多様性や残土処理に関して、国土交通省や環境省が関与する可能性がある会議について、どのように透明性を確保される予定か、見解を伺う。
(※)①会議は透明であること ②議題は、引き続き対話を要する47項目全てとすること ③会議の目的は、国土交通省によるJR東海への指導とすること ④委員選定は、中立公正を旨とすること ⑤会議の長は、中立性を確認できる者とすること
2. 4月26日JR東海から提案のあったA案について
従来も提案されてきたものであるが、以下の点について回答を求める。
(1) JR東海は、先進坑貫通までの、山梨県側への流失水量を、JR東海モデルに基づき300万㎥としている(静岡市の試算は500万㎥)。算出の根拠となる透水係数によって、水量の変化があることは当然であるが、透水係数を、直接のボーリングデータでなく、別の場所のデータをもとに算出しているが、どのように考えるか、見解を伺う。
(2) 静岡県専門部会委員から、先進坑を貫通させる地質における透水係数は、10のマイナス6乗でなく、10のマイナス2乗のレベルである可能性が高い、と指摘され、その場合に流失水量は膨大となるとのことであるが、どのように考えるか、見解を伺う。
(3) その背景に、南アルプスの褶曲構造の地質において、断層破砕帯における高圧の被圧地下水の存在を軽視、あるいは、無視しているJR東海の姿勢がある。4月26日に資料4 地質調査資料において、被圧地下水を超高圧大量湧水という言葉で表現しながら、静岡県側に多数の場所での存在を明示している。この超高圧大量湧水が、静岡・山梨県境に存在することも十分に予測できるが、その場合に、現在想定する釜場等で対応できると考えているのか、見解を伺う。
(4) 資料1 大井川水資源利用への影響の回避・提言に向けた取り組み において大井川流域の現状を水循環の概要図として整理しているが、地下水移動量を過小評価している。JR東海は大井川上流域における降雨量を、4200mm/年(2008年~16年)として推定しているが、木賊付近の降水量は2700mm/年であり、1500mm/年の差異がある。この差異は被圧地下水からの大井川への供給水量として考えるべきではないのか、見解を伺う。
(5) 南アルプストンネル工事からの湧水の「全量戻し」は国土交通省有識者会議の中間報告でも共通認識として確認されている。この全量とは、トンネル工事において、先進坑、本坑、斜坑、導水路トンネル工事において、工事着手からの全ての湧水と理解していいのか、見解を伺う。
3. 4月26日JR東海から提案のあったB案について
(1) 東京電力の発電のための田代ダム水利権を、国土交通省の許認可権となる水利権の議論なく民間同士の議論で目的外の「また貸し」ができるのか、この案について国土交通省は事前相談を受けていたのか、どのような対応をしてきたのか、全国にこのような事例は存在するのか、明らかにされたい。
(2) 川勝平太静岡県知事は、5月25日定例記者会見で、今回のJR東海のB案は「全量戻しの代替案にならない」と述べているが、どのように考えるか。渇水期に維持流量を確保しながらJR東海に「また貸し」する流量をどれくらいと想定しているのか、見解を伺う。
4. 4月26日静岡県提出の路線決定と地質調査の経緯について
(1) 静岡県が示した資料において南アルプスルート選択の理由に、巨摩山地の高圧湧水の発生のおそれがあり、これの回避が挙げられていたことが示されている。一方で、JR東海の資料4 地質調査資料において、静岡県内区間において「超高圧大量湧水が発生する可能性が高い」とする場所が何か所もあることが示された。こうした経緯の中で、南アルプスルートでの工事の課題をどのように考えているのか。南アルプスルートの変更についてどのように考えるか、見解を伺う。
(2) 川勝静岡県知事は4月26日の資料を見て、「巨摩山地より南アルプスの方が危ない。回避する結論になるのが当たり前」と発言しているが、どう考えるか、見解を伺う。
(3) 静岡県とJR東海との協議において南アルプスルートが変更となる場合、行政的にはどのような手続きが必要となるか、見解を伺う。
(1) 静岡市はたびたび大井川上流域の生態系について「全量戻し」が実現しても生態系のへの影響は残るとして、環境影響評価で市長意見を提出している。JR東海の事務調査報告書に対する市長意見において、河川流量の減少に伴い、生態系ピラミッドの下層を構成する水生昆虫の減少が予測され、生態系ピラミッド全体が小さくなる可能性があるため、トンネル湧水全量を原水地付近に戻すこと、つまり導水管トンネルにより椹島から中下流域に水が戻されたとしても、上流域の生態系は破壊されることに対し、懸念を表明してきた。 現在のところ、JR東海からこの市長意見を受けての対応方針が明確に示されていない。今回示された地質調査資料により、超高圧大量湧水の存在が明らかとなり、突発湧水が発生した時生態系を維持することができないことが明確となった。環境省はこの新たな情報提供を受けて、どのように対応していくのか、見解を伺う。
(1) 国立公園指定拡大に対する環境省の見解と戦略について、伺う。
(2) 南アルプスにおける国立公園の指定拡大範囲は、南部域の核心的な価値を守るために、大井川最上流部水系(支谷)の保全が絶対的条件になるが、具体的には、少なくとも沼平(畑薙第一ダム)より上流域全てを南アルプス国立公園範囲として申請すべきではないのか、環境省の見解を伺う。
(3) そもそも、南部域中枢である大井川最上流愚の山と谷24,430haを営利目的とした一企業(特殊東海製紙株式会社)が所有し、これを放置してきたこと自体が日本の国立公園行政、環境行政の貧弱さを物語っている。たとえ、私有地であっても、全国国立公園面積の25.7%を占めているのである。南アルプスの物言わぬ生き物たちと私たちのいのちがかかっている。この私有地の取り扱いについてはどのように認識しているのか、見解を伺う。
(1) 国連人権理事会、安全で健康的な環境を人権と認める決議で、日本は棄権をしている。日)本が棄権した理由について、(※)毎日新聞の記事によると、外務省人権人道課は「環境権という概念が国際人権法上、確立した権利として認められていない」、「決議案に盛り込まれた権利は極めて広範な内容を含み、意味が明確でない」、「日本として、ふわふわとした段階にある権利を認める方向にかじを切るまでには至っていない」と説明している。環境省はこの棄権についてどう考えるか。日本でも法制化を進めるべきではないのか、見解を伺う。
(2) 環境省は南アルプスの人権問題として取り扱う考えはないのか、見解を伺う。
(※)清潔な環境は「基本的人権」との国連決議 日本はなぜ棄権したのか(毎日新聞 2021年10月12日)