外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(12)~チュニス最終日後半・オスマン朝支配時代のお屋敷編~

2020-05-05 18:43:53 | チュニジア

 

今回はチュニス滞在7日目、最終日の話の続き。

 

ゼイトゥーナモスク周辺で引き続きうろうろしていたら、地元の人らしき男性がふいに近づいてきて、英語で「近くにスルタンのパレスがあって、屋上の見晴らしが素晴らしいから、行ってみるといい」とだけ言って、そそくさと立ち去って行った。何者?ただの親切な人?

 

せっかくなので、そのパレスとやらを探そうとしたが、建物の名称も住所もわからないので見つかりそうもない。

 

朝から歩き回って疲れてきたので、あきらめて帰ろうとしてその辺にいたおじいちゃんに道を聞いたら、おじいちゃんはなぜか真顔になって、「オスマン朝時代の地方長官の屋敷がこの近くあって、そこの屋上からの景色が素晴らしい。見たいか」と、さっきの男性と同じようなことを(アラビア語で)言った。そのお屋敷はこの辺では有名な観光スポットで、観光客を見かけたら教えないといけないことになっているんだろうか。うなずいたら、おじいちゃんはついてくるよう合図をして、黙って歩き出した。どうやら連れて行ってくれるようだ。

 

くねくねと入り組んだスークの細い路地をけっこう歩き、時々おじいちゃんの知り合いに遭遇しつつ、たどり着いた先は民芸品店らしき建物だった。土産物屋かと思ったが、そういうわけではないようで、お客の姿はない。おじいちゃんは、「ここだ」と言って中に入り、勝手知ったる風にどんどん階段を上って、屋上に私を導いた。

 

そうしてたどり着いた屋上がこちらでございます。

 

左手にゼイトゥーナモスクの塔が見える。

 

 

なんなの、このステキな眺めは・・・・怪しい人かもしれないと思いつつも、ついてきて良かった。あの男の人にもシュクラン(ありがとう)を言いたい。

 

 

 

 

下を見るとこんな感じ。屋根の下はスークや民家だろう。

 

 

犬たちはお昼寝タイム

 

 

風景を堪能し、満足して建物に入ると、猫に遭遇した。至れり尽くせりとはこのことか。

 

 

 

 

ランチタイムですかね。これは母猫だそうで、近くに子猫がいた。

 

なんなの、この可愛さは・・・

 

 

撫でようとすると向こうから寄ってくる。

 

 

とりゃ~

 

 

子猫も堪能したところで階下に降りると、かつての館の主の寝室があった。金色の天蓋付きの広いベッドで寝ていたようだ。

 

 

 

さらに下の階には、手織りの絨毯の保管室があった。おじいちゃんの説明によると、この建物は政府の管理の下で伝統工芸の職人組合が使用しており、絨毯を中心に様々な手工芸品が保管されている。これらの作品は、政府の認可を得て海外に輸出されているそうだ。保管室は絨毯の品質を保つため、冷房が効いていた。

 

ここで昼寝したかった。

 

 

建物入り口の控えめな看板。

 

 

ここの屋上の写真は地球の歩き方やその他のチュニジア観光案内にもよく使われているのだが、日本語はもとより、英語でもアラビア語でも建物名や解説はどんなに検索してもなかなか見つからなかった。謎が多い穴場スポットなんである。そもそもマグレブ諸国(チュニジア、アルジェリア、モロッコ等)の観光情報はフランス語が中心で、マイナーな場所の情報はアラビア語でも見つけにくいのだ。

 

 

しかし、この記事を書くにあたって念のためにもう一度検索したら、思いがけずこのフェイスブックのページにたどり着いた。奇跡だ。(大げさ)

https://www.facebook.com/pages/category/Arts---Entertainment/Groupement-artisanal-1084427695076949/

 

 

住所や電話番号は以下の通りなので、チュニスに行かれたらぜひ見つけ出して下さいませ。

 

groupement artisanal(伝統工芸組合)

58 souk el Leffa, 1008, Tunis

Tel: +216 71 575 224

 

ちなみに、この建物があるスーク・エル・レッファ自体もオスマン朝支配時代に出来たものだらしい。(ウィキはこちら)「レッファ」は「巻物」という意味なので、布地等の巻物を売っている「巻物スーク」ということだろう。

 

建物を出たら、おじいちゃんはまた「ついてこい」の合図をして、さらにどこかに私を導く。

 

たどり着いた先は、香水屋さんだった。

 

 

 

彼はこうやって土産物関係の店に観光客を連れて行って、手数料を稼いでいるのかな?

 

ガイド料を払おうと思っていたので別にいいのだが、ここの香水は化学薬品を使わずに手作りしているということで、けっこう高価だった。結局、ジャスミンの香水の小瓶を1本だけ、30ディナールのところを20ディナール(現在約740円)に値切って買う。他の店のものより割高だが、柔らかい良い香りだし、記念になるからまあいいだろう。

 

ここでおじいちゃんと別れて、昼寝すべくホテルに向かった。

 

ついでにゼイトゥーナモスクに上ってみたが、やはりムスリム以外は入れないということなので、すごすごと立ち去る。

 

 

途中で見かけた猫たち。私も一緒に寝たい。

 

 

 

スーパーでビールとワインを買って、ホテルで飲んで1時間半ほど昼寝してから、夕方また出かけた。

 

 

新市街に出て、お洒落な本屋でチュニジア人作家の小説を購入。

 

 

この本だ。チュニジアの現代の中流家庭の暮らしぶりがよくわかる佳作だった。本屋の店主も、「お、その本を選んだか。お主なかなかやるな」という顔をしていた。ふふっ

 

 

本が意外に高く(28ディナール=千円余り)、手持ちのディナールがわずかになってしまったので、酒の飲めるチュニジア・イタリア料理店「カプリ」で夕食をとるのはあきらめ、以前入った安食堂「モハメド・アビド・パスタカサ」で魚のクスクスを食べた。量が多く、昼食を抜いたにも関わらず完食できなかった。大きな胃が欲しい・・・

 

とっても美味しかったのに~

 

 

翌日はイスタンブールに移動するので朝5時起きだ。早く寝なければ・・・

 

(続き)

コメント (4)
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