袖岡徹 「孫市、信長を撃つ」読了
「不滅のヒーロー 仮面ライダー伝説」という本は、図書館の郷土資料という書架に並んでいた。この本の著者は和歌山市の出身だそうだ。そしてこの本を探している途中で、「孫市、信長を撃つ」という本を見つけた。
雑賀孫市やその一族は一地方の武将とも言えない豪族としてはけっこう主人公として取り上げられているのではないだろうか。時代小説なんてほとんど読まないのでこんな奇想天外な設定といのがほかにもあるのかどうかわからないけれども、雑賀一族はいつも奇想天外な運命に翻弄されている。
今回は、織田信長を殺したのは雑賀孫市という設定である。それも2回も殺すことになっているのだ。(2回目は実質的には命は奪っていないが。)
ということは、本能寺の変で死んだ信長は替え玉であったということである。
本当の信長は朝倉家の討伐に向かう途中、浅井長政の軍に挟撃されそうになった時、その危機から逃げる途中に孫市に撃たれその傷が元で命を落とす。
そのあと、替え玉になった男は、秀吉が墨俣で戦った土豪の棟梁であった。顔があまりにも似ているというので竹中半兵衛が匿っていたものだ。最初はそれを知る周りの武将の言うことに従っていたが、次第に土豪としての暴虐ぶりを発揮し始める。
孫市は墨俣でその土豪と対峙しており、銃口を口の中に突っ込むというところまで追いつめていた。
一向宗の信者のなで斬りや比叡山の焼き討ちなどは替え玉の残虐さがさせたものであったというのである。
それを憂いた秀吉を除く側近が替え玉の信長を排除しようとしたのが本能寺の変であったというのである。
門徒宗に執拗な迫害をおこなった信長に対して、あの時に撃ちもらした孫市にとっては忸怩たる思いがあった。
それが、今の信長は替え玉であったということを知った孫市をたきつけたのは黒田官兵衛であった。明智光秀に謀反を促したのは自身も日本の支配者になるという野望を抱いていた官兵衛にアドヴァイスを受けた孫市であったのだ。
本能寺の変を生き延びた信長を襲ったのは瀬田の唐橋で待ち伏せていた孫市で、火薬入れに入った火薬で顔を焼き生きながら放免した。
そんなお話である。
おまけは、その後、孫市は姿をくらまし、再びその姿を現すのは秀吉の朝鮮出兵である。朝鮮軍の「沙也加」と呼ばれた将軍はその孫市であるというのは神坂次郎の小説の結末と同じである。
しかし、「講釈師見てきたような嘘を言い。」というが、歴史の事実の各断片の間をうまくつなげてこんなにも奇想天外な物語を作ったものだと思う。
信長軍随一の忠臣であった佐久間盛や林秀貞が粛清されたのは信長が替え玉であると知っていたからである、とか、それを知った嫡男の信忠が征夷大将軍の推挙を受け、信長の影響力を排除しようとしたとか、それを知った信長が明智光秀に信忠を討つようにそそのかし、それが信長に対する謀反につながったというような想像を史実とうまく整合性を持たせて物語を創り上げるというのはたいしたものだというしかない。いやいや、きっとこの物語は真実であるに違いないとも思ってしまうのは僕の勝手である・・。
思えば、昨日、船底塗装をしていた場所は孫市の拠点のひとつであった。当時、この場所は海であったはずだが、それでも孫市はこの場所を行ったり来たりしていたに違いない。
ここから各地へ傭兵として向かっていったと思うと人生を醒めきりながら過ごしている自分にもわずかながら奮い立つ意識を目覚めさせてくれるのである。
「不滅のヒーロー 仮面ライダー伝説」という本は、図書館の郷土資料という書架に並んでいた。この本の著者は和歌山市の出身だそうだ。そしてこの本を探している途中で、「孫市、信長を撃つ」という本を見つけた。
雑賀孫市やその一族は一地方の武将とも言えない豪族としてはけっこう主人公として取り上げられているのではないだろうか。時代小説なんてほとんど読まないのでこんな奇想天外な設定といのがほかにもあるのかどうかわからないけれども、雑賀一族はいつも奇想天外な運命に翻弄されている。
今回は、織田信長を殺したのは雑賀孫市という設定である。それも2回も殺すことになっているのだ。(2回目は実質的には命は奪っていないが。)
ということは、本能寺の変で死んだ信長は替え玉であったということである。
本当の信長は朝倉家の討伐に向かう途中、浅井長政の軍に挟撃されそうになった時、その危機から逃げる途中に孫市に撃たれその傷が元で命を落とす。
そのあと、替え玉になった男は、秀吉が墨俣で戦った土豪の棟梁であった。顔があまりにも似ているというので竹中半兵衛が匿っていたものだ。最初はそれを知る周りの武将の言うことに従っていたが、次第に土豪としての暴虐ぶりを発揮し始める。
孫市は墨俣でその土豪と対峙しており、銃口を口の中に突っ込むというところまで追いつめていた。
一向宗の信者のなで斬りや比叡山の焼き討ちなどは替え玉の残虐さがさせたものであったというのである。
それを憂いた秀吉を除く側近が替え玉の信長を排除しようとしたのが本能寺の変であったというのである。
門徒宗に執拗な迫害をおこなった信長に対して、あの時に撃ちもらした孫市にとっては忸怩たる思いがあった。
それが、今の信長は替え玉であったということを知った孫市をたきつけたのは黒田官兵衛であった。明智光秀に謀反を促したのは自身も日本の支配者になるという野望を抱いていた官兵衛にアドヴァイスを受けた孫市であったのだ。
本能寺の変を生き延びた信長を襲ったのは瀬田の唐橋で待ち伏せていた孫市で、火薬入れに入った火薬で顔を焼き生きながら放免した。
そんなお話である。
おまけは、その後、孫市は姿をくらまし、再びその姿を現すのは秀吉の朝鮮出兵である。朝鮮軍の「沙也加」と呼ばれた将軍はその孫市であるというのは神坂次郎の小説の結末と同じである。
しかし、「講釈師見てきたような嘘を言い。」というが、歴史の事実の各断片の間をうまくつなげてこんなにも奇想天外な物語を作ったものだと思う。
信長軍随一の忠臣であった佐久間盛や林秀貞が粛清されたのは信長が替え玉であると知っていたからである、とか、それを知った嫡男の信忠が征夷大将軍の推挙を受け、信長の影響力を排除しようとしたとか、それを知った信長が明智光秀に信忠を討つようにそそのかし、それが信長に対する謀反につながったというような想像を史実とうまく整合性を持たせて物語を創り上げるというのはたいしたものだというしかない。いやいや、きっとこの物語は真実であるに違いないとも思ってしまうのは僕の勝手である・・。
思えば、昨日、船底塗装をしていた場所は孫市の拠点のひとつであった。当時、この場所は海であったはずだが、それでも孫市はこの場所を行ったり来たりしていたに違いない。
ここから各地へ傭兵として向かっていったと思うと人生を醒めきりながら過ごしている自分にもわずかながら奮い立つ意識を目覚めさせてくれるのである。