外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

ヨルダン滞在許可更新のための、イスラエルへの日帰り旅行

2013-05-25 22:23:46 | ヨルダン(猫中心)



先週の金曜日の朝、私はアンマンを出発してイスラエル国境へ向かった。

旅の目的は、ヨルダンの滞在許可の更新である。
この日がちょうどヨルダン滞在3ヶ月目だったので、いったん出国しければいけなかったのだ。

日本人がヨルダンに入国する際パスポートに押される入国スタンプが、1ヶ月有効のビザの役目を果たす(無料)。
1ヶ月後、居住地域の警察で申請書(アパートの大家さんの身分証明書番号などを記入)を提出すれば、滞在許可を2ヶ月延長できる。
3ヶ月以上滞在をする場合は、内務省に1年期限の滞在許可証(イカーマ)の申請することになるのだが、その際血液検査などに加えて、労働許可証や入学許可証、または婚姻証明等の書類を提出しなければならないのだ。
私のように必要書類を入手できない場合、3ヶ月ごとにヨルダンを出国して別の国へ行き、そのあと再入国して入国ビザを取り直す、という道を辿ることになる。

アンマンから日帰りで、安価な陸路で行ける外国はシリアとイスラエル(占領されたパレスチナ)だが、現在シリアはビザ目的で入国するどころの騒ぎではない。
というわけで、行き先は自ずとイスラエルに決まる。

ヨルダンからイスラエルへの通過ポイントは3箇所。
北から順番にシェイフ・フセインボーダー、キング・フセインボーダー(=アレンビー)、そして一番南のワーディーアラバボーダー(アカバにある)だ。
この中でアンマンから最も近いのはキング・フセインボーダーだが、あそこはパレスチナ人が西岸地区に出入りするための非公式な国境ということになっているので、出入国の際にパスポートにスタンプを押してもらえない。
出入国スタンプがなければ、ヨルダン入国ビザを取得することができないから、今回の旅の目的を果たせないことになる。
このため私はキング・フセインボーダーを避けて、その次にアンマンから近いシェイフ・フセインボーダーまで出かけることにした。
やれやれ、イスラエルのスタンプをもらうために苦労する日が来るなんて、人生何があるかわからないねえ・・・。

シェイフ・フセインボーダーへ旅するにあたって私が心がけたのは、「できる限りタクシーを使わず、乗合バス・セルビス(乗合タクシー)などの公共交通機関を利用すること」である。
タクシーを使ったほうが速くて楽なのはわかっているが、そうすると値段がバスの何倍にもなるし、第一芸がなくて面白みに欠ける気がする。
バス・セルビス路線はヨルダン国内のあらゆる地域を網羅しているはず(おそらく)なので、タクシーを使わなくてもたいていの場所に行けるはずだ。
金曜日は休日なので、普段より本数が少ないにちがいないが、朝早めに家を出たら夕方には戻って来られるだろう、と私は予測した。

シェイフ・フセインボーダーの最寄りの都市はイルビッド。
アンマンからセルビスで約1時間だ(70km)。
イルビッドからはバスを乗り継いで、シェイフ・フセインボーダーの手前まで行ける。
この国境は徒歩で通過できないので、待機しているボーダータクシーに乗り込み、ヨルダン出国管理事務所へ到着する。
ここで出国税10JDを払って、パスポートに出国スタンプをしてもらったら手続き終了。
イスラエル側行きのバスに乗り込む。

私はかつてエジプトのターバ国境からイスラエルに入国しようとして、セキュリティー・チェックで引っかかり、8時間も足止めされた経験がある。
結局は入国できたのだが、その時のトラウマがまだ残っているので、無事に入国できるか非常に不安だった。
しかし今回イスラエルのセキュリティーの係員に、
「ヨルダンの滞在許可更新のためにイスラエルに来ました。時間がないので、入国したら即座にヨルダンに戻ります!」
と宣言したら、そういう事情なら通してあげましょうと言って、比較的すんなり通してくれた。
本当にすぐ帰るんでしょうね、と何度も確認されたけどさ。

パスポートに入国スタンプを押してもらって入国ゲートを入ったら、建物から出ずに、すぐに出国手続きを行う。
銀行の窓口で高い出国税を払ったら(105シェケル=約20JD=3000円弱)、別の窓口で領収書とパスポートを提出し、出国スタンプを押してもらう。
これで出国手続き終了だ。
あとは、免税店をつっきったところにあるバス乗り場で、国境のヨルダン側行きのバスに乗り込むだけ。
ヨルダン側へ着いたら再入国手続きをして、無料の1ヶ月有効入国ビザを取得(入国スタンプのこと)。

無事に目的達成したら、免税店でお酒を買い込み(重要)、あとは帰るだけである。
またボーダータクシーに乗って国境地帯を抜け、そこからはバスを乗り継いでイルビッド経由でアンマンへ。
朝10時すぎに自宅を出て、帰ってきたのは夜8時すぎだった。
やれやれ・・・。

私が辿った道のりの概要をメモしておくので、これと同じルートでアンマンからシェイフ・フセインボーダーへ旅したい、という人(そんな人いるんかな?)は参考にしてね。

(1)アンマンの北部バスターミナル(ムジャンマア・シャマーリー)からセルビス(乗合タクシー)でイルビッドへ。約1時間、3JD。(バスに乗る場合は1.4JD、1時間半)
(2)終点のイルビッドのアンマンバスターミナル(ムジャンマア・アンマーン)でヨルダン渓谷バスターミナル(ムジャンマア・アグワール)行きのバスに乗り換え、終点で降りる。約5分、0.20JD。
(3)降りた場所から、食堂街を挟んで反対側の乗り場へ行き、その辺のおっちゃんに「マアバル・ワーディーウルドゥン」に行きたいと言うと、国境近くを通るバス(マシャーリーア行き)に乗せてくれる。乗るときに運転手さんに、国境(マアバル)で降ろしてほしいと伝えておくといい。国境まで約45分、0.85JD。
(4)国境付近の広い車道で降ろしてもらったら、右手の方に数分歩き、国境の手前で待機しているボーダータクシーに乗り込んで国境地帯に入る。1.5JD。
*帰りはこの逆の経路を辿ることになる。ただし、ムジャンマア・アグワールからスウェイリィフ(アンマン郊外)への直行バスが出ていることもあるようだ。
*イルビッドからシェイフ・フセインボーダーまでタクシーで行く場合の相場は15JDのようだが、交渉次第では多少下がるかもしれない。
*国境地帯内のシャトルバスは、ヨルダンからイスラエル行きが1.6JD、イスラエルからヨルダン行きが1.5JD。イスラエルシェケルでもドルでも払えると思う。


ヨルダン政府観光局のページの国境情報はこちら


階段を上るおじさんを眺める猫

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日付不明まとめ書き日記 2013年5月後編

2013-05-25 13:22:59 | ヨルダン(猫中心)
近所の猫



5月某日
ダウンタウンからジャバルアンマンまで、いつものようにセルビスに乗って運転手に30キルシュ払うと、あと5キルシュ払えと要求される。
「このルートの運賃は30キルシュじゃないの?いつも30キルシュしか払ってないけど」と反論すると、「俺は35取るんだ!」と運転手が言い放つ。
他の乗客たちも35キルシュ払ったようで、腑に落ちない顔をしている。
まあわずかなお金だから別にいいかと思い、追加で5キルシュ払う。
車内を見渡すと、運転席と助手席の後ろに、飛行機で見かけるような小さいスクリーンがくっついている。
天井にはガラス窓が嵌っていて、開閉できるようになっている。
ほかのセルビスとは明らかにランクの違う豪華車である。
料金が高い理由がちょっとわかった気がするが、それでもやっぱり腑に落ちない。

5月某日
アパートの前のスペースに、大家さん一家と座っておしゃべりする。
大家さんの孫息子のハイサム君が、犬が飼いたいと大人たちにおねだりしている。
アラブ世界では犬の地位が低く、ペットとして飼っている人は稀だったのだが、欧米の影響で最近流行ってきたらしい。
犬より猫の方が可愛いから、猫を飼えばいいのにと私が主張すると、ハイサム君は「犬の方が強い。泥棒よけにもなる」と言い返す。
他の大人たちも、「犬は30JDくらいする。そんなお金がどこにあるんだ?」とか、「毎日散歩に連れて行かなきゃいけないんだぞ、出来るのか?」とか、「犬は鳴き声がうるさいわよ」などと口々に言って諦めさせようとするが、ハイサム君が意見を変える様子はない。
どうしよう、このアパートに犬がやって来たら。
猫がこわがっちゃう・・・。

5月某日
ちょっと奮発して、スーパーで桃の香りのティッシュを買う。
寝室に置くと、桃香料のいい匂いが部屋中に広がる。
こういう小さな幸せって日々の暮らしに必要よね、などと考えながら、オレンジ色の桃ティッシュで鼻をかむ。

5月某日
ちょっと奮発して、市場で生魚を買う。
冷凍でない魚をヨルダンで買うのは初めてだ。
家に帰ってから台所に仁王立ちし、どうやって調理しようか思い悩む。
買った魚は大きくて平べったく、ウロコも内臓もエラもヒレも付いている。
今までの人生で魚のウロコをとったり、捌いたりした経験がないので、どうすればいいのか見当もつかない。
結局、鍋で丸ごと茹でてみることにした。
魚を初めて料理する欧米人のような発想だが、他に思いつかなかったのだ。
茹で上がった魚を菜箸でお湯から持ち上げようとすると、皮がずるずる剥がれ、全体にぐちゃぐちゃになった。
どうしよう、これ・・・。
猫は魚の匂いに鋭く反応して、私の足に身体をこすりつけ、期待を込めてこちらを見上げながら、みゃあみゃあとしきりに催促している。


ビールはなかなか飲めない贅沢品・・・

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