外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

まとめ書き猫日記 猫と暮らし始めたいきさつ(2)

2013-05-22 22:46:57 | ヨルダン(猫中心)


4月某日
窓を開けて入ってくる猫を締め出す方法が見つからないので、とりあえず同居してみることにした。
今日は土曜日なので、仕事は休み(金曜と土曜が休日)。
外はしとしとと陰気な雨が降っていて、4月のヨルダンとは思えない寒さである。
私が毛布にくるまって、テレビを見たり新聞を読んだりしている間、猫はだいたいソファーで寝て過ごしていた。
時々ふいに起き上がって、外へ出て行くが、しばらくしたらまた戻ってくる。トイレに行くのであろう。
この猫は窓を開ける能力を持つが、閉めるほうは無理みたいなので、結局ずっと窓を開けている状態になり、非常に寒い。
しかも外から帰ってきたとき私の膝に座りたがるので、服が泥だらけになる、というおまけ付き。

・・・やはり私には、猫との同居は無理かもしれない。
夏場は暑いし、雨も降らないからまあいいけど、冬になっても窓を開けっ放しで暮らしたら、体の弱い私は凍え死んでしまうかもしれない。
かといって、窓を閉め切って猫を家の中に閉じこめるのは、不自然なので気が進まない。
それにトイレの問題もある。今は外で用を足してきてくれるけど、家の中で飼うことになったら、トイレ用の砂などを買う必要が出てくるだろう。
そうすると掃除の手間もかかるし、出費もかさむな・・・。
やはり明日、誰かに知恵を貸してもらって、この猫を追い出す方法を考えよう。
私がこのようなことをぐるぐる考えている間、猫は膝のうえで丸くなってうとうとしている。

4月某日
仕事が終わって帰宅したとき、大家さんの孫息子(アハマド君、アパート管理の手伝いをしている)に猫問題について相談すると、居間の窓を見に来てくれて、「この窓は衛星放送のケーブルが通っているからきちんとは閉まらないけど、網戸をギリギリまで閉めれば猫は入って来られないはずだよ」とアドバイスしてくれる。まだ子供なのに(中学生くらい)頼もしいアハマド君。男の子が欲しいなあ、と思うのはこういう時だ。しかし人間の子供の世話をするのは、猫よりももっと大変そうだ、と気づいて考え直す。

彼の助言に従って網戸を閉め、居間で猫の帰宅を待つ。
まもなく猫が窓辺にやってきて、これまでのように窓を開けて入ってこようとする。
しかし網戸が閉まっていて、びくともしない。
さすが網戸様、すごい威力だ。
今までどうしてこれを閉めようと思いつかなかったのか。さすが私、うっかり者だ。
猫は戸惑って、みゃあ~ん、みゃあ~んと騒いでいる。

猫はその後、近所迷惑なほど執拗に鳴き続けたが、私が心を石地蔵にして無視し続けたら、やがてどこかへ行ってしまった。

4月某日
今日も猫が窓辺で私を呼んでいる。
この猫のすごいところは、夜になって私が居間から寝室に引っ込んだら、そっちの窓辺に移動してきて、「みゃああみゃあああ、開けてくださいよ~」とやるところである。
知恵が回るのだ。幸い寝室の窓はきちんと閉まるので、入っては来られないが。

4月某日
今日は猫が姿を現さない。
さすがに諦めたのか。
さみしいけどこれで良かったのね、可愛い猫だからきっと他にいい飼い主が見つかったんだわ、幸せになってね、などと都合よく考えながら、居間でのんびりくつろぐ。

4月某日
3日ほど平穏な生活が続いたが、今日、またあの猫が窓辺に戻ってきて鳴き出した。
やはり、あれで終わったわけではなかったか・・・。

私は観念した。
この猫を自分の人生から追い払うのは無理らしい。
考えてみるに、猫を飼うことは長年の夢だったし、向こうから飛び込んで来てくれるなんて(よく考えれば、私が最初に誘い込んだのだが)、きっと私の運命の猫なのだろう。
とりあえず飼ってみて、上手くいかなければその時考えよう。

心を決めて網戸を開けると、猫はうにゃあん、うにゃあん、うにゃああん~!と歓喜の声を上げながら飛び込んできた。
台所でキャットフードと水を用意し、ツナ缶も開ける。
猫は非常に満足そうにツナ缶を完食してから、ソファーの上でくつろいでいる。



コメント
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