この日は、チュニジアからトルコに移動した。
トルコはイスタンブールのみ5泊。アンカラの友人宅を訪れたかったのだが、時間も体力も足りなかったので断念。初めて訪れたチュニジアでの疲れがまだ残っていたし、この後のイタリアでもけっこう動き回る予定だったので、トルコではのんびりすることにした。
3時間睡眠でなんとか朝5時に起きてチェックアウトを済まし、よれよれの状態で歩いている時に近づいてきたタクシーに乗って空港へ。案の定、幾分ぼられた。小銭が残ってもしょうがないからまあいいか・・・という旅行者の心理を運転手に見透かされている気がして面白くなかったが、まあいいことにする。
1週間ぶりのチュニスの空港、朝早いのに人が多い。
白を基調にした内装で、けっこう綺麗だ。(なんとなく意外)
パリ行きやフランクフルト行きの便に混じって、内戦が続いている隣国リビア行きの便も普通に飛んでいる。ミティガ空港行きもある…この空港は、ちょくちょくハフタル元少将派部隊に砲撃されているから危険なんだが。
カフェテリアで売られていたパンが美味しそうだったが、やけに高かった。
私の観察によると、空港内の飲食店の物価が市内の物価水準より数倍高い国は、資本主義があまり発達していない。チュニジアはその典型か。
搭乗ゲートの待合室。パリのシャルルドゴール空港に構造が似てる気がする。
イスタンブールには、チュニスエアで飛んだ。チュニスエアは遅れることが多いとネットに書いてあったので覚悟していたのだが、意外なことにちゃんと時間通りに離陸した。着陸してから滑走路をやたらぐるぐる回ったせいで、降りるのに時間がかかったが。(結局遅れる)
乗客はチュニジア人ばかりで、機内はアラビア語のチュニジア弁とフランス語の世界だった。乗務員さんにうっかり英語で話しかけたら、心なしか冷たい目で見られた気がする・・・
シンプルな朝食。ダノンのヨーグルトの美味しさを再確認した。
2時間半ほどで無事イスタンブール空港に到着。着陸した瞬間に乗客の間から拍手が起こったので、「おお~、イタリアみたいだ~」と感動した。イタリア人はよく飛行機が着陸した瞬間に拍手喝采して、「ブラーボ!」などと操縦士を褒めたたえるのだ。これをやるのはイタリア人だけだと思っていたが、チュニジア人もやるとは・・・チュニジアにこの習慣をもたらしたのはイタリア人なのか、それともチュニジアに昔からある習わしなのか、気になる・・・イタリア人に後に聞いてみたら、「あっちの人たちは私達の真似をするのよ」とクールな返事が返ってきた。実際はどうなんだろう・・・
時差が2時間あるので(トルコの方がチュニジアより2時間進んでいる)、時計を進めると、もうお昼過ぎだった。
新しく建設されたイスタンブール空港を利用するのは今回が初めてだった。
空港のトイレ。ペーパーを流さずにゴミ箱に入れるタイプ。シャワーホースがなくて寂しい。
全てが真新しく広々としているが、やたら歩き回らなければいけないので疲れる。働いている人々も無表情で、対応が機械的だ。武器を持った若い女性(兵士?)が巡回していたりするところが、イスラエルを思い出させるし、全体的に不吉なイメージだ。作業環境が整っていない中、突貫工事で無理やりオープンさせたため、作業員の事故死が多かった等の記事を読んだせいで、余計そう感じたのかもしれないが。
この空港はアタテュルク空港に比べて市街地から遠く、地下鉄にリンクしていないので、エアポートバスで市内に出るしかない。バスを待つ行列を整理する係の人がいないので、みんな好きなように並んでいる。やれやれ・・・
バスを待っている時に目に入ったお稲荷さんのような猫のようなイラストつきの柱。
長い間待ってからようやくバスに乗り込む。1時間半ほどで旧市街のスルタナメット広場に着いた。そこからは徒歩で予約していたホテルへ向かう。2年前と3年前にも泊まったところなので、方向音痴の私でも迷わない。歩いている時に猫をあまり見かけなかったので、数が減ったのかと心配したが、後でたくさん見かけたので、気のせいだったようだ。ほっ。
私の常宿「サイドホテル」 ブルーモスクとアヤソフィアが至近距離にあるので観光に最適だ。あんまり観光しないけど。
日当たりの良い1階の部屋だった。シングルルームを予約したのだが、トルコでシングルベッドにお目にかかることはめったにない。
トイレ・シャワールーム。どうして私はこんなにトイレの写真を撮ってばかりいるのか。
早起きしてがんばって移動して疲れたので、夕方まで昼寝した。目が覚めた後もずっとゴロゴロしていたかったが、せっかくトルコに来たのにそういうわけにもいかないので、18時頃に心を決めて外出した。
がんばって出かけた私をねぎらうように登場した猫。タクシーにすりすり中。
ほんの少し歩けば、もうスルタナメット広場に着く。
セルフ腕枕で熟睡中。スルタナメット広場は猫スポットなので、行けば必ず何匹かに会える。
ドレスとスーツ姿の新郎新婦が撮影担当の人と一緒に歩いているところに遭遇。ドレスの裾が汚れそうだが、幸せいっぱいだから気にならないのだろう。
見上げるとアヤソフィア。ブルーモスクと違って入場料を払わなければ入れないし、行列するのが面倒なので、私はいつもスルーする。中にいるという看板猫のグリちゃんには一度会ってみたいのだが。
人間も猫も食事中
休憩中、または思索中の方もおられた。
猫ばかりではなく、犬も多い。温和そうな大型犬ばかりで、よく道端に寝そべっている。
トルコでは大きなテロはしばらく起こっていないかったが、この広場やイスティクラール通りなどの観光地や不特定多数が集まるところでは、装甲車を配置して要所要所を警官が巡回する等、警備に余念がなかった。それに比べたら、チュニスは空港の警備ですら緩かったが、大丈夫かしら・・・
スルタナメットからトラムに乗って新市街のタクシム広場に出ることにする。
トラム駅のセキュリティーもばっちり
タクシム広場に着いたら、もう日が暮れていた。前来た時にはなかった新しいモスクのシルエットが目に付く。「タクシム・ジャーミー」だ。まだ建設途中だったが、その後完成したというニュースは聞かない。そもそも、わざわざここに大きなモスクを建てる必要があったのか、エルドアン・・・
広場からイスティクラール通りに入る手前に、ケバブ屋が並んでいる一角がある。そのうちの1軒の以前入ったことのある店に入って、「濡れハンバーガー」で腹ごしらえした。煮込みハンバーグの煮汁がふわふわのバンズに沁み込んでいて、しみじみ美味しいのだ。郷愁を覚える味だ。(日本育ちです) ケバブよりも安価で腹にたまらないので、おやつにちょうどいい。
濡れハンバーガーと生絞りオレンジジュース
店内には、シリア人のお母さんと子供たちが座っていて、みんなで賑やかにケバブサンドを頬張っていた。懐かしいアラビア語シリア方言は、これ以降もイスタンブールのあちこちで耳にした。エジプト人や湾岸諸国からの観光客らしき人など、シリア人以外のアラブ人も多く、アラビア語がある程度話せるトルコ人の店員も以前より増えていた。
店を出て、賑やかなイスティクラール通りをゆっくりと下っていく。
高級なお菓子屋さん。アラブ人の客が多かった。
ディスプレイが美しい。
トルコでよく見かけるムール貝のピラフ(ミディエ・ドルマス)の屋台。
貝の中に詰められた1口分のピラフを食べる軽食なのだが、私は未だにこれを食べたことがない。いつも気になりつつも、結局素通りしてしまう。なぜだろう?おそらく、脳の中で「食べてみたい」「これを食べずしてトルコのストリートフードを語ることはできないだろう」「しかし手が汚れる」「ゴミも出る」「不器用だから貝を上手く開けないかもしれない」などという考えがせめぎ合った結果、決断できずに通り過ぎてしまうのだろう。食べたことある人、味を教えてくださいな。
脇道のパブで冷えたエフェスを一杯。イスタンブールでは、戸外のテーブルで生ビールが気軽に飲めるのが嬉しい。
そういえば、2011年の春にイスタンブールでトルコ語学校「トメル」に通っていた頃、クラスメートのサウジ人の若い男の子が、休み時間にビールを飲んでたなあ・・・サウジでは酒はご法度なので、トルコのような飲酒OKの国に来たらここぞとばかりに飲みまくるサウジ人は多いと思われる。とても温和で人柄が良く、全知全能の神アッラーを信じてるけれども、酒は飲むというタイプの子だった。
パブのすぐそばの店で、キャットフードを仕入れる。店番の若い男の子に「猫が喜ぶ美味しいキャットフードが欲しい」と注文すると、「う~ん、猫にエサをやったことがないからわからないけど、猫はチキンが好きだよね?これチキン味だから、きっと気に入るよ!」と言って、0.5㎏の袋入りのドライフードを渡してくれたので、それを買う。ワインとビールもここで仕入れる。
店の前にかわいい子猫がいたので、試しにあげてみたら必死で食べていた。美味しかったようだ。うふふふ・・・
トゥネル(地下鉄)駅のそばの楽器屋街も猫スポット。たっぷりエサをもらって丸々太っている子が多い。
途中のスタンドで人参の生ジュースを飲んでビタミンを補給し(重要)、ケバブサンドを買ってホテルに帰る。部屋のテレビでアルジャジーラが見られたので、飲食しつつニュースをチェックしているうちに寝てしまった。長い一日だった・・・
(おまけ)
ムール貝のピラフ詰めのレシピ
http://www.tkjts.jp/recipe/rice/1009/
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https://www.ab-road.net/europe/turkey/abgirl/G00633.html
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