外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

酒とヤギ乳とヘルペスと

2012-12-04 23:28:47 | イタリア
問題のヤギ乳




今日、下唇にヘルペスが出来ているのに気づいた。
指で触ってみると、一箇所ぷくりん、と腫れているのだ。
胃が荒れているせいに違いない。
実際、イタリアに来て以来、胃が不吉な感じにジワジワ痛むことがよくあるのだ。

私はヘルペス持ちなので、野菜を数日食べなかったり、暴飲暴食が続いたりして胃が荒れると、すぐに唇のあたりに水泡が発生する。
これをほうっておくと水泡が大きくなったり、数が増えたりして、オソロシイ顔になってしまう。
元の状態に戻るまでにはかなりの日数がかり、その間お見合いにも合コンにも参加できない(今までの人生で、どちらもやったことないけど)。

だから私は抗ヘルペス剤(ゾビラックス軟膏)のチューブを常に持ち歩き、少しでも症状が出たら患部に塗りまくって対処してきた。
私はゾビラックスを全面的に信頼している。
ゾビラックスは凄い。
なにしろ、これを塗ってヘルペスが引っ込まなかったことがないのである。
おかげで安心して暴飲暴食できるというものだ。
ぬりぬりぬり・・・

さて、ゾビラックスを塗って一息ついたところで、胃の不調の原因を考えてみようと思う。

野菜は毎日食べているので、野菜不足は原因から除外していいだろう。
食事の量は増えたけど、間食をやめたので、「暴食」もしていないことにしよう。
すると考えられるのは「暴飲」だけである。
私が近頃「暴飲」していると考えられるのは、以下の2種類の飲料である。
(1)酒
昼食の時も夕食の時もワインを飲み、さらに食後酒としてクレーマ・ディ・リモンチーノ(レモン風味の生クリーム入りリキュール)や、ラム酒を飲んでいる。
夜は食前酒としてビールも飲む。
(2) ヤギ乳
私は朝食のときにカフェラッテを飲むが、牛乳ではなく、ヤギ乳(こちらでは普通にスーパーに売っている)を温め、そこにエスプレッソを注いで作っている。
このヤギ乳がものすごく獣臭い味がして、怪しい。
どうしてそんな代物を毎朝飲んでいるかというと、パッケージが可愛いからである。

酒とヤギ乳、どちらがヘルペスの原因かわからないので(全然別のものが原因かもしれないし)、とりあえずどちらも飲み続けることにしよう。

ああ、それにしても胃がイタイ。
早くゾビラックスが効きますように!
問題は、今使っているゾビラックスの使用期限が2006年9月なことだな・・・
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「EDISON」を個人的に追悼する

2012-12-04 00:09:32 | イタリア
閉店セール風景(全て30%引き、と看板に書いてある)




「EDISON(エディソン)」というのは、電球を発明したアメリカ人ではなくて、フィレンツェのレプッブリカ広場にあった人気書店の話である。
店内はさほど広くはなかったが、地下1階、1階、2階、そしてロフトのような最上階があるという縦長の構造で、全体的に「なんかセンスがよくて知的」な空気が濃厚にただよっていた。
アート関係の本が置かれた2階部分にはカフェもあって、飲み物(エスプレッソもビールもワインもお茶もよりどりみどり。パニーノやドルチェもある)を飲みながら売り物の本をゆっくり読めるようになっていた。
私はあまり参加したことがないが、朗読会や講演会などの催しも頻繁に行われていたようである。
要するに、現代のフィレンツェ文化の一角を担う重要な存在だったといえよう。

そのエディソン書店が去る11月末にお亡くなりになった。
インターネットの普及に伴い、高いお金を払ってわざわざ紙の本を買う人が減り続けているうえ、イタリアのこの不況である。
レプッブリカ広場周辺の建物の家賃は天文学的な金額だと聞くし、つぶれない方が不思議なくらいだ。
閉店後の店舗にはアップルのチェーン店が入る予定だが、フィレンツェ文化(ひいてはイタリア文化)の低迷を憂える人々が、この書店の救済のための署名運動を起こしており、地元の政治家も動き出したようなので、この先どうなるかはまだ不明である。

かつてよくこの書店にお世話になった人間のひとりとして、ここで私は個人的にエディソンを追悼してみたいと思う。

私にとってエディソン書店とは、「待ち合わせ場所」だった。
本を買ったことは数える程しかないが(だって本って高いんだもん)、友達との待ち合わせに利用した回数は数知れない。
そういう人は多いと思う。・・・エディソンがそのファンの多さにもかかわらず、つぶれてしまった理由はこの辺にあるのだろう。
お気の毒なことである。

エディソンが待ち合わせ場所として優れていた点は、
(1) 街の中心にある
(2) 有名なので誰でも知っている
(3) 店内の随所に座るスペースがある
(4) 本を読みながら待てるので退屈しない
(5) 2階のカフェで待ち合わせて、ゆっくり座って何か飲みながらお喋りすることもできる
などであろうか。
イタリアのバールは立ち飲みが基本で、椅子に座ると高い料金を払わなければいけないことが多いのだが、エディソンのカフェは座り料金を取らなかったので安くついた。
しかも何時間いても文句を言われないのだ。

しかし美しい花にはトゲがあると相場が決まっている。
エディソン書店は「ナンパじいさんの待機場所」でもあったのだ。しかも彼らは日本人女性専門である。
日本人女性がナンパに引っかかりやすいせいなのか、それとも優しくておしとやかだから人気があるのか(それはそのとおりだと我ながら思うけど、ふふふふふふふ)、あるいは、実は日本人専門だけではなく、中国人専門、ペルー人専門、ベネズエラ人専門などのナンパ男性も存在するのか、詳細は不明である。
とにかくエディソンのカフェで日本人の女友達とお茶をしていると、どこからともなくその手のヒトが現れて、そばに座って会話に乱入しようと試みるのだった。
これが若くて可愛い男の子なら嬉しいのだが、みんなどうみても年金受給資格を持っていそうで、しかも相当うらぶれた外見なのが残念だった。
まあ相手は老人だし、特に害があるわけでもないので、私は暇なときはある程度相手をしてあげて、電話番号を聞かれたら断るようにしていた。
しゃべるのが面倒なときは、つーんと無視したが。

エディソンが閉店してしまった今、彼らはどこに行ったのだろう。
少しだけ心配だ。

・・・あれ、私はエディソンを追悼していたはずなのに、なんでナンパじいさんの心配をしているのだろう?



最終日のイベントのひとつ、ジャズの生演奏をバックにした朗読会の風景




閉店セールで私が買った本2冊と、最終日のイベントのチラシ
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