外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

日付不明まとめ書き日記 2013年5月前編

2013-05-24 22:24:38 | ヨルダン(猫中心)
庭の猫



5月某日
朝、通勤途中、家のすぐそばに止まっていた車からサングラスのお兄ちゃんが顔を出し、「HELLO! DO YOU SPEAK ENGLISH?」と声をかけてくる。
一瞬、「なに、この怪しい人。朝っぱらからナンパかい?!」と不審に思ったが、話をよく聞いてみると彼はホテル関係者で、ここに人材リクルートに来ているのだった。
持ちかけられた仕事はホテル清掃業、勤務時間は午前8時から午後4時まで、給与は月額250JDから(3万6千円弱)、という内容だった。
この通りにはフィリピン移民が大勢住んでいるので、彼らを対象にリクルートしているのだろう。
何人かと問われたので、日本人だと答えると、
「ああ、日本人なら掃除じゃなくて、オフィスワークがあるよ。
 うちは日本人のお客も多いから。給料は最低400JD、旅行客を連れてきたらコミッションもあげるけど、どう?」と提案される。
今までの人生で何度も、「あ~あ、働きたいけど仕事がない。就職活動するのもメンドくさい。何もしなくても足元に仕事が転がって来たらいいのに~」と考えたことがあるが、まさかこの怠惰な希望が実現する日が来るとは思わなんだ。
ヨルダンって、探さなくても仕事が転がってくるワンダーランドなのか。
私は現在旅行会社で働いているので、残念ながらお断りしたが、職を失った時のために一応名刺をもらっておいた。

5月某日
下痢をする。
お昼に屋台で買い食いしたコフタ(羊肉のミンチにスパイスなどを混ぜて、金串につけて焼いたもの)が生焼けだったせいか。
ちょっと生焼けの肉を食べたくらいで下痢するなんて、私もまだまだ修行が足りないな、と反省する。

5月某日
ジャバルアンマンのあちこちで、「迷子預かってます」のポスターを見かける。
小さな男の子の写真の下に、「警察がこの子を保護して、身寄りを探しています。心当たりの方は911まで」と書かれている。
なんと親切な警察なのだろう。
ヨルダン人(そしてアラブ人一般)は子供好きなので、この子はきっと警察官たちに可愛がられていることだろう。




5月某日
また流しが詰まる。
ご飯を炊いたあとの鍋を洗うと、2回に1回詰まるのだ。
パイプ詰まり用の薬品を排水口に振りかけながら、もうこれからは米を炊かない決意をする。
これから私は、パンやパスタを食べて生きていくのだわ。

5月某日
市場でモロヘイヤの葉っぱと、丸ごとの鶏(内臓は取ってある)の小さいのを1羽買ってくる。
これでモロヘイヤスープを作るのだ!
まず鶏をそのまま茹でる。
茹で上がった鶏を鍋から取り出し、茹で汁にニンニク、タマネギ、モロヘイヤ(全てみじん切り)、塩、レモン汁を加えてから5,6分煮る。
分量はすべて適当だが、モロヘイヤをこれでもか、これでもかとどっさり入れるのがポイントである。
脇に置いておいた茹で鶏を切り分け、一部を鍋に戻して(残りは猫のエサ用)出来上がり。
自己流で適当に料理したわりには、大変美味しかった。
こちらの鶏肉の実力によるところが大きい気がする。
本来はご飯にかけて食べるものだが、ご飯は炊かないと決意したばかりなので、パンで我慢した。

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まとめ書き猫日記 猫と暮らし始めたいきさつ(4)

2013-05-24 00:06:55 | ヨルダン(猫中心)

5月某日
猫のために、市場で小さい鶏を丸ごと1羽(内臓は取ってある)買ってきて、茹でる。
最初はドライフードだけあげていたのだが、それでは満足できないらしく、私が料理しているときや食事している間、ちょうだい、ちょうだい~とまとわりついて大変だった。
それで鶏肉やツナもあげることにしたのだ。
おかげでエンゲル係数が急上昇だ。
茹でた鶏肉は約4日間分のエサになる。もちろん私も多少おこぼれを頂戴するが。
最近の猫の夕食は、前菜がドライフード、そのあとはミルク、メインディッシュがツナか鶏肉だ。

5月某日
朝起きたら、居間に知らない猫がいた。
私の顔を見ると、ささっと窓から逃げていく。
うちの猫はいつものようにソファーで寝ていた。
猫にはテリトリー争いがないのか、それともこのヒトが平和的(または臆病)なだけなのか、よく分からない。

5月某日
朝起きたら、居間に知らない猫が2匹いた。
私の顔を見ると、ささっと窓から逃げていく。
数が増えている・・・このあたりの野良猫たちの間で、うちの家は「猫用無料宿泊所」だという噂が広まっているのかもしれない。
ホームレス猫の生活を支援したいのは山々だが、家が荒らされるのは嫌だな・・・。
悩みつつ台所に行くと、案の定ゴミ箱がひっくり返され、生ゴミが床に散らばっている。

5月某日
朝起きたら、居間に知らない猫が5匹いた。
みんなソファーに座って、猫会議を開いていたようだ。
追い立てると、1匹ずつ窓から出て行く。
うちの猫はどこかと探したら、台所の片隅で寝ていた。

5月某日
猫のお腹がえらく大きくなっているのに気づく。
最初はこんなに太っていなかったはずだ。
エサのあげすぎだろうか?
もしやと思い、スキをねらってお腹を触ってみると、小さい出っ張りが何箇所か付いている。
これは乳首だ・・・ということは、妊娠しているということになる。
私はなぜかこの猫がオスだと、最初から思い込んでいたので、非常に驚いた。
「父親は誰なの?!いつ妊娠したの?!もしや誰かにゴ~カンされたの?!」
と問い詰めてみたが、猫は黙って私の手に顔をすりよせるだけである。
これはアゴの下をなでてちょうだい、という合図だ。
言われるままに大人しく、せっせとなでてあげる。

5月某日
猫の妊娠期間について調べる。
猫の妊娠期間は約2ヶ月で、お腹の毛が抜けて乳首が露出するのが、妊娠30日前後くらいだそうだ。
すると、うちに来る前にもうすでに妊娠していたということになる。

うちの猫は妊婦なのに塀の上を歩いたり、窓から飛び降りたりするので、ちょっとドキドキする。
猫は流産したりしないのだろうか?
あと、つわりとかはないのだろうか?
刺激物は・・・あげてないから大丈夫か。
相手が妊婦だと思うと、妙に気を使ってしまう。

5月某日
暖かくなったせいか、朝知らない猫がうちにいることは少なくなった。
いてもせいぜい1匹か2匹だ。
うちの生ゴミの内容が貧相なのも、猫減少の理由かもしれない。
そうは言っても、いろんな猫が入れ替わり立ち代り窓から入ってこようとするし、庭に出たら塀の上に座っている猫に、「なんであの子だけ家に入れて、アタシは入れてくれへんのん?アタシ、こんなにお腹減らしてるのに。可哀想やと思わへんの・・・?」とでも言いたげな、切なそうな目で凝視されたりする。

5月某日
最近私は、猫のための人間椅子と化している。
猫がやたらに私の膝に座りたがり、一度座ったらなかなか動こうとしないのだ。
私が立ち上がろうとすると、爪を立てて「動いちゃダメ」という意思表示をする。
仕方がないので立ち上がるのを諦めて、じっと座っている羽目になる。
大体30分くらいしたら降りてくれて、別の場所(机の下)で寝直すので、それまでの辛抱だ。

5月某日
猫の耳の中は毛だらけだ。
それなのに可愛い。

5月某日
今日も猫に膝枕をする。
ついでに腕枕もするが、腕が疲れてきたので、そっと外す。



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まとめ書き猫日記 猫と暮らし始めたいきさつ(3)

2013-05-23 23:52:47 | ヨルダン(猫中心)


4月某日
なりゆきで猫を飼い始めたものの、初めての経験なので分からないことだらけだ。
エサの分量はどのくらいが適当か、缶詰のツナには塩分が含まれているが大丈夫なのか、蚊取りマットを使用すると猫も死んじゃったりしないか、床掃除に洗剤を使わないほうがいいのかなど、不安材料は多様である。

私にとって一番の問題は、居間の窓(網戸)の処置だ。
「開けるべきか、それとも閉めるべきか、それが問題だ」的に延々と悩んだ挙句、次のような結論を出した。
(1) 私が家にいる間は基本的に閉めておき、猫が出入りしたがったときだけ開けてやる。
(2) 在宅中でも夜眠っている間は、猫が自由に出来るように窓を開けておく。ただし、私は寝室のドアを閉めて引きこもる。
(3) 外出するときは猫を外に追い出して窓を閉め、帰宅した時にまた家に入れてやる。

毎朝家から締め出される猫は非常に気の毒だが、他にいい方法を思いつかなかったのだ。
できるなら私も猫に合鍵を渡してあげて、自由に出入りさせてあげたいのだが、あの手じゃ鍵が握れないもんね。

4月某日
猫を飼い始めたと友達に言うと、名前はつけたかと聞かれる。
そういえば、名前を付けることは思いつかなかった。
2日ほど思案した上、「ファーティハ」と名付ける。
正式には「ファーティハ・シュッバーク。」
これはアラビア語で「窓を開ける者」と言う意味である。
なにしろこの猫は窓を開けてうちに入ってきたのだ。
「このヒトは窓を開けると同時に、私の心も開けてしまったのね~」と、ちょっと感傷的な気分になる。
これってもしや、恋かしら?
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まとめ書き猫日記 猫と暮らし始めたいきさつ(2)

2013-05-22 22:46:57 | ヨルダン(猫中心)


4月某日
窓を開けて入ってくる猫を締め出す方法が見つからないので、とりあえず同居してみることにした。
今日は土曜日なので、仕事は休み(金曜と土曜が休日)。
外はしとしとと陰気な雨が降っていて、4月のヨルダンとは思えない寒さである。
私が毛布にくるまって、テレビを見たり新聞を読んだりしている間、猫はだいたいソファーで寝て過ごしていた。
時々ふいに起き上がって、外へ出て行くが、しばらくしたらまた戻ってくる。トイレに行くのであろう。
この猫は窓を開ける能力を持つが、閉めるほうは無理みたいなので、結局ずっと窓を開けている状態になり、非常に寒い。
しかも外から帰ってきたとき私の膝に座りたがるので、服が泥だらけになる、というおまけ付き。

・・・やはり私には、猫との同居は無理かもしれない。
夏場は暑いし、雨も降らないからまあいいけど、冬になっても窓を開けっ放しで暮らしたら、体の弱い私は凍え死んでしまうかもしれない。
かといって、窓を閉め切って猫を家の中に閉じこめるのは、不自然なので気が進まない。
それにトイレの問題もある。今は外で用を足してきてくれるけど、家の中で飼うことになったら、トイレ用の砂などを買う必要が出てくるだろう。
そうすると掃除の手間もかかるし、出費もかさむな・・・。
やはり明日、誰かに知恵を貸してもらって、この猫を追い出す方法を考えよう。
私がこのようなことをぐるぐる考えている間、猫は膝のうえで丸くなってうとうとしている。

4月某日
仕事が終わって帰宅したとき、大家さんの孫息子(アハマド君、アパート管理の手伝いをしている)に猫問題について相談すると、居間の窓を見に来てくれて、「この窓は衛星放送のケーブルが通っているからきちんとは閉まらないけど、網戸をギリギリまで閉めれば猫は入って来られないはずだよ」とアドバイスしてくれる。まだ子供なのに(中学生くらい)頼もしいアハマド君。男の子が欲しいなあ、と思うのはこういう時だ。しかし人間の子供の世話をするのは、猫よりももっと大変そうだ、と気づいて考え直す。

彼の助言に従って網戸を閉め、居間で猫の帰宅を待つ。
まもなく猫が窓辺にやってきて、これまでのように窓を開けて入ってこようとする。
しかし網戸が閉まっていて、びくともしない。
さすが網戸様、すごい威力だ。
今までどうしてこれを閉めようと思いつかなかったのか。さすが私、うっかり者だ。
猫は戸惑って、みゃあ~ん、みゃあ~んと騒いでいる。

猫はその後、近所迷惑なほど執拗に鳴き続けたが、私が心を石地蔵にして無視し続けたら、やがてどこかへ行ってしまった。

4月某日
今日も猫が窓辺で私を呼んでいる。
この猫のすごいところは、夜になって私が居間から寝室に引っ込んだら、そっちの窓辺に移動してきて、「みゃああみゃあああ、開けてくださいよ~」とやるところである。
知恵が回るのだ。幸い寝室の窓はきちんと閉まるので、入っては来られないが。

4月某日
今日は猫が姿を現さない。
さすがに諦めたのか。
さみしいけどこれで良かったのね、可愛い猫だからきっと他にいい飼い主が見つかったんだわ、幸せになってね、などと都合よく考えながら、居間でのんびりくつろぐ。

4月某日
3日ほど平穏な生活が続いたが、今日、またあの猫が窓辺に戻ってきて鳴き出した。
やはり、あれで終わったわけではなかったか・・・。

私は観念した。
この猫を自分の人生から追い払うのは無理らしい。
考えてみるに、猫を飼うことは長年の夢だったし、向こうから飛び込んで来てくれるなんて(よく考えれば、私が最初に誘い込んだのだが)、きっと私の運命の猫なのだろう。
とりあえず飼ってみて、上手くいかなければその時考えよう。

心を決めて網戸を開けると、猫はうにゃあん、うにゃあん、うにゃああん~!と歓喜の声を上げながら飛び込んできた。
台所でキャットフードと水を用意し、ツナ缶も開ける。
猫は非常に満足そうにツナ缶を完食してから、ソファーの上でくつろいでいる。



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まとめ書き猫日記 猫と暮らし始めたいきさつ(1)

2013-05-04 21:52:19 | ヨルダン(猫中心)



4月某日
外出先から戻ったら、ふさふさした長毛種の茶色の縞猫が、みゃあみゃあ言いながらすり寄ってきた。
野良猫離れした人なつっこさである。
この辺のノラちゃんたちは猜疑心が強くて、人が近づいたら逃げるのが普通なのだが・・・。
ドアを開けたら家に入ってきたので、冷蔵庫に入っていたツナ缶の残りをあげてみたら、一心不乱に食べていた。
食べ終わったら再び外に出してあげる。

4月某日
数日前にツナ缶をあげた猫がまた庭に来ている。
私を見るとすり寄って来たので家に入れてあげて、キャットフード(ドライタイプ)をあげる。
すると、「おや、今回はツナじゃないんですかな?」とでも言いたげに、ちらっと私の顔を見上げてから食べ始める。
ツナ缶は高級品だから(1缶120~130円くらいする)私だってたまにしか食べられないのよ、この前のは特別サービスだったのよ~と言い訳するが、もちろん猫は聞いちゃいない。
食べ終わったら外に出ていただく。


4月某日
昨日キャットフードをあげた猫が、夕方窓辺でみゃあんみゃあ~んと鳴いて、「入れてくれろ」としきりにアピールする。
可愛いので入れてあげて、キャットフードをあげる。
そのあと出て行ってもらうべくドアを開けたのだが、退場する気などさらさらないようで、ソファーに座り込んでしまわれた。
仕方がないのでしばらく一緒にテレビを見たが、やはりこのまま居着かれても困ると思い、再びドアを開けて無理やり追い出した。
猫は不承不承出て行ったものの、またすぐ居間の窓辺によじ登ってきて、「開けておくれよ~」と鳴き始める。

・・・どうしよう?
私は思案した。

これも何かの縁かもしれないし、思い切って飼ってみようかしら?
でも今まで猫を飼ったことがないから、飼い方がわからないぞ。
それに一人暮らしだから、旅行に出かけたときに代わりに面倒を見てくれる人もいない。
猫を飼ってもちゃんと責任を取る自信がないからには、やはり飼うべきではないのだろう・・・。

以上のような結論に達し、私は心頭滅却して、猫の執拗な鳴き声が聞こえないフリをした。
まあ、そのうちに諦めるだろうさ、とタカをくくっていたのだ。

しばらく居間を離れて、台所で片付けものなどをしてから戻ると、さっきの猫がソファーに座っていた。
一瞬幻覚かと思ったが、どこからどう見ても生身の猫である。
窓に目をやると、猫1匹分のスキマが開いている。
するとこの猫は自力で窓を開けて入ってきた、ということになる。
この窓は衛星放送受信ケーブルが通っているため完全には閉まらないのだが、猫はそのスキマを利用してサッシに手をかけ、引っ張って開けたらしい。
見事なものだ。

しかし感心している場合ではない。
私は窓をブロックする方策として、ホウキの柄の部分を使用してつっかえ棒をすることを思いついた。
猫をまた追い出して、窓につっかえ棒をして様子をみる。

猫はつっかえ棒で固定された窓としばらく格闘したあと、ぐぐぐぐぐと力づくで開けて入ってきた。
ホウキの柄では窓とサイズが合わなかったらしい。
猫の勝ち~

私は観念して、とりあえず一晩泊めてあげることにした。
明日また別の方法を考えよう・・・







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