イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「開高健 生誕80年記念総特集 今よみがえる巨人の全貌」読了

2010年05月23日 | Weblog
「KAWADE夢ムック~ 開高健 生誕80年記念総特集 今よみがえる巨人の全貌~」読了
開高健はよく、noblesse obligeという言葉を使っていた。作家がよく通っていたバーにはいつも決まって座る席があって、その席には記念にこの言葉のプレートが埋め込まれているそうだ。僕もいつかは訪ねたいと思いつつ、かばんの中にずっと地図を忍ばせているのだが、まずはそんなところにいけるだけの人間性がないと入り口の扉を開けてはくれないだろう。
「高貴なる義務」という意味だが、開高健は社会に対してどんな義務を自分に課していたのだろうか。40代前半まではベトナム戦争やナチス軍人の裁判や日本の社会問題っぽいことを追いかけていたがやっぱり石原慎太郎みたいに政治家になってその義務を果たそうとしていたのだろうか。
その後は釣りとグルメの著作が多くなってくるようだが、釣りを覚えると一生幸せになれるので、そんな義務なんか吹っ飛んでしまったのだろうか。それとも、noblesse obligeという言葉をたびたび書いていたのは、釣りとグルメばかりで自分が義務を果たせないということに対する苛立ちだったのだろうか。
晩年は長良川の河口堰反対の活動をしたりしていたようだが、これも義務を果たそうとした動きだったのだろうか。
僕にしてみれば、人の生き方というか、男の生き方の方向を示してくれているだけで義務を果たしてくれていると思うのだが・・・。

対して、僕の義務はいったい何なのだろうか。会社に対しては利益を上げることに貢献しなければならないそうで、僕のいる会社には行動指針として、「OOグループの発展とブランド価値の向上に貢献します。」というものや、「企業の使命として利益の確保に努めます。」なんという言葉が踊っている。
よく、起業家精神とか経営者の感覚を持てなどという人がいるが、起業家にも経営者にもなれないし、なりたくもないからサラリーマンをやっているわけで、大きなお世話だ。家族に対しては幸せと安全を守る義務があるのだろうが、やっぱり覚えてしまったのが魚釣りで、そのおかげで僕自信は一生幸せでいられるわけで、ほかの事は知ったこっちゃないというのが本音のところだ。
家族の幸せはピザを作るぐらいで我慢しておいてほしいものだ。
コメント
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