イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

加太沖釣行

2020年10月16日 | 2020釣り
場所:加太沖
条件:大潮 5:33満潮
潮流:6:30 上り 2.2ノット最強 9:48転流
釣果:真鯛2匹

今朝は早朝からちからさんに船を下してもらってその足で加太まで行ってきた。

朝はグッと冷え込んで寒さを感じる。空には雲が垂れ込め、昨日から一気に季節が進んだ感じだ。



塗りたての船は快調そのもの。



スクリューのフジツボはたまに掻き落としていたのでそれほど速度は落ちていないと思っていたが、それは徐々に速度が落ちていくので感覚がマヒしているからであって、塗りたてで走ると体感的にも全く違うことに驚いてしまう。
スロットルを開けた途端に船体が浮き上がる感覚がうれしい。

和歌浦漁港から田倉崎の沖に到達するまで30分ほどしかかからなかった。体感的だけでなく、実速も早くなっていることは間違いない。


午前7時からの釣り始めで、少しづつ潮が緩くなっていく時刻だ。四国沖ポイントからスタート。



アタリは間もなく出た。1発目はすぐに口を離したが2回目はきっちり鉤に乗った。
40センチを少し超えたくらいだろうか。ちょうど食べ頃だ。
3回目もうまく鉤に乗った。

少しずつ潮が緩くなってきたので北上を開始。しかし、これがミスだったかもしれない。
上に上れば上るほど潮は流れなくなり、大量のスラッジが漂っている。もちろんアタリはない。少しでも水がきれいで流れがあるところはないかと友ヶ島の南側全域をウロウロしたがどこも同じで、午前9時を回ると北風に流されて船は南の方向に流れる。
これでは全く釣れないであろうとその時点で終了。

2時間足らずの釣りであったがまあ、試運転としては上々だろう。
燃費もよくなって、今日はおそらく15リットルも使っていない。
当分はいい感じで乗れるのだろうと思う。

今日の新兵器は100均のゴミ箱兼用チリトというもの。



隣に係留しているNさんのおすすめなのだが、生け簀に残った海水を汲みあげるために使う。今まではバケツで汲みだしたあと、お風呂の湯浴び用の杓に長い柄を付けたもの(この柄は父親が作ったものをいまだに使っている。)
でできるだけ汲みだしてあとはタオルに海水を含ませて残りを絞りだしていたのだが、これを使うとほぼすべての海水が汲み出せた。驚異的な速度で作業ができる。
船速も上がったが、汲み上げ速度も上がったのだ。

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船底塗装

2020年10月15日 | Weblog
今日は大きい方の船の船底塗装だ。
いつもとおり、このブログにコメントを寄せてくれるちからさんの手を借りての上架からスタート。
上架をするのにいいタイミングというのは、大潮で満潮のときなのだが、今朝の星空は極薄の新月に向かいつつある三日月と金星のランデブーがきれいだ。

 

そして和歌浦の漁港に入港する前に見える名草山の山影もきれいだ。



午前6時に待ち合わせをしてもらって上架を始める。一番緊張するときだ。台車から突き出た鋼管に船を添わせてスロープを上っていくのであるが、ちょっと風があるとその作業がうまくいかない。そしていつも焦っている。
ちからさんからはいつも、「焦らんでもおちついてやったらいいからね~。」と言われるのだがこれがなかなか難しい。しかし、今日は風が穏やかだったこともあるけれども、一発で位置決めをすることができた。

上架を済ませると一気に作業をし始めるのだが、予想していたよりもえらくカキが付いている。船速は落ちたとは言えそこそこ速度が出ていたのでこれほどまでとは思っていなかった。特に金属部分がすごい。

 

1年に2回上架をするようになってからでは一番の付き具合ではないだろうか・・。こうなってくると掻き落とす作業が大変だ。力もいるし腰も痛くなる。

しかし、今日は気温がグッと下がり風も吹いてきたので快適な環境の中で作業を進めることができた。
途中、菊新丸さんからコーヒーを差し入れてもらって一服しながらシャフトのパッキンの交換までを終えたのが午後1時。
まずまず順調に作業は進んだというところだろか。

これでまた速度が戻ってくるはずだ。
あとはずっと続いている負のスパイラルが消えてなくなってくれないだろうかと考えているのだが・・。
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「竹島水族館ドタバタ復活記」読了

2020年10月12日 | 2020読書
小林龍二 「竹島水族館ドタバタ復活記」読了

竹島水族館というのは、領有権を争っているところにある水族館ではなくて、愛知県蒲郡市にある公営の水族館だ。建物は1962年(昭和37年)建築と古く、日本で4番目に小さな水族館ということだ。深海生物の展示が特色となっているらしい。

この本は、地方の寂れた水族館が来館者を倍増させてみごと復活するというお話だ。その中心にいたのが、現館長の著者というわけである。

著者がこの水族館に就職したとき、来館者数のピークはとうに過ぎ去り寂しい限りの状況で、廃館か指定管理業者に経営を委託するかというところまできていた。
著者は何とかしなければと思うのだけれども周りの人は半分公務員という身分のせいか現状から何の行動も起こそうとしない。
回りから浮いていた著者は後に副館長となる館員とともに行動を起こす。
指定管理業者になるために自分たちで法人を立ち上げ、最初におこなった行動はタッチングプールを作ることだった。この水族館の強みは深海生物の展示だということでそのプール(さわりんプールという)にタカアシガニを入れたことが復活の足掛かりになった。
その後も手書きの解説を水槽に貼り付けたり、カピバラを飼育して適当に曲芸をやらせたりして入場者を増やしてゆく。
その後も地元の会社と協力して奇抜な土産物を開発したり深海魚をテーマにしたイベントをおこなうなど、ついに平成30年には史上最高の47万5千人の入場者を達成した。

成功物語だ。

マーケティングの基本として、「強みを生かして弱みを補強する」という行動があるけれども、著者のとった行動はその基本に則った行動のように思う。
深海魚という強みを生かして、お金がないという弱みを逆手にとった戦略が功を奏したというところだろうか。
勝てば官軍でだれでもうまくいくと思えないが、著者はその秘訣を7つにまとめている。

1.熱意がすべてを支える
2.反骨精神が力の源
3.目標を具体的に持つ
4.創意工夫はカネより強い
5.基準はお客さんのため
6.人との出会いが武器になる
7.逃げ道を作る

熱意と反骨精神。ここが一番肝心なのだろう。会社の中で何か新しいことを始めるとなると必ず誰かが反対する。それにへこたれない反骨精神・・。これがなかなか体力がいる。そして、反対されるならまだしも、僕の会社ではそういうことをしようとすると無視をされる。これは反対されるよりも堪える。

僕も一応、斜陽産業ながらお客が入ってなんぼの世界にいたので、少しでも面白いことを考えて集客できたらといろいろなことを考えてきたきたけれども、ほぼすべて評価どころかいいとも悪いとも何も言われたことがなかった。まあ、“検証”という言葉のない会社だったから振り返るという習慣がないのでそれも仕方がないが、そんなことが続くとやりがいというものがなくなる。
そして、結局、当たり障りのないこと、取引先の言ってくることを忠実にやるというのが一番評価が高くなる。変わったことを考えると既存の取引先のテリトリーを侵すことになるから取引先からの評判が悪くなりそれが上司からの悪い評価になる。そんな流れだ。
それにもへこたれない反骨精神・・。ぼくにはそんな体力がなかったし、もともファッションビジネスなどというものに興味がなかったのかもしれない。

サラリーマン生活もほぼ終わりに近づいてきたとき、自分の強みや精神力というようなものを消去法で振り返ってみると、あれ・・、何も残らないことに気付いた。
さっきはいろいろな悪態をついたけれども結局自分にできることなどなかったのだ。悲しいけれども・・。
だから今の境遇に甘んじなければならないのかと思い立った。

著者はこんなことも書いている。『自分が人のためにやったことで自分以外の人が楽しめて幸せになり、それにより自分も幸せになれるということは最高です。』確かに、自分に野望がなくても何か人のためになることをやりたい。
第2の人生でそんなことを見つけることができるだろうか・・。それとも僕みたいな性格の人間には“やりがい”というものは最後まで見つけられないのだろうか・・。

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「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」読了

2020年10月07日 | 2020読書
劉 慈欣/著 大森 望、立原 透耶、上原 かおり、泊 功/訳 「三体Ⅱ 黒暗森林(上)」読了

「三体」の続編だ。第Ⅱ部は上下巻に分かれている。

ケンタウルス座α星系に住む“三体文明人”は自らの星系の寿命が尽きようとしているとき、地球から発射されたメッセージを受け取った彼らは地球を侵略して移住しようと考える。三体文明人が放った陽子サイズのスーパーコンピューター「智子」を通して地球人が得た情報は、彼らは光速の10%の速度を持つ1000隻余りの宇宙艦隊を派遣しそれは450年後に地球に到達するという。(光速の10%の速度なら40年で到達できそうなものだが、加速と減速を要するので450年かかるという設定になっている。)
地球よりもはるかに進んだ文明の侵略者の前に地球人は一時絶望する。

というのが第Ⅰ部のあらすじだ。

第Ⅱ部は主人公も変わり、天文学者から社会学者に転じた若い学者である。
450年後の危機を前に、国連は、安全保障理事会を元に国連惑星防衛理事会という組織を立ち上げた。陽子サイズの「智子」は、どこへでも移動し、地球上のすべてのコミュニケーションを傍受できる。また、陽子サイズであるがゆえ、地球圏でおこなわれる各種の物理実験、これは三体文明に対抗するための新たなテクノロジーを開発するために必要なのであるが、その実験に干渉し正しい実験結果を出させないようにできる。そのことが地球人のテクノロジーの開発の足かせになる。
また、量子フォーメーションのゆらぎを利用したリアルタイム通信を続けている地球三体協会(この組織は三体文明を主と崇め、一枚岩とは言えないが、地球は三体文明によって滅ぼされるべきだと考えている。)から、三体文明人は個々のコミュニケーションはテレパシーのようなものでおこなわれ、お互い隠し事ができない。よって、地球人に理解できる“欺瞞”という概念が理解できない。また、地球上のすべてのコミュニケーションを傍受できる「智子」でも、人の心の中で考えることを知ることができない。という情報を得る。
それを受けて、「面壁計画」というものを立案する。これは、三体文明に打ち勝つため、4人の面壁者を選出し、それぞれの面壁者がひとりで頭の中で作戦を練るというものだ。
そうすることで「智子」に知られることなく、すなわち三体文明に知られることなく打倒策を練ることができるのだ。しかし、使えるテクノロジーは現代のテクノロジーの延長でしかない。また、面壁者の存在を知った三体文明人は地球三体協会を使い面壁者の作戦を暴くため破壁人を送り込む。そのうちのひとりは破壁人に作戦を暴かれ自殺してしまう。ふたりは自分が立てた作戦に必要なテクノロジーが出来上がるまで人工冬眠に入り、最後のひとり、この物語の主人公であるが、最初、他の3名と異なり、社会的な地位も名誉もない自分が選ばれたことに戸惑い義務を放棄しようとする。しかし、自分が心の中に作り上げた理想の女性とうり二つの女性が現れその女性が主人公に未来を託すと言葉を残して失踪したことで考えを改める。
他の3名とはまったく異なるアプローチで50光年先にある星系に三体世界へメッセージを送った同じ方法で謎めいた呪文を送るよう指示する。その直後、個人の特定の遺伝子を標的にしたウィルスに冒され昏睡状態に陥る。そして、死を目前にして国連惑星防衛理事会によって人工冬眠状態に処置される。未来の医学の進歩に賭けて。
何かの答えが出るのは早くても100年後だ。しかし、彼がそのときに生きていないとその呪文の意味は解かれない。

そしてもうひとりの主人公である中国軍人は創設された宇宙軍に入隊する。
中国は自らの力で宇宙艦隊を組織し、三体危機に対峙しようとしている。艦隊の建造にあたり、高性能で航続距離の長い戦艦を建造するため反対する科学者を暗殺する。そして志を同じくする将校たちを人工冬眠させ未来へとたくす・・。

というのがかなりネタバレだがあらすじである。

しかし、異星人が襲来したり異常気象に立ち向かうのはもっぱらアメリカ合衆国であったが、この小説ではそれが中国になっている。米中の軋轢というのが話題になっているけれどもおそらくこの小説のようにそれほど遠くない時代には中国が世界をリードしているに違いないと思うのだ。テクノロジーを発達させるためには独裁というのは好都合に違いない。誰にも反対されずに危険な実験もできるし、人の命も惜しまない。リソースも使い放題だ。
時代は変わってしまった感がある。
しかし、宇宙人がやってきてそれを撃退したとしても何の利益もないとなるとそれもどうなるか。まあ、勝ち抜けたときには本当に世界の覇権を握れるという利得のために中国は頑張ってくれるのだろうか。

次の1冊が楽しみだ。

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加太沖釣行

2020年10月04日 | 2020釣り
場所:加太沖
条件:中潮 7:24干潮 13:19満潮
潮流:8:16 上り2.5ノット最強 11:46転流
釣果:真鯛 3匹(画像のうちの3匹が僕の釣果。)

加太へ真鯛を釣りに行っても最近は全然釣ることができない。このところも2回連続ボウズだ。SNSのグループの書き込みでメンバーである、このブログにもコメント書き込んでくれるちからさんと、隣に船を係留しているNさんが加太へ行くということを知った。僕もその日は休日だったので、一緒に乗せていってくれませんかとお願いした。
Nさんは僕より歳下でおそらく船の釣りの経験も僕より浅いはずだが僕よりはるかにたくさんの釣果を上げている。最澄も歳下の空海に密教の教えを請うたように僕も彼に鯛釣りの神髄の教えを請わなければと考えた。

潮流は上りから潮止まりへという、僕が好きなパターンの潮回りだ。Nさんはどんなポイント選びをするか、それを勉強させてもらいたい。



午前6時に出港。
朝いちばんは四国沖のポイントだ。僕なら一直線でテッパンポイントを目指すところだが、早朝の上り潮だとここがいいそうだ。
その通りで、早速Nさんにアタリ。大きなヘダイだ。流石だ。そしてすぐにちからさんにもアタリ。きっちり真鯛をし止めた。流石だ。そして僕には・・。
使っているラバーは同じシマノのイカタコカーリーなのだが、二人は鉤にトレーラーというものを追加しているそうだ。
釣り番組なんかでそういうものがあるのを知っていたけれども、まあ、そういうものは釣り具メーカーが釣り人を釣り上げるためのもので釣果に対してはどれほどの効果があるのかと鼻にもかけていなかったが、目の前で釣られるとやはり気になる。
Nさんに、僕にそのトレーラーをめぐんでもらえないでしょうかとお願いし、いくつか分けてもらった。このトレーラー、人気のあるものはほぼ釣具店の店頭には並んでいないそうだ。イカタコカーリーの小さいサイズもそうだったが、僕は完全に情報に乗り遅れている。

ぷんぷん臭い付きのトレーラーをセットして間もなく、僕にもアタリがあった。約50センチの真鯛だ。う~ん、現実を突きつけられ、僕も次の休みには釣具屋の餌食になりに行かねばならない。
その間にちからさんにも再びアタリ。そして僕にももう1匹。

潮が緩んでいくにしたがって北上。これくらいからアタリは遠のいてきたけれども、流石はNさん、そんな中でもアタリを出している。やっていることはそんなに変わっていないと思うのだが、この差はどういうところにあるのだろう。観察しているかぎり、僕の方が少し巻き上げ速度が速かったくらいだ。どこか、何かが違うのは間違いがないが、やはりわからない。

ここで力さんには大きなメジロがヒット。細いラインを使っているので慎重にやり取りをしている。船長も魚の動きにあわせて操船をしている。無事に取り込んだのは65センチある立派な魚だ。



ほぼ潮が止まる時刻、今度は帝国軍の軍港前へ移動。ここはロックオンされるのがこわくて来ることさえ考えつかない場所だ。たまにカワハギを釣るために入るくらいだった。潮止まりにはいいそうだ。
この時に、僕も青物が欲しいと考え、白いラバーに変更していた。それがよかったのか、取り込みはできなかったが僕の仕掛だけに2回連続のアタリがあった。すかざず他のふたりも白いラバーに交換すると間もなくちからさんに強烈なアタリ。またもや青物だったようだ。これは先のメジロよりもはるかに大きいサイズだったようでリーダーから切られてしまった。残念。しかし、疑似餌の色でこれだけ反応が違うというのも驚きだ。僕はひとつ付けると大概はそのままの色で通すが、これからは考えを改めなければならない。
そして、ちからさんには青物が2本ヒットしたわけだが、これも特定の人に同じ種類の魚が集中するのも何かが違うのだろうと思うのだが、それがわからない。
まあ、いろいろなことがわからないから釣りというのは面白いのだろう。

そして、Nさんはそれが船頭の使命と言わんばかりに取り込みから空気抜き、魚を〆るまで全部船頭さんがやってくれました。まさに大名釣りだ。

出港してから戻るまで、3人の会話は途絶えない。写真や動画を撮ったり、この船にはオーディオシステムが搭載されているのでそこから流れる音楽について話をしたりと楽しい時間を過ごした。ひとりで黙々と釣りをするのもいいものだが、たまにはこうやってわいわいやるのもいいと思う。
なかなか休みが合わないのでしょっちゅうというわけではないが、また乗船させてもらえればと思うのだ。

今日の釣り座は舳先の方。ウオークアラウンド式のデッキの通路にすっぽり僕のクーラーボックスが収まって船べりとフラットになることを見つけたのでそこであぐらをかいて釣りができた。そして船首部分は斜めに切り立っているのでデッキからは空中に浮いているように見える。(動画はこちら!)船が動くと水面上を飛んでいるような感覚になる。父親が生きていた頃はよく船首に陣取ってそんな感覚を味わって楽しんだものだが、そういうことも久々に味わえた。
お客になるというのはいいものなのだ。
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「新編 ワインという物語 聖書、神話、文学をワインでよむ」読了

2020年10月03日 | 2020読書
大岡玲 「新編 ワインという物語 聖書、神話、文学をワインでよむ」読了

著者は師の作品集を監修するなど、少しは身近に感じる作家だ。芥川賞作家でもある。その作家が、ワインを通して古典を解説しようとういうのがこの本だ。
1999年に出版されたものを新装して出版したものだそうだ。さすがに古典はずっと古びないということだろう。

“ワインを通して”というのだから、ヨーロッパの古典が題材に挙げられているのだが、まさしく教養というのはこういうことなのだという見本のように思える。
聖書、ギリシャ神話、アーサー王伝説、カンタベリー物語、デカメロン、ドン・キホーテが取り上げられているが、おそらく教養人と呼ばれる人ならば必ずその内容を論じることができるという古典中の古典、古典のスタンダードというのがこの一連なのだと思う。
それを真正面からではなく、ワインを通して論じようというのだからその教養に加えて食に対する造詣も必要になってくる。

美味しい食事をしながらこういった会話を楽しめるほどの知性を身につけたいと思うけれども、これがまったくダメだ。
旧約聖書やギリシャ神話についての本も何冊か読んでいるはずだが、翌日にはその記憶がなくなっている。この本の内容もこれを書いている時点ですでに大半のことを忘れてしまって思い出せない。もともと記憶力がないうえにストーリーらしいストーリーがない物語では記憶の端にもひっかからない。
アーサー王伝説の解説では、ランスロット、トリスタン、パーシヴァルなどという固有名詞はいろいろなドラマやアニメの登場人物の名前として引用されているけれども、これがこの物語の主人公たちであったというのを初めて知った。そして水軒のおいやんの雑談を「円卓会議」と称してこのブログでも紹介しているが、その元もこの物語であるというのも初めて知った。教養がないというのはこのことだ。教養人にあこがれるエピゴーネンというものだ。
だからこの本もひたすら、「ほ~!」という感じで読み続けた。

不要不急の知識といえばそれまでだけれどもこういうものを下地として備えている人というのはやっぱり普通の人とはどこかが違うという印象を持つものだ。
そういう人にあこがれる。


ワインがメインのタイトルになっているが、ほとんどはさりげなく登場するくらいである。
そこにまた知性を感じるのだ。「明晰と陶酔の相克」が文学であると著者はいうけれども、陶酔していられないほど内容は濃い。
それぞれの物語の時代、どんなワインが飲まれていて、ギリシャ時代のワインの貯蔵法はどうであったかとか、キリストが飲んだワインの酸度はどうであったかとかいうかなり凝った話題が多かった。そして物語の舞台になった地域のワインの特徴や時代を経て変わっていった製法が与えるワインの味の違いなどを想像する。
各章とセットでそんなことを実際のワインを味わいながら考察するのだが、それはそれで面白い内容であった。著者の肩ひじはらない文体や会話もそれを面白くしているように思う。

ブルガリアのワインというのが安くて美味しいそうだ。安いということに反応してしまうのだが、物価とネームバリューにおいて、フランスやイタリアのワインというのはやはり実体価値としては大きく膨らみすぎているにちがいない。
僕もスペインのワインが美味しいと思って安いのがあればつい買ってしまうけれども、今度はブルガリアのワインというものをどこかで見つけたいと思うのだ。
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紀ノ川河口釣行

2020年10月02日 | 2020釣り
場所:紀ノ川河口
条件:大潮 5:44満潮
釣果:ボウズ

夕べは中秋の名月。例年になく空は晴れ渡っていて仕事場から駅へ向かう交差点の信号待ちでもきれいに見えていた。けれども誰ひとりとして空を見上げている人はいない。やはり都会は石の墓場であると実感した。



僕のほうはというと、せっかくなのでひとつ手前の駅で下車して歩きながら名月を鑑賞した。少し性能のいいほうのコンデジを持って出ていたが月面の模様までくっきり写っていた。

 


その名月に誘われたわけではないけれども今朝も海に出てみた。次の休みも釣行を予定しているので連続になるけれども、船底塗装をした小船の試運転もしてみたいと思っていた。
西に沈みつつある月もくっきり見えている。一晩中雲一つない天気だったようだ。ちょっと見にくいがいつも通る川の川面にもくっきり月影が写っていて、



今朝は性能の悪いほうのカメラなので写りはいまいちだ・・。(明るいところでは抜群の撮影能力を発揮してくれるのだが・・。)

波のない水面を電気ウキを探査しながら進んでゆく。そして今日も東組の台船の隅っこに浮いている電気ウキを発見。そんな奥のほうまで探しに行かなくてもいいのではないかと思ったがやっぱり性だ。そして今日もジンクスは生きていた。



いつもの道具でいつものように仕掛けを流してみるけれどもまったくアタリがない。名月が映し出すムーンロードはボウズへ続く道であったようだ・・。



あっという間に朝日が昇ってきて今日は終了。



渡船屋の船頭に聞くとタチウオは昨日からぱったり釣れなくなってしまったそうだ。どうしてだろうか・・。明るい月が原因なのだろうか・・。

帰港時間が早いときはいつもの「わかやま〇しぇ」へ。そしていつものお店で買い物。

そこで一首・・。
名月に 誘われ 出てみた 夜明け前
ススキもないのに ぼうずとは・・・

(連句)
なぜだかクーラー コロッケいっぱい。



残念・・。

家に帰って港近くの漁網屋さんへ。注文していた網カゴが入荷したとのことで引き取りに行ってきた。
以前にも持っていたのだが、盗まれたり落としたり古くなったりで残りがひとつになってしまっていたので新たに注文してみた。
これから冬に向かってはカニも獲れたりする。釣れないならカゴを仕掛けて獲ってやろうという姑息な考えだが、はたしてうまくいくだろうか・・。


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