外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

うちの猫の発情期

2014-01-12 01:19:30 | ヨルダン(猫中心)


年末の約1週間、うちの猫は発情期に突入し、多忙を極めていた。
一方私は、突然失業してヒマを持て余していた。
当然の結果として、猫の発情期の様子を仔細に観察して過ごすことになる。

もちろんうちの猫だけではなく、近辺の猫たちがその時期一斉に発情期に突入したのである。
それはまるで、「1週間昼夜を問わず続く、ご近所の猫たちの年末大運動会(競技は1種類のみ)」のようだった。
競技に参加する猫たちは大興奮で、異常なほどの盛り上がり。
疲労困憊したら抜け出して休憩し、ひとしきり寝て体力が回復したら、再び参加するという具合。
相手探しから始まって、恋の駆け引き、実技・・・いやいや、皆さんご苦労様でした。
全員に1等賞をあげたいです(審査委員長のきもち)。
ご褒美はもちろん子宝でしょうかね・・・。

うちの猫の発情期中の1週間を、日記形式で以下に綴ってみることにする。
もうすでに記憶がかなりあやふやだけど、大まかにはこんなかんじだったと思う。


1日目
いつものように朝方布団に入り、いつものように昼過ぎまで寝ていたら、いつものようにファーティハ(うちの猫)の叫び声に起こされた。
「外に出たいから、窓をあけて~!」と呼んでいるのだ。
窓を開けてあげると、ファーティハはいそいそと飛び出していった。
どこかから、「アーオゥ、アーオゥゥゥ」という、よその猫の甘い呼び声が聞こえている。
あら、お誘いが来ていたのか。

ファーティハは夕方一度帰ってきて御飯を食べたが、食べ終わるなりすぐまた外出。

2日目
10時過ぎに、ファーティハに起こされる。
いつのまにか帰ってきていたらしい。
朝ごはんのドライフードをかきこんでから、ファーティハは今日も元気よく飛び出していった。
私はその姿を優しく見送り、窓を閉めてから二度寝する。

ファーティハはこの日ずっと外にいて、珍しく夕食に帰ってこなかった。
少し心配だが、家の周りから声が聞こえているので、まあ大丈夫だろう。

「フ~ン、フウ~ン」という、甘ったるい裏声で、ファーティハは鳴いている。
他の猫たちの誘い声やよがり声、喧嘩の声もあちこちから聞こえてくる。
どうやら、本格的な恋の季節が到来したようだ。

3日目 
目が覚めたとき、ファーティハはいなかった。
居間の窓が閉まったままなので、昨夜からずっと帰っていないようだ。

この日も発情期の猫特有の声が、そこかしこで飛び交っていた。
それにしても、猫が交尾するとき、最初は「フウウーン」だの「アーオゥ」だの甘い声で呼び交しているのに、最後には必ず「ギャ~ッ!」「シャ~ッ!」と怒声を発し、喧嘩して終わるのはなぜなのか。
盛り上がっている最中、つい爪を出したり、噛み付いたりしちゃうんだろうか?

そんなことを考えながら、ふと窓から庭に目をやると、ファーティハがしろさん(いかつい顔の白猫、うちの庭の常連)と交尾に精を出していた。
ファーティハはメスなので下にしゃがみ、しろさんが上からのしかかっている。

見渡せば、庭じゅうにふわふわした猫の毛のかたまりが点々と落ちている。
なんだか、ファンタスティックな眺めだ・・・。

夜、ファーティハは夕食をとりに戻ってきたが、いつもの半分ほどの量を食べ終えたら、休む間もなくまた出動していった。

4日目
午後起きだして居間に行くと、知らない猫が3匹ソファーに並んでいた。
私を見ると、みんな慌てて窓から飛び出していった。
ファーティハはと探すと、台所の椅子でまるくなって熟睡していた。
やつらはきっと近所のオス猫たちで、ファーティハを誘いに来たのだろう。

午後から夕方にかけて、私は居間で読書をしていた。
その間、猫たち(さっき出て行ったやつらかも)が入れ替わり立ち代り、窓辺に飛び乗ってきては中を覗き込むのだった。
どうやらファーティハを探しに来たらしい。
ファーティハ、なぜそんなにモテるんだ。
うらやましいわね・・・・・・・・・。
当の本人(猫)は、台所でこんこんと眠り続けている。


5日目
昼頃、何かがぶつかるような、鈍い物音で目を覚ます。
居間に行くと、ファーティハとしろさんが床で熱心に交尾していた。
私がキーっとなって追い払うと、しろさんは即座に逃げていく。
しかしファーティハはしばらくそのまま床でバタバタ反転を繰り返しつつ、「フウ~ン、ウフ~ン」とひとりでよがっていた。
ファーちゃんは車と一緒で、すぐには止まれないのね・・・。

「うちは猫用の連れ込み宿(註:ラブホテルの古い名称)ではないのよ。
恋猫を連れてくるのはやめてちょうだい、やるなら外でやって!」と、こんこんとお説教したが、ファーティハは全然聞いちゃいない。
猫なのに、馬耳東風。
お疲れなのか、ファーティハはそのあとずっと寝室で眠りこけていた。

夕方、不意に寝室から「ギャッ!」という悲鳴が聞こえた。
続いてファーティハが居間に飛び込んできて、窓辺に駆け寄った。
あの「ギャッ!」は、「きゃあ、寝過ごしちゃった!約束に遅刻しちゃう~!」という彼女の叫びだったのだろうか。
見ると、両目のへりに目ヤニがたっぷりくっついていた。
「ちょっとお嬢さん、これからデートでしょう~?目ヤニくらい取らなきゃ」と、拭いてあげようとしたが、嫌がるので諦めた。

そういえば、私も昔よく出がけにお母さんに、「ちょっとアンタ、目やにが付いてるわよ、みっともない」と言われたものだ。
別にデートじゃなかったけど。

6日目
猫たちの例の叫び声が、今日はあまり聞こえない。
ファーティハも、外出時間は長いものの、夜はずっとうちで過していた。
猫たちの大運動会も終盤にさしかかっているのか。

食事量はこの日も少なめだった。
発情期が開始して以来、あまり食欲がないようだ。
猫においては、性欲が食欲を駆逐するらしい。
それなのに、全然痩せる気配がないのはどうしたことか?


7日目
この日、ファーティハは大体1日中うちで過した。
外出しても、2、3時間で戻ってくる。
食欲も戻ってきたようで、以前と同じくらいの量を平らげた。
まだちらほら恋の囁きは聞こえてくるものの、もうあの異様な盛り上がりは感じられない。
よかった、これで日常に戻れるのね(私は別に参加してないのだが)。
ファーちゃん、お疲れ様でした~!

(以上)

このように、うちの猫の発情期はめでたく終わりを迎えたわけだが・・・

猫の妊娠期間は約2ヶ月だという。
2ヶ月後にこの発情期の結果を目にすることになるかと思うと、かなりコワイ。
ファーティハ、また出産するんだろうか?
ああもう、考えるだけでしんどいんだけど・・・。



台所に放置していたタマネギの芽をかじるファーティハ



ファーティハの恋猫、庭の常連「しろさん」




コメント (2)
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